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【乙庭植物図鑑】20230714 オキシペタルム カエルレウム [Oxypetalum caeruleum]

これまで、著書や歴代ブログやwebメディアなど、さまざまな媒体に植物の解説を書いてきましたが、結構情報が散逸している状態になってきたので、マイペースではありますが、note.に私の植物や植栽に関する知識をまとめていきたいと思います(ライフワークにできるかも😊)。

今日は作り物のような幻想的な水色花が出荷品の中でも目立っていたオキシペタルム カエルレウム (Oxypetalum caeruleum)を紹介します。

夏の暑い時期も開花するこの幻想的な花はかなり使えますよね。

おしゃれなフラワーアレンジメントなどでも
しばしば使われる美しい水色で星型の花を 
初夏から晩秋までの長い期間楽しめ、
花後に実るオクラ的な種鞘や、
鞘が熟してパカっと割れて現れる、
キラキラ光を乱反射する羽状の種子も
オーナメンタルかつ劇的で
たいへん魅惑的なガガイモ科(キョウチクトウ科)の植物です。

南米原産のガガイモ科の植物で、やや寒さが苦手ですが、関東平野以南の温暖地では、庭植えで越冬できる程度の耐寒性があります。

逆に耐暑性はあり温暖地では育てやすく、開花期も長いので、日本でのガーデニング素材としても新感覚と評価しています。

お洒落なフラワーアレンジメント花材としての流通は多いですが、庭植えで見ることは少ないので、差別化が図れる素材ですね。

フラワーアレンジメントに使って室内に飾ってみた例


繰り返し咲き性が強く、初夏〜晩秋までの長い期間、美しい花を繰り返し咲かせてくれます。
切り花にしてもとても美しいので、楽しみの幅も広いですね😊

耐暑性もあり、地植えであれば比較的乾燥にも耐えるので、ユーフォルビアやユッカ、デロスペルマやアスパラガスなどのドライガーデン系オーナメンタル素材とも生育環境が合います。

起毛質感の葉も特徴的で
リーフプランツとしても
植栽の中で独特な雰囲気を発します。

半ツル性の草姿で、放任しておくと頼りなく
倒れやすいです。花後のタイミングで
地上2節あたりの位置で低く刈り詰めると
脇芽が出てほどよい高さで開花します。

また、ガガイモ科の植物に多く見られる特徴として本種も、花後にはぷっくりと膨らんだオクラ的なオーナメンタルな細長く大きめの種鞘ができます。種が熟すと鞘が割れて、綿毛のついた種が露出し、たいへん風変わりでオーナメンタルです。また種子の綿毛がキラキラと日光を乱反射しながら風に飛んでいくさまも動的でドラマティックです。

この種鞘から種子が風に飛んでいくまでの観賞価値については、園芸の専門書でもあまり触れられることはないので、そこまで計算して植栽されていると園芸上級者な印象をアピールできますね。

前述のように本種は半ツル性の草姿なので、
初夏〜秋までは花後の切り戻しをして草丈低めに仕立て、
秋の最後の花を実らせて晩秋にドライになっていく
種姿を鑑賞してから刈り戻しをして、
越冬に備えるとよいでしょう。

前述のオーナメンタルプランツとの組み合わせのみならず
ユーパトリウムやベルノニア、
ヘレニウム、エキナセア、ルドベキア、
アガスターシェ、グラスの穂といった
夏から秋に見頃を迎える
野的な植物との組み合わせも面白く、
単なるナチュラルガーデンとは
ちょっと違った造形美と花から種への
ドラスティックな変化の面白さを
添加することができます。

【プランツデータ】
■オキシペタルム カエルレウム
■ 学名 : Oxypetalum caeruleum
■ ガガイモ科(キョウチクトウ科)
    半耐寒性多年草 冬季常緑~半常緑種
■ 花期 : 初夏~秋
■ 草丈 : 50~60cm前後
■ 耐寒性 : 半耐寒性(-5℃ 程度)
■ 耐暑性 : 強い
■ 原産地 : 南アメリカ(原種の主な自生地)


初夏の開花では↓のような植物と見頃が合います。

アキレア各種
ホルデウム ユバツムやスティパ テヌイシマの乾いた種子
エキナセア パリダ系統の花
アリウム ニグルムのボリューミーな種鞘



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