ハクリの生け贄の儀式の最中、 かがり火を1つ吹き飛ばして現れたタロウ。 里の者たち、クリーバ、そしてハクリが驚きの表情を見せる中、 タロウはゆっくりと周囲を見渡す…
御山の山中。 タロウは狩りに出ている。昨夜のハクリの言葉を反芻している。 回想のハクリ「あなたは何も選ばなかった。」「いや、何もしないことを選んだ。」 心が落ち着…
ここは、繁栄を極める大都からはるか西に、遠く遠く離れた辺境の山地。 原始の頃から時がとまったような暮らしを営む山里の集落が山あいに点々とあり、そうした里の者たち…
阿曽あち
2024年6月25日 03:17
ハクリの生け贄の儀式の最中、かがり火を1つ吹き飛ばして現れたタロウ。里の者たち、クリーバ、そしてハクリが驚きの表情を見せる中、タロウはゆっくりと周囲を見渡す。ユンジの父「な、なんじゃ…貴様は?」慌てて里の男たちが槍や弓矢を構え、タロウに向ける。ユンジの声「待て! 待ってくれっ」遅れてユンジが到着する。ユンジは両膝に手をつき、呼吸が大きく乱れている。ユンジ「なんちゅー…脚力じゃ…
2024年6月25日 03:14
御山の山中。タロウは狩りに出ている。昨夜のハクリの言葉を反芻している。回想のハクリ「あなたは何も選ばなかった。」「いや、何もしないことを選んだ。」心が落ち着かず、獲物の野ウサギに近づくが、気配を悟られる。慌てて飛びかかるも、逃してしまう。簡単な狩りすらしくじるタロウ。タロウ「ぬああああっ!」タロウの放つ大絶叫から伝わる苛立ちが周囲に広がり、木々から鳥たちが一斉に飛び立つ。ざわつく森。
2024年6月25日 03:02
ここは、繁栄を極める大都からはるか西に、遠く遠く離れた辺境の山地。原始の頃から時がとまったような暮らしを営む山里の集落が山あいに点々とあり、そうした里の者たちから御山(おんやま)と呼ばれる霊峰があった。御山。人間界と鬼界のはざまにあり、手つかずの原生植物や野生動物が息づく。さながら桃源郷のようなところ。里の者たちは畏敬の念を抱き、神域を崇め、ほとんど誰も立ち入らない。ナレーション「