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#35 雪隠と留学 [第3部 スペイン編] ep.XIX「敵の敵は味方の見方」

  近所で数週間前から開催されているアウシュヴィッツの特別展示に授業の一環で行った。教授も同行するものの、入場料を負担してくれるだけで入場後は講釈を垂れることもなく基本的には自由行動だった。

ナチスによるユダヤ人弾圧を主題にしており、予想通り冷たい空気が流れている。当時実際に使われていた物やそのレプリカが並べられており、スペイン語と英語の解説が付いていた。

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部分的には当然ドイツ語の書類などもあり、興味深い。中でも特に目を引かれたのは新聞だ。アメリカ目線で発行されているもので日本での戦火が手の平の半分ほどの小さな記事にまとめられていた。文面は何機を堕とし、侵攻はどの程度進行しているかがたけだけしく書かれている。

日本にいると主語は常に「日本人」だ。

たまに核を落とした事についてアメリカ軍の退役軍人が話すことはあるが、このようないわば日常の戦争について別の視点から語られているものを目にしたのは初めてだった。解説は当然極東の島国で行われている第三国同士の争いには全く触れていない。

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世界でその時起きていたことは同じでも当然視点や立場が違えば見えるもの、見せたいもの、見る必要のあるものが違う。

改めて遠い国に来たことを感じさせられた。

雪隠と留学 [第3部 スペイン編] ep.XX「まずくて最高のピザ」

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現在、海外の大学院に通っています。是非、よろしくお願いします。