インタラクティブな虚構で人と繋がる面白さ 2023/01/27

あけおめ(激遅)

小説や映画、ゲームにはない強烈な没入感がTRPGにはある。それぞれ別の種類の没入感なので、本来比較できないのかもしれないけれど、強さで言えばダントツでTRPGが強いなぁと思う。

複数人で同じ世界観を共有する、しかも虚構性の強い世界を共有するという部分は宗教に近いものがあると思う。宗教との違いは大きく2点。「信仰心の有る無し」「その世界観をリアルなものとして日常と連続させているか、させていないか」ということ。「虚構を"同時に"共有する」のは映画館で同じ映画を観たり、読書会で感想を言い合う体験とは違う。虚構からの刺激を同時に体験し、それを受けて反応し合う。ハマる人はハマっちまう。

この没入によるドーパミン分泌は、コミュニティへの帰属意識を助長させる副次的効果があるようにも思う。世界観の共有が完了した人間同士にはラポールが生まれるというのは心理学の古典的な知見だが、宗教よりもライトにそれが可能なのがTRPGだ。セッションはミサなのだ。だから、「恋人の生活基盤がオンラインセッションコミュニティーに奪われた」という悲惨な内容の匿名はてなブログを書かねば気がすまない人が出てきたとしても、あまりフシギに思わない。それほどの引力がTRPGにはある。怖い。

この引力にあら難いがたくなった時、普通の価値観の人ならば、ここらで足を洗うか、と思うに至るだろう。しかしこの際、とことん、この沼にどっぷりとハマってみようと去年の11月頃から参加する卓(TRPGで遊ぶ単位のようなもの。シナリオ毎に1卓と呼ぶ)を増加させ、12月は殆どTRPG漬けの生活を送った。

ついでに、自分がKP(ゲーム進行役)になった作品で、とくにお気に入りだった宴規さん作『塔葬の国』をセッションするときには、CCFOLIA(ココフォリア)というTRPGをオンライン上でやるための補助サイトで使用する場面、シーン毎のBGMも簡易的ではあるが40曲近く作成した。TRPGをはじめて、普段自分が作らなそうな音楽を作ってみたりと、かなり楽しい副産物が生まれた。

他の卓に参加したときも、今までの読書体験がRPにおいてもPLとしての選択肢においても、それらがいきた実感があった。進研ゼミの言う通り。自分で作成するキャラクターの設定を深掘りすることで得た知識が、シナリオ攻略に良い影響を与えるようになってきた。
もちろん裏目にでることが殆どなのであるが、まさかあの時何の気無しに作った設定が、奇跡的に物語とマリアージュしたときの恍惚感(そして大抵の場合は絶望感)はとてつもない。

日々宗教的儀式に身をやつし、悟りの前兆をつかんだ修行僧か、はたまた艱難辛苦に耐え忍び、神のサインを日常に見出したクリスチャンのごとくに、TRPGのセッションには快感がほとばしる。

しばらくやめられそうにない。というか、おそらく。しばらくはこっちの人間になりそうだ。

もしCoCに興味があったらお知らせください。イントロダクションで1時間、実際のお試しセッションで2~3時間程度で完走できるシナリオを用意しております。ぜひ。

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