見出し画像

宣材写真「素材が命!」の衣装選び:身長140cm台の小柄さんのサイズを活かすには


  宣材とはタレントや声優さんなど、芸能活動をしている方が「宣伝材料」として使う写真のこと。事務所に所属するときの宣材はこれからのお仕事を決める大切なもの。シンプルだからこそ、ある意味服に頼れない。着ている人の中身が出る。表情や姿勢、仕事にかける心意気みたいなもの。。。。そんなお話を共有いただいて、これからの顧客様のご活躍は私が選ぶ服にかかっている、そんな運命共同体として真剣勝負です。後半には小柄なサイズにあうお店や選び方もご紹介しているのでぜひ最後までご覧ください


宣材に求められるもの
 


 一番は、タレントさん・声優さんなど被写体の「素材」がよく伝わること。事務所からイメージや方針が示されることも多いですが、仕事の間口を広げられるようにその人そのものがよくわかるかどうかがポイントとされることが多いです。今何ができるか、よりもどう味付けできる素材なのか。タレントさんやモデルの場合は、その人の素材=外見的特徴がよくわかり生かされているかが何よりのポイントです。 
 声優さんの場合は、外見的な特徴というよりもその方のキャラクターや世界観を伝えることを重視してイメージを作られることも多いです。この場合は、実績ある仕事分野や求められる役割、魅せていきたい方向性を、ご本人や時には事務所の方のご意見も客観的に取り入れながら進めていきます。
 
 
 今回スタイリングをご依頼くださったのは、タレント・モデルとして活動される方のもの。目的としてはその方の「素材を活かす」ことを意図しての撮影。事務所からは特にイメージの硬い縛りはないということだったので、体型的なことが伝わる、スタイルの良さが活かせることを念頭に考えていきます。
 ここで、一つ大きな問題が。今回ご依頼くださったのは、サイズに普段からとても苦労されているご身長が146センチ、ウエストが55センチというとっても華奢で小柄な方。身長も、骨格も、頭のサイズも、全部がキュッと小さくってバランスよいのですが着る服は普段からとっても苦労をされておられました。自分に合う服がなかなかない。しかも今ビッグシルエットでゆるっとしたものが流行り、普通サイズでもダボダボ。なのに宣材ではスタイル良く、体型を生かさないといけない。私の
腕の見せ所ですね!  
 

宣材の基本的な考え方

 よくある宣材の例としてはスタイルの良さを活かす、体型がわかるという点で ミニスカートやショートパンツもよく使われるアイテムです。また、あまり柄や服に目がいくインパクトのあるものは避けて(大きなアクセサリーも同様)着ている人があくまでメインとなるように。洗練された雰囲気は必要ですが、おしゃれやトレンドの過剰な盛りは服が中心になるので避けた方が良いです(宣材の目的として)。
 また、ヘアメイクも普段の「行き届いた感じ」が伝わることが何より。髪型はまとめ髪よりもダウンスタイルの方が、髪の長さがわかるので仕事の際のアレンジの参考にしやすいということがあります。
 バストアップと全身が求められるのが通例ですが、靴はスタイル良く見えるようにヒールを合わせ、ポージングに応じて無駄なラインが出ないようにシンプルな服装にします。撮影当日のシワが出ないようにアイロンや、毛玉・シミなど服装の状態にはもちろん十分注意をしてください。
 華やかで目立つ色を使うというのは、自分のイメージや方針がある程度固まっていると効果的です。一方で色の印象が強くなってしまうと、違うキャラクターやイメージを求められると困るな、、、、と思うのであれば潔く白やオフホワイトなど自分のイメージが服や色に引っ張られないアイテムを選ぶことをお勧めします。



今回のスタイリングの方針
 

 何より体型スタイルがよく見える、というのは最低限必要なことですが、だからと言ってそれだけでなんでもいいわけではなく。それでも魅せたいイメージや、ライバルはどんな感じなのか?今決まっているお仕事やこれから取り組んでいきたいお仕事はどんなものか?などを掘り下げて装いの方針を決めていきます。

 今回は30代で、お子様向けのナレーションをしたり、ファンの方も男女ともにいらっしゃる方なので男性目線すぎず、信頼感や安心も感じられるようにという要素が入っていました。ですので、ボディラインはある程度わかるようにだぼっとした印象にはしないが、子供っぽくならないように肌見せの分量を計算しています。今回ご提案のアイテムは、撮影だけでなくレッスンやお仕事でも使えるように、ということも考えてこれからのお仕事シーンを確認しています。 
 
 

小柄な方の「ちゃんとサイズを合わせる」方法


1、小さなサイズが豊富なお店に行く。
2、必要に応じてお直しをする。

サイズに対して妥協をしない。これが全てです。

1、小さなサイズが豊富なお店


 10-20代がターゲットのブランドはそもそものサイズ設定が細身なので狙い目です。ルミネestには多くこのようなブランドがあります。デザインによっては派手すぎたり、素材が少し着る人の年齢にしてはチープに見えやすかったりするものもありますので、なるべく無地のニットや、生地の厚みがしっかりしたボトムなどを選ぶと大人の女性にも合いやすいのではないでしょうか。
 他には、キッズサイズも使えます。ZARAは大人の人も違和感ないデザインで、かつ同じお店にレディースもキッズもあるため組み合わせてのチョイスもしやすくお勧めです。
 デパートの子供売り場では、ハイブランドのTシャツなどが ブランドネームがついているのにそのお値段で!というようなお買い物ができるのがキッズサイズ。デザイン的に無理がないものであれば試して見るのもいいかも。また、女性でも BOYSのシャツ、ジャケット類は試して見る価値ありです。


2、必要に応じてお直し 


 5号サイズでも大きいということもあります。ウエストさえ小さければ後のデザインなどは完璧、、という場合 ベルトでごまかさずにウエストを詰める!このような細部が全体の完成度を上げます小柄な方は自分のジャストフィットを着た経験がほとんどないという場合が多いです。大きいのが当たり前で、それがスタンダードになっています。袖も長いし、ウエストは腰位置に落ちるのが当たり前。なので多少の大きさはまあいいか、と「するしかなかった涙」というのが現実とたくさんこれまでもお聞かせ頂きました。
 いちいちお直しをしなきゃいけないのか、、、というのも面倒ですが、キッズサイズでリーズナブルに自分にしか着れないものが見つかったら、それはその方の大特権ですし^^ いわゆる平均的な体型の方でも、お直しは必要になることもあります。
 最近はビッグシルエットが流行であるので、全てをキツキツに合わせないといけないなんてことはないです。あえてそれが大きく着ているよ、と見えていればOK!そのためには、合わせるところがあっているとよりそうなりやすいのです。スカートのウエストがあっていれば、ニットがふんわり萌え袖で可愛い、というように。


顧客様へのご提案


 まずはいつものいわゆるbeforeの状態では。こちらはファッションカウンセリングにお越しいただいた際に撮らせていただいたものを、ご本人様の許可を得て掲載しております(ありがとうございます!)。

画像4



 高いヒールをお召しですが、特にスカートがウエストが大きくって(だってそれしか見つからないから仕方なく)腰履き状態になってしまってます。カーディガンも、柔らかくそれ自体で形がしっかり作られるアイテムでは無いので華奢な体にだぼっとお召しになるしか無いのでボタン位置が低くなり重心が実際よりも下がってしまいます。

 そこから、今回私がご提案させていただいた装いでの宣材写真はこちらです!

画像1

トップス: ZARA レディースサイズ XS
スカート: ZARA Girlsサイズ 140
モデル:ご身長 146cm 、 ウエスト 55cm

 ご本人様がお一人で立っておられると、サイズが合っているので特に小柄だということを意識させず、バランスの良さがわかるかと思います。
 
 デコルテの開きが大きめで肌の綺麗なところが良くわかるように。またタイトなリブニットですがデザインが少し感じられるように襟が大きく折り返しになっているものをチョイス。オフショルダーとしても着こなしに変化がつけられます。ニットの袖は長かったのですが、約10センチほど折り返しています。ここも、襟が折り返しデザインになっていることと、袖の折り返し幅が広いことで「敢えて」袖もまくっているデザインのように見せるテクニックです。

 華奢なご本人様は、ジャストウエストでスカートを履けることがほとんどなく、ボディラインが出るものを見つけるのはとても難しいとのこと。今回はGirlsサイズのスカートで、黒のエコレザーでできた細かいプリーツのものをご提案しました。こちらはウエストも、また着丈もちょうど膝が隠れるくらいのJUST!少しの攻め感を素材に込めて、しかし直線的なラインが細かく一見すると知的さも感じさせるプリーツです。
 
 黒いパンプスはお手持ちのもので、シンプルにヒールが高いものをお願いしました。足元にデザインがありすぎると目線が下がるため、なるべく靴は余計な装飾がないように。意外に時間がかかったのはストッキングです。足を綺麗に見せるのには機能性のストッキングがたくさん出ていますが、サイズが一番ネックになるご本人様にとっては「Sサイズがあるもの」かつ「着圧でしっかりフィットする(ずり落ちるのを防ぐ)」かつ「素足感がある色」を徹底比較。こうして服に頼らずにご本人様を活かす、スタイルを引き立てる装いを作り上げて行きました。

所謂 before → after 的に並べるとこうなります。

画像4

 ちょうど宣材のウエストあたりに手を置いているのでスカートの腰位置が比較しずらいですがゆるい服をだぼっと着ているのではなく、フィット感の違いが伝わればと思います。小柄な方は一般的に幼い印象に見られがちというのもあり、信頼や大人っぽさもスタイリングでは意図しています。

ご提案の流れ

 撮影の日程が決まっていたので、その期日に間に合わせることももう一つの課題。ファッションカウンセリングで装いの方針や宣材の目的、事務所の意向を確認し、私が事前に店頭リサーチを行なってショッピングを約3時間。その後のフォローをメッセンジャーのやりとりで行って撮影当日を迎えていただきました。お問い合わせがあってから1週間以内にカウンセリング〜ショッピングまで完結しています。スケジュール調整もご本人様にもご協力いただき、実現することができました。本当にありがとうございました!こうした駆け込みのご依頼も可能な限り対応しています^^撮影に同席することもメニューとしてはございますが、今回はご本人様が当日の着せつけをされています。
 当日のヘアメイクの様子は画像を送ってもらって確認をしたり、、やりとりもご協力いただき感謝です!今回は小顔ですっきりと、後れ毛で髪の長さをわかるようにしてアップで華やかにすることに。メイキングをご一緒できるのもワクワクしますね^^


画像2






 その服を着る意味や、服に求めることを明確にして実際の形にしていく一連のサービス。今後の顧客様のお仕事でのご活躍に向ける目線も当然熱くなります。まさに人生を装いから二人三脚させていただくのがパーソナルスタイリスト。この度は誠にありがとうございます!今後もずっと装いからエールを贈っています✨

お問い合わせはお気軽に^^



FACEBOOK: https://www.facebook.com/achukong/
TWITTER: https://twitter.com/atsukonishihata
INSTAGRAM: https://www.instagram.com/a.nishihata







 
 

 

よろしければぜひサポートをお願いいたします。読者の方ともう一歩深いコミュニケーションを深めたり、濃くご覧くださっている方に向けて何をお伝えできるかより考えていくきっかけとして役立たせて頂きます。