【コラム的】私とゴリ師匠の美肌挑戦記(2)【短編小説】
(前編リンク)
【第2章/後編】ゴリラの指導で、私の肌質改善中!(下)
「4つ目のメインイベントだ。スキンケアの仕方に移るぞ」
「あ、なるほどぉー!」
【ゴリラ】は冷静ゴリラであった。
順序を追わないと分からないことあるからな。
「スキンケアは1回30分程度かかってしまう。正直、メンドクサイ。だが、そのメンドクサイ作業を毎日、1か月しよう。さて、1か月で何が起こるかな?」
「皮膚のターンオーバーか。皮膚細胞が生まれ変わるんだろ。28日間でさ」
「学生は、教えたことの理解が早くて助かるぞ。理解しても、実践しないと、意味はないからな。ここからが大変だ」
「だろうねぇ……」
>スキンケアの流れ
1.洗う クレンジング/洗顔
2.補う 化粧水(水分)/乳液(油分)
3.守る UVケア
困った顔で、私は腕を組んだ。
たがが、3ステップなのに、重たく感じるのは何故だろう。
【ゴリラ】の言動は重たいけど、それだけじゃない。
【ゴリラ】はウホッた。
あ、ここが本質なんだろう。
ただ3ステップをいたずらにやれば良い訳じゃないんだ。
「女性が顔にすることといえばー?」
「あぁ、メイクね。クレンジングって、メイクは落とせよって意味でしょ? 角質みたいに皮膚を保護している訳じゃないから、完全に落とせよってことね」
「そうだ。ただし、ゴシゴシ、パンパン、ガシガシと力を込め過ぎると、繊細な皮膚が傷つく」
「うわぁ。めんどくせー」
男性の皆さん。メイクはこうだと思って。
顔をまともに見られるように、突貫工事しているんだって。
厚くし過ぎると、その分、工事後の解体が面倒なんだよね。
解体って、メイクダウンね。
しかも、その解体を丁寧にやれって、この【ゴリラ】は言うのさ。
面倒くさいでしょ?
「はい、クレンジングしました? 次は洗顔かな?」
「クレンジング剤は流すし、メイクしていないなら、ここからの洗顔が本番だ。優しさはここでもポイントだ」
「へーい。ぬるま湯《30度》よし。TとUの字に泡立てた洗顔剤を肌に乗せました。すすぎまーす。タオルは肌に乗せるように拭きます」
「素晴らしい! ユウホは美肌マスターに近づいているぞ! ただし、洗い流しやムラがないように丁寧にな!」
【ゴリラ】の言う通りだ。
肌を傷つけたら、清潔感を失って、アクネ菌の住処にさせてしまう。
つまり、肌への優しさが女子力をあげるのだ。
クレンジングと洗いは終わった。
水分を補って、油分でふたをするんだっけ。
【ゴリラ】は歯を見せて笑い頷いた。
「補うだ。洗ったら、失うだけだ。だから、水分→油分の手順で、肌を労わろう」
「OKゴリラ」
「OKゴリラ」
「でも、部屋にいる夜でもUVケア必要かなぁ」
「NOゴリラ!」
>生活紫外線とは:窓ガラスを貫通して、部屋にも紫外線は届く。
日中の晴れを100%とすると、曇りの日でも50%、雨の日でも30%は、紫外線を浴びている。
ただし、夜は紫外線量が少ないので、UVケアはさほど重要ではない。
夜、UVケア剤をしっかり落として肌を休める。
その代わり、日中は天候や室内外関係なく、UVケアはする。
「色々塗ってしまうと、アウトなこともある」
「あー、時間と場所と場合《TPO》を考えて、か」
「そうだな。特に公衆の場で、注意書きがあるときは、塗るものに配慮した方が淑女らしい」
「さて、ゴリラ。ここまで来れば、私は肌美人か?」
「NOゴリラ! インナーケアだ。美肌は身体の内側から作るぞ!」
洗顔などの話は、肌の外の話。
これからは肌の内側の話だ。日常生活を改善が必要な話もある。
>食事:
3食バランス良く食べる。
糖質は過剰に摂るな。その代わり、ビタミンやミネラルを多めに摂る。
<例>チョコでも、ビターチョコを食べて、ミルクチョコを避ける。野菜や海藻類をモリモリ食べる。
>運動:
肌の敵である、血行が悪くなる脂肪を燃焼させ、ストレスも減らす。素敵な運動習慣を。
<例>ストレッチやマッサージ。
>入浴:
半身浴でゆっくり入る。
リラックスできる香り。
あがったら、汗をかいた分、ミネラルや水分を摂る。
<プラスアルファ>身体を洗う時は、マッサージやストレッチをしながらがオススメ。
>睡眠:
良質な睡眠はとても肌に大事。
寝起きの時間、特に起床時間を毎日一定にする。
寝る前3時間程度は胃腸を休める。
寝る1時間前は、PCやスマートフォンを控える。
私は若干ひいた。
【ゴリラ】は行動に示さないとダメと言うし、これって美意識高いし、ハードル高いのだ。
「肌を綺麗にしたいという想いは、想うだけか。美意識だけ持っても仕方ない。何度も言うが、美肌は行動力あってこそだ」
「はーい。がんばりまーす」
ゴリラの講義は終わった。
だが、これから1か月が、私の美肌訓練であった。
私の生活リズムが変わって行く。
母は「あらあら~」と微笑みながら、監視【ゴリラ】のぬいぐるみを見ていた。
どうやら、ケントがくれたこのお節介【ゴリラ】に話しかける私に思うことがあるようだ。
肌を綺麗にしたいと言うと、母なりに食事のサポートをしてくれた。
本当にありがとう!
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【第3章】最近、キレイになったね?
あれから1か月以上経っていた。
バドミントン練習試合が終わり、翌日のオフ日。またケントに誘われた。
私は可愛い服が着られるように変わった。それだけでない。
ケントはじーっと私の顔を見る。
「最近、キレイになった? 特に肌……」
「ありがと!」
何だか、幼馴染の視線が本気であった。あ、私が若干怒った目をしていたからかな。
今更、じろじろ見る顔でもないでしょうよ。もー、恥ずかしいったら。
ケントは困った顔で笑った。
「ゴリ師匠は元気?」
「うん。そうそう。ケントがくれたゴリラのぬいぐるみが私を美肌マスターにしてくれたの!」
「そっか……。ごめん、ちょっと配慮がなかったと思っている。俺の好きを押し付けたから。そういうのはダメだって、妹に怒られたよ」
「何がダメなの?」
「え、何で?」
最後のすれ違いを埋め合わせる。
私は美肌になったのがケントの不満だと思った。
しかし、ケントはゴリラのぬいぐるみを女の子にあげる意味をよく考えていなかったのだ。
「俺、ゴリラのぬいぐるみは子供の頃からずっと好きだ。だけど、素敵なパートナーとして、ユウホのことはずっと愛していたい! これからは俺と一緒に、世界で一番素敵な君が、ゴリラのぬいぐるみを愛でてほしいんだ!」
「はーん、そういうことね。良いよ! ゴリ師匠には私、絶対に負けません!」
それ、どういうことだよと、お互いに最高の笑顔を向け合った。
あぁ、私、そういえば自信を持って、ちゃんと笑えるようになったね。
【FIN.】
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>出典
・最新版 肌美人になるスキンケアの基本 悩み解消パーフェクトBOOK
友利新 Gakken 2014年
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