1億6000万人
六月十二日は「児童労働反対世界デー」。それに先立ち、十日に国際労働機関(ILO)と国連児童基金(ユニセフ)が四年ぶりに児童労働のグローバル推計を発表した。
それによると、二〇二〇年初めの児童労働者の推計は一億六千万人。前回から八百四十万人増えているが、五歳から十七歳の子どもの十人に一人が児童労働をしているという割合は変わっていない。このうち、七千九百万人は子どもの健康や安全、モラルの発達に有害な「危険有害労働」に就いているという。72%は家族の中での労働となっていて、これは児童労働の70%が農林水産業ということとも関係していると思われる。
地域的に見ると、サハラ砂漠以南のアフリカ地域だけが数でも割合でも児童労働者数が増えている。この地域の約四人に一人の子どもが児童労働をしていて、八千六百六十万人にも上る。他の地域のすべてを足した数より多い。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、さらに児童労働が増える可能性もある。各国の政府があらためて予算も含めた措置を強めることが必要だが、どの国も財政事情は厳しい。今年二一年は国連が定めた児童労働撤廃国際年。今こそ、官民それぞれに自らできるアクション(行動)を求めたい。
NPO「ACE」代表 岩附 由香
(2021年6月15日の東京新聞・中日新聞夕刊コラム「紙つぶて」に掲載)
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