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【乙庭植物図鑑】20230105 チューリップ ジャイアントオレンジサンライズ (Tulipa ‘Giant Orange Sunrise’)

これまで、著書や歴代ブログやwebメディアなど、さまざまな媒体に植物の解説を書いてきましたが、結構情報が散逸している状態になってきたので、マイペースではありますが、note.に私の植物や植栽に関する知識をまとめていきたいと思います(ライフワークにできたらいいな😊)。

今日は、乙庭でも長年のお気に入りで、なんだかんだで結局昨年末にバタバタ球根を植え込みしたチューリップ ジャイアントオレンジサンライズ (Tulipa ‘Giant Orange Sunrise’) を紹介します。

チューリップというと、春咲きの球根植物としては超メジャーな素材ですが、チューリップ ジャイアントオレンジサンライズ は、個性的な葉模様も楽しめる、たいへん乙庭好みの品種です。

白灰緑地の幅広葉に爬虫類の皮革のようなちょっと不気味な赤紫色の筋斑点模様が入り、芽吹きの瞬間から目を見張る存在感を発揮、その後ずんぐりとした草姿で、草丈低く鮮オレンジ色の大輪花を咲かせる、超・クセありで面白い原種系のチュー
リップです。

本種は球根もとても大きく、草丈は低いのですが、花も葉もぼってりしたボリューム感がありその存在感も私個人的にはとても気に入っています。

ジャイアントオレンジサンライズはいくつかあるチューリップの原種系統の中でも
トゥルケスタン原産のグレイギー種系統の品種で、この系統は特有の葉模様を受け継ぐ園芸品種です。



関東では3月頃、白灰緑地の幅広葉に爬虫類の皮革を思わせるような、ちょっと不気味な赤紫色の縞斑点模様の入ったたいへん個性的な葉で芽吹きます。

私の見立てでは、上写真くらいの頃合い、チューリップとは思えない不気味な葉模様と鮮やかな朱赤色のツボミが姿を現したあたりが一番美しいかなと思います。

開花すると、花がとても大きいので、たぶん人によって美醜の判断が大きく分かれそうなのと、開花期の頃には葉の模様が薄れ気味になるので、この葉の美しさを愛好している私としては開花前の葉とツボミを同時に楽しめる数日間が一番ワクワクします。

その後、草丈低くずんぐりとした草姿に成長し、関東では4月〜5月に、アンバランスなほどに大輪の、
鮮やかなオレンジ色の花を咲かせます。

ある意味不気味な葉模様と能天気なビビッドな花色でとても異様な組み合わせに思えるのですが、あえて一般的な美意識を大きくハズして、攻めのデザイン性があるところが本種の魅力といえるでしょう。

使い方で技アリな植栽に見えたり、ただ悪趣味な感じにも陥る可能性もある紙一重なギャンブルライクな美意識のある品種で、ぜひ果敢クリエイティブに植栽してみたい品種です。

また本種はリーフプランツとしての資質が本当に素晴らしいのが特徴。白灰緑色地に強赤紫色の縞斑点模様のコントラストも強烈で、芽吹いた瞬間からたいへん目を引きます。

早春から春本番にかけて葉も花も長く楽しめる優秀素材ですよね。

原種系のチューリップですがたいへん作為的な外観を呈する品種です。
人工美がある植物ですので、ナチュラルな雰囲気に仕立てようとすると
かえって中途半端で不自然な感じになってしまいがちです。

上写真ではド派手な斑入りのロドデンドロン (=シャクナゲ) プレジデントルーズベルトやリューカデンドロンなど国籍や時代性を感じさせない組み合わせにチャレンジしています。

【プランツデータ】
■チューリップ ジャイアントオレンジサンライズ
■ 学名 : Tulipa ‘Giant Orange Sunrise’
■ ユリ科
    耐寒性球根植物
■ 花期 : 春(関東では4月中旬頃)
■ 草丈 : 20cm程度(開花時の高さ 葉は地際に展開する)
■ 耐寒性 : 強い
■ 耐暑性 : 普通
■ 原産地 : 中央アジア〜地中海沿岸地域


最後に私 太田敦雄の著作をいくつかご紹介します。

私と、おぎはら植物園の荻原範雄さん、フローラ黒田園芸の黒田健太郎さん・和義さんご兄弟との共著作「グリーントータルプランツブック」。前半の1/3を私が執筆担当しており、実例も交えた植栽論と植物の解説をしています。


私の最初の著作本「刺激的・ガーデンプランツブック」は、出版社のご都合で現在絶版となっていますが、この本に書いた内容も含めて、今後の出版物に盛り込んで、なんらかの形で情報としてこれからも手に入るようにはしていきたいと思っています。


noteの「乙庭植物図鑑」では、これまでの著書では解説していない植物も積極的に取り上げていく予定です。

自分だけの特別なお庭造りの参考になれば幸いです😊✨

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