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【乙庭植物図鑑】20230104 アラム イタリクム ‘マーモレイタム’ (Arum italicum ssp. italicum 'Marmoratum')

これまで、著書や歴代ブログやwebメディアなど、さまざまな媒体に植物の解説を書いてきましたが、結構情報が散逸している状態になってきたので、マイペースではありますが、note.に私の植物や植栽に関する知識をまとめていきたいと思います(ライフワークにできるかも😊)。

今日は、乙庭でもお気に入りで長年育てていますが、ちょうど昨年末に球根を植え増ししたアラム イタリクム ‘マーモレイタム’ (Arum italicum ssp. italicum 'Marmoratum'))を紹介します。

撮影:2017年4月17日

アラム イタリクム の基本種はイタリアなどヨーロッパ南部の森林地域原産の球根(塊茎)植物です。

本種  ‘マーモレイタム’  は、矢尻型の緑のツヤツヤ照り葉にクリーム色の
マーブル葉脈模様が鮮やかに入る品種です。

英国の名園 ベス・チャトーガーデンなど海外の先進的なガーデンでも、冬の印象的なシーンにこの植物が使われていることが多く、日本でも2010年代後半から少しづつ秋植え球根として流通が見られるようになってきました。

球根は上写真のような形状で、関東では11月頃に横に寝かすような向きで球根上に3〜5cm程度土がかかる程度の深さに植えます。

本種は夏季休眠型の生態を持っており、日本では初冬の頃に芽吹き、冬の間も徐々に生育し、冬〜春にかけて少し熱帯の植物のような雰囲気を感じさせる照り緑色にマーブル状の葉脈模様が入った装飾的な葉を楽しむことができます。

関東地方では5〜6月頃にミズバショウの花を透明感のある白緑色にしたような仏炎苞を伴った花序を咲かせます。

開花後は休眠期に入り地上部が枯れてなくなります。海外の書籍では、下写真のような鮮やかな朱赤色の実を秋に楽しめるとの記述を多く見るのですが、私の栽培経験上だと開花をしても花茎はそのまま枯れて休眠に入ってしまい、実ったことがありません。

もしかすると日本の高温多湿な夏の気候環境だと花茎が腐ってしまい実が熟すまで持ち堪えられないのかもしれません。

本種はヘレボルス(クリスマスローズ)とも原生地の環境が近かったりもするので、クリスマスローズとの組み合わせはとても理にかなっているといえるでしょう。

その他エピメディウム(イカリソウの仲間)やエランティスなど早咲きの球根類などと組み合わせるとウィンターガーデンの絶好の見どころとなります。

私が長年育てた経験的には、関東地方あたりでは植えっ放しで夏冬問題なく越し、特に球根を掘り上げないで宿根草感覚で育てられます。
夏に球根が腐るようなことも少なく難易度としてはとても容易な部類といえるでしょう。

原生地の環境は日本よりも降水量の少ないやや明るめの森林地域です。冬葉を観賞でき夏季休眠する植物ですので、日本での栽培は落葉樹の株元など冬は日当りよく、夏は半日陰で水はけのよいところが理想です。

【プランツデータ】
■アラム イタリクム ‘マーモレイタム’
■ 学名 : Arum italicum ssp. italicum 'Marmoratum'
■ サトイモ科
    耐寒性球根植物
■ 花期 : 春〜初夏(関東では5〜6月頃)
■ 草丈 : 30cm程度(開花時の高さ 葉は地際に展開する)
■ 耐寒性 : 強い
■ 耐暑性 : 普通
■ 原産地 : ヨーロッパ南部


最後に私 太田敦雄の著作をいくつかご紹介します。
私と、おぎはら植物園の荻原範雄さん、フローラ黒田園芸の黒田健太郎さん・和義さんご兄弟との共著作「グリーントータルプランツブック」。前半の1/3を私が執筆担当しており、実例も交えた植栽論と植物の解説をしています。


私の最初の著作本「刺激的・ガーデンプランツブック」は、出版社のご都合で現在絶版となっていますが、この本で書いた内容も含めて、今後の出版物に盛り込んで、なんらかの形で情報として手に入るようにはしていきたいと思っています。


noteの「乙庭植物図鑑」では、これまでの著書では解説していない植物も積極的に取り上げていく予定です。
自分だけの特別なお庭造りの参考になれば幸いです😊✨


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