ゴシックってば吸血鬼!!
どうして、吸血鬼がバンドをやったらヴィジュアル系なの?
その謎を解くためにはまず、ヴィジュアル系の起源を探らなくてはいけない。
ヴィジュアル系は、元はお化粧バンドと呼ばれていたことはみなさんご存じだと思う。具体的なバンドを上げれば
X JAPANや
LUNA SEAだ。
そして更にさかのぼると、『黒服系』バンドに行き着く。具体的には
BUCK-TICKや(いまだに現役、今度LIVEいきますエヘヘ)
BOOWYだ。
この黒服系、元々はなんだったのかと言えば、『ポジティブ・パンク』もしくは『ゴシック・パンク』だった。
ポジパンは、なんかもう定義があやふやのわやわやで、調べたところどうやら当時の英国メディアが無理矢理名付けた感があるので、ここではわかりやすく『ゴシック・パンク』を見てみよう。
イギリスは80年代、パンクが弾けたこの時代、雨後の筍のていでニョキニョキ現れたポスト・パンク(パンクの後継者)の一軍、妙に暗く、血色の悪い化粧をして歌うバンドがあった。
それをバウハウス、という。
このバンドはイギリスどころか、世界中に影響を与え、例えば当時、イギリスのバンドを積極的に紹介していた雑誌『FOOL’S MATE』の創設者は、影響を受けてトランス・レコードを作った。
後に、『FOOL’S MATE』はヴィジュアル系専門雑誌となり、トランス・レコードのおっかけ娘はトランス・ギャルと呼ばれ、わたしたちバンギャルの始祖だと言われた。
そして!あまたの黒服系バンドが生まれ、ハードコアやパンクシーンとくっつき、X JAPANを生み出したんである。
『ゴシック』。
この現代日本において、ちょっとでもヲタク趣味に手を出せば、一度は耳にしたことのあるこの言葉。
わたしが初めて聞いたとき、コレは『ゴシック&ロリータ』の中にいた。
いわゆる『ゴスロリ』。
見たことあるよね!
そのとき、わたしはバンギャルで、『KERA!』っていうバンギャル御用達パンク・ゴスロリ・ロリータ・ポップ、その他魑魅魍魎のユースカルチャー…いやいや日本ではそれは、サブカルファッションと呼ぶものだ、そうそれらを、煮詰めたような雑誌を愛読していた。
そこでは、ロリータとゴシックは別物として載っていて、わたしも、この別物だった2つがくっついてのゴスロリなんだなぁ、と思春期ながらに理解した。
他に耳にしたのは乙一の『GOTH』。
GOTH、死に関するものを愛好すること、と小説にあったが、このGOTHとはゴシックだ。
多分、みなさんだって、GOTHかゴスロリか、そのどちらかで名を知ったのではないのだろうか。
さて、このゴシック。≪建築様式とは関係がない≫。
元々は80年代イギリスのポストパンクとして生まれた、というのは語ったけれど、彼らが意識したのはゴシック・リバイリバル時代『18世紀』の―ー文学である。
『ジギル博士とハイド氏』!!
(ラルク好きは絶対読むので有名)
『フランケンシュタイン』!!
そして……『吸血鬼ドラキュラ』!!
魔女! ゾンビ! 黒魔術!! 二重人格!! 怪物!! 幽霊!!!
吸血鬼!!
これらの世界観を、バウハウスを始めとした、ゴシック・ロックのみなさんは取り入れ、全世界に拡散させたのだ。
デビューアルバムは『Bela Lugosi’s Dead(ベラ・ルゴシの死)』。
映画『魔人ドラキュラ』の主演・ドラキュラを演じたことで有名な怪俳優をモデルとしている。
代表盤がね、もう吸血鬼。
(個人的にベラ・ルゴシは『エド・ウッド』の印象が強いが)
そう、ヴィジュアル系とはつまり、ゴシック・ロックの――子? 孫?
えー、いうならばヴァンパイアの子、ダンピールなんであるッ!!!
それにしてもこのゴシック。
ほんとにいろんなところにいて、どんなものでもゴシックにする。
その様、まさに咬みついたものすべて同族にする吸血鬼のよう。
永遠の少女、ロリータをまずはその毒刃にかけてゴスロリにしたでしょ。
パンクだって、ゴスパンに。
(ていうか、今やパンク=ゴスパンなところあるし)
ああ、日本人の心、和装さえ和ゴスに。
ゴシックほんと、おそるべし。対抗できるのはもともと真っ黒なロッカーズしかいない……
精神幻想のゴシックと、マッチョイズムなスポーツマンのロッカーズはさすがに相性が悪かったようだ。
ロッカーズ、きみを吸血鬼ハンターに任命する。
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