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【乙庭植物図鑑】20230216 サクシフラガ ストロニフェラ (= ユキノシタ) 御所車 (Saxifraga stolonifera'Gosho-guruma')

これまで、著書や歴代ブログやwebメディアなど、さまざまな媒体に植物の解説を書いてきましたが、結構情報が散逸している状態になってきたので、マイペースではありますが、note.に私の植物や植栽に関する知識をまとめていきたいと思います(ライフワークにできたらいいな😊)。

今日は、山野草愛好家の間ではよく知られる品種ですが、ガーデニング素材としても常緑のカラーリーフグランドカバーとしても利用価値の高い、 サクシフラガ ストロニフェラ (= ユキノシタ) 御所車 (Saxifraga stolonifera'Gosho-guruma')を紹介します。
※以下、ユキノシタ 御所車と表記します。


ユキノシタ 御所車は、和風庭園の下草などに利用されることも多くピンク×白色の風変わりで美しい花や葉脈模様の装飾性などからも日本人にもその野趣や園芸みが好まれてきた植物 ユキノシタのとても素敵な外覆輪品種です。

特に、冬場の寒さに当たると外覆輪部分がピンク色に染まり季節的な美しさもあり、常緑性で日本の気候にあったグランドカバー素材やウインターガーデンの見どころとしても活躍します。

外覆輪の入らない基本種のユキノシタは、日本および中国原産の常緑多年草です。

日本では山林のやや湿った場所や民家の石垣に着生した状態などで自生が見られます。

ユキノシタは、山野自生種特有の野趣を感じさせるだけでなく、深緑地の葉に入る白い葉脈模様や赤みがかった葉裏や葉柄の装飾性から、和風庭園の下草にもよく使われます。

本種 御所車はそのユキノシタの美しい外覆輪葉品種です。日本では比較的古くから山野草愛好家に親しまれてきましたが、一般のガーデニング素材としてはまた比較的珍しいものです。

本種の外覆輪斑は冬場に幅広く現れ、寒さに当たることでピンクみを帯びた発色となります。夏場の高温期は比較的斑が薄れ基本種のユキノシタのようなような深緑色みとなります。

またユキノシタは、初夏の頃に咲く花がちょっと風変わりで可愛らしく美しいのも魅力です。20〜25cm程度の花茎を伸ばして円錐花序で咲く5弁花。

上側の3弁は小さく、ピンク地に濃いピンクの斑点模様が入り、下の2弁は白色で上弁よりも長く垂れ下がるように咲きます。

株が充実してくると赤ピンクみの細いランナーを伸ばしてその先に子株が発生して
グランドカバー状に増えていきます。

ランナーの性質を利用して吊り鉢などにしてランナーの子株が垂れさがっている「オリヅルラン」のような見せ方もできます。

日本ではよく石垣などの隙間に定着して垂直面にも着生植物のように生えている姿も散見されます。

もともと日本原産の植物ですので気候環境に合って育てやすいです。
比較的湿った日陰〜半日影の場所に適します。

個性的なカラーリーフプランツとしても楽しめる常緑素材。
グランドカバーや垂れる素材、着生や壁面緑化など、多用途で使い道が考えられる、昔からあるけれど現代のガーデニング素材としては新感覚に使える素敵な品種といえるでしょう。


■サクシフラガ ストロニフェラ (= ユキノシタ)
■ 学名 : Saxifraga stolonifera'Gosho-guruma'
■ ユキノシタ科 耐寒性宿根草 冬季常緑性
■ 花期 : 初夏
■ 草丈 : 25cm程度(開花時の高さ)
■ 耐寒性 : 強い
■ 耐暑性 : 強い
■ 原産地 : 日本、中国


最後に私 太田敦雄の著作や掲載誌をいくつかご紹介します。
2024年1月16日発売(本記事執筆時点では発売前)のガーデニング雑誌「Garden&Garden vol.88 (Spring 2024)」。
巻頭特集「風景ガーデニング」にて、私 太田敦雄 / ACID NATURE 乙庭 を8ページにわたり掲載いただいています。私の設計案件の中でもこれまで一般誌で解説紹介していない2つの住宅を実例に写真豊富に、自分が思い描く植栽風景を形にしていく思考のコツなどについて解説しています。私のページ以外も人気ガーデナー、ガーデンデザイナーさんの多様な植栽事例をお楽しみいただけます。

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私と、おぎはら植物園の荻原範雄さん、フローラ黒田園芸の黒田健太郎さん・和義さんご兄弟との共著作「グリーントータルプランツブック」。前半の1/3を私が執筆担当しており、実例も交えた植栽論と植物の解説をしています。

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私の最初の著作本「刺激的・ガーデンプランツブック」は、出版社のご都合で現在絶版となっていますが、この本に書いた内容も含めて、今後の出版物に盛り込んで、なんらかの形で情報としてこれからも手に入るようにはしていきたいと思っています。

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noteの「乙庭植物図鑑」では、これまでの著書では解説していない植物も積極的に取り上げていく予定です。
自分だけの特別なお庭造りの参考になれば幸いです😊✨




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