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実力をちょっと見せて退場する系生徒ムーブをかます(中二病日記20)

 9月になれば、体育祭。
 もうその準備に入ってしまった。

 普通なら盛り上がるところだろうが、なんというか、少しギスギスした雰囲気に怯えている自分がいる。
 わかるだろう?
 僕の言いたいことは。なんとなく。

 言い忘れていたが、僕には特技がある。

 それは、バク転などのアクロバットだ。
 体操をしていたことで培ったこの技術は、辞めた今でも自分の十八番として残っている。

 この特技のおかげでモテモテだぜっ、なんてことはない。

 正直にいうと、アクロバットができてかっこいいー、と言って近づいてくる女子のほとんどは、浮気っぽい。

 多分事実だ。
 ある一定の時期は人気が出るが、その後は安定期に入り、特に話題にも出なくなるだろう。

 そんなことはどうでもいい。

 今日話したいのは、僕がずっとやってみたかった、「やればできる奴だけど、さほどやる気はなさそうな生徒ムーブ」である。

 体育祭といば応援。
 応援団を決める際、人数が多いので削る必要があった。

 当然少しギスギスする。男子はまだマシな方だとは思うが、なんともいえない空気が流れていたのも事実だ。

 というわけで、僕は動いた。

 まず、ロンダート・バク転・バク転・バク転・宙返りという連続技をかっこよく決め、すげー、という注目をかっさらう。

 だが、ここからがポイントだ。
 僕は決して「かっこいい」男にはなりたくない。

 「かっこよっさそう」な男。ユーモラスで楽しく、クールな一面もある。しかし、明らかに変わっている男。
 他の誰にも出せない色気・魅力。

 エース皇命は予測不能だ。

 かっこいいアクロバットをかました後、僕は言った。

「応援団は譲るよ。僕は降りる」

 そう。
 普通は確定演出だ。いきなりバク転までされたら、こいつはどうしても応援団に入りたいんだな、と思うのが当然。

 しかし、そう易々と予想通りにいかせるわけにはいかない。

 それに、誰かが選ばれなくて悔しい思いややるせない思いをするのなら、僕が抜けておいた方がいいのではないか、そう思ってしまった。

 それが結果的には平和である、と。

 しかし、だ。
 結果的に僕は応援団に入ることになった。

 それは僕がかっこいいから、ではなく、利用価値があるから、だ。バク転といったアクロバットには華がある。

 エース皇命を利用するとは、なかなか面白いものだ。

 利用してみるがいい。
 まあ、僕は誰の思い通りにもならないがね。


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