見出し画像

【乙庭植物図鑑】20230102 ハケア ラウリナ [Hakea laurina]

これまで、著書や歴代ブログやwebメディアなど、さまざまな媒体に植物の解説を書いてきましたが、結構情報が散逸している状態になってきたので、マイペースではありますが、note.に私の植物や植栽に関する知識をまとめていきたいと思います(ライフワークにできるかも😊)。

今日は、私も庭植えで5年ほど育てていて今年初めて美しい花を咲かせてくれたオーストラリア原産の 常緑樹 ハケア ラウリナ(Hakea laurina)を紹介します。

乙庭店頭植栽の個体は現在樹高3.5m程度で、今回はずいぶん高い位置に花が咲いたため、見上げるような写真になってしまいましたが、たぶん日本国内では開花例がとても少ない花と思いますので、貴重な記録と思い撮影しました。

ハケア・ラウリナは、英名 ピンクッションハケアとも呼ばれる、オーストラリア南西部固有種のヤマモガシ科の常緑樹です。

英名にも表されているように、赤みの球状の花序からクリーム色またはピンク色の雌蕊がピンクッション(針山)を連想させるように飛び出した美しい花を咲かせます。

オーナメンタルな切り花素材としてもよく知られるプロテアやグレビレアなどと同じヤマモガシ科に属する植物ですが、2024年現在、日本では切り花も苗も流通がほとんどないに近いくらい少ない植物です。

ハケア属はオーストラリアに150種ほどの固有種が知られていますが、本種ラウリナはその中でも日本の気候環境下でも比較的育てやすく、かつ花も葉も観賞価値が高く庭植え素材としてもとても面白いもののひとつといえるでしょう。

オーストラリア西部原産の植物は、原生地の気候が日本とは大きく異なるため、日本では栽培しにくいものが多いのですが、私が庭植えで育てた感じでいうと、日本でも育てやすいユーカリ ポリアンテモス(ポポラス)の樹勢をさらにおとなしくさせたような雰囲気で、勢いよく伸びすぎることもなく、私が住んでいる群馬県前橋市(夏は日本有数の酷暑地で冬は乾燥して最低気温マイナス5℃程度)の気候にも順応して育てやすいです。

ユーカリの葉色を連想させるような灰水色みの常緑葉もオージープランツの雰囲気があって美しく、葉の美しい異国情緒のある常緑樹としても植栽価値が高いです。

花は冬に咲くのですが、私が育ている個体もこれまで毎年ツボミをつけてはいたのですが、年末の寒さが厳しいとツボミが傷んでしまうようで、これまでは真冬にはツボミがカラカラに乾いてしまって開花を見られませんでした。

2023年末〜2024年初は例年よりも気温が高めだったのが幸いしたようで、今年初めての花を見ることができました。
私が住む地域は関東地方では北部で寒い方のエリアなので、関東南部など日本でも比較的温暖な地域であれば、毎年花が見られることと推察されます。

薙刀状の灰水色葉と赤×クリーム色の球状花序との色形の対比も美しく、庭植えでも切り花にしても楽しめますね。
葉だけでもユーカリの切り枝のような見た目が楽しめますので、剪定枝をアレンジメントなどに使っても素敵でしょう。

また、冬場の寒さに当たると葉が赤紫っぽく色づくこともあり、その葉色もウィンターガーデンで異彩を放ちます。

樹高4〜5m程度に育つ樹木です。
バンクシアやティーツリーといった、関東地方あたりで庭植えできる耐寒性のあるオージープランツや、ユーフォルビア、アガベ、ユッカなど乾燥地系のオーナメンタルプランツとも組み合わせのとても相性がよいです。

南半球原産のヤマモガシ科ネイティブプランツに多く見られる傾向ですが、もともと肥料分の少ない乾燥地域原産の植物で、リン酸系の肥料や肥沃な土壌を好みません。肥料は、リン酸系をあまり含まないものかごく少量与える程度で栽培する方が健全に育ちます。

私の栽培経験上、関東平野部あたりまでは屋外でも越冬可ですが、耐寒性万全というわけではないので、南向きの暖かい場所を選んで植栽するとよいでしょう。

花も葉も個性的で植栽の中でとてもよく目を引く、庭友達と差別化が図れる通好みな新感覚素材です。

【プランツデータ】
■ハケア ラウリナ
■ 学名 : Hakea laurina
■ ヤマモガシ科
    耐寒性常緑種
■ 花期 : 冬(関東では12〜1月頃)
■ 樹高 : 5m程度(日本での栽培での現実的サイズ)
■ 耐寒性 : 耐寒性(-5℃ 程度)
■ 耐暑性 : 強い
■ 原産地 : 西オーストラリア(原種の主な自生地)


最後に私 太田敦雄の著作をいくつかご紹介します。
私と、おぎはら植物園の荻原範雄さん、フローラ黒田園芸の黒田健太郎さん・和義さんご兄弟との共著作「グリーントータルプランツブック」。前半の1/3を私が執筆担当しており、実例も交えた植栽論と植物の解説をしています。


私の最初の著作本「刺激的・ガーデンプランツブック」は、出版社のご都合で現在絶版となっていますが、この本で書いた内容も含めて、今後の出版物に盛り込んで、なんらかの形で情報として手に入るようにはしていきたいと思っています。


noteの「乙庭植物図鑑」では、これまでの著書では解説していない植物も積極的に取り上げていく予定です。
自分だけの特別なお庭造りの参考になれば幸いです😊✨


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?