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2020年、スペイン語通訳者のコミュニティづくりの年

 2020年を迎えたばかりの1月は2020年が新型コロナウィルスの感染拡大で対面式イベントが中止になり、通訳業務が全てキャンセルになるとは思っても見ませんでした。実際のところ、2月28日に予定されていた1000人規模の講演会は、ビデオ収録となり、小さな会場で逐次通訳をしました。それがコロナ前、最後の通訳となり、その後3月以降に予定されていた通訳は全てキャンセルになりました。沖縄でのイベントや、名古屋と大阪を回って東京に戻る研修プログラム、チョコレート菓子職人のデモストレーションやワインテイスティングなどのイベントや、緊急事態宣言中は刑事裁判までが中止・延期となり、それに伴い通訳業務もキャンセルになりました。

 このように、突然にして毎日が日曜日状態になってしまった通訳者仲間は少なくありませんでした。(私は、通訳業務以外に研究にも携わっているので、執筆しなければならないものは山ほどあり、毎日が日曜日状態ではなかったのですが、精神的に不安になると集中して執筆できないものなのです。)そのころ、知り合いの英語の通訳者からZOOMを使った「朝の通訳自習室」に誘われて参加しました。通訳の仕事はなくても、決まった時間に起床して身だしなみを整えて一日を始めることで、精神的にも非常に安定する気持ちになると実感しました。そこで、スペイン語通訳者仲間に声をかけ、スペイン語通訳自習室を始めました。

 スペイン語通訳自習室には、スペイン、メキシコ、アルゼンチン、ペルー、そして日本全国からスペイン語通訳者が参加し、同じ時間にZOOMでつながっていることを感じながら最初の30分は自習をし、残りの30分は近況報告や通訳練習を小グループで行うのです。交替でファシリテーターをつとめ、リモート通訳の練習をしたり、様々なテーマで通訳をする研鑽を積んできました。合計で73回もスペイン語通訳自習室を開催できたのです。

(緊急事態宣言下で通訳自習室を始めた当時の参加者の感想です)

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 通訳者というのは、同時通訳以外は、一人で仕事をすることが多い職業です。コロナ禍で通訳業務が激減し、経済的にも先行きの見通しが立たず不安な1年でしたが、思いもかけず、日本だけではなく、世界中のスペイン語通訳者との横のつながりが構築できた1年となりました。まだまだ2021年の先行きも明るくありませんが、この1年で多くの仲間ができて心強く年を越せそうです。

 いつも支えてくださったスペイン語通訳自習室の仲間に心から感謝しつつ、スペイン語通訳者の仲間と手を携えてニューノーマルの時代にリモート通訳に対応できるよう、共にスキルアップするために、努力を継続していきたいです。

 この後、スペイン語通訳自習室で同じ時を過ごした皆で2020年を振り返って、「コロナと私と自習室」にまつわるお話をリレー形式で執筆していきます。今後もどうぞよろしくお願いします。

2020年12月23日  吉田 理加


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