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#18 雪隠と留学 [第3部 スペイン編] ep.VI「寿司屋で虎を食う」

 マドリードには学生向けのイベント企画団体が複数あり、毎日どこかで何かしらをしている。

バルのはしごから海外旅行まで多岐に渡り、そのうちのひとつの公園でのピクニックに友達に誘われて参加した。

夕方の集合だったが、それぞれがなにか食べ物などを自分で持ち寄るというものだった。場所はパルケ・デル・レティロ(レティロ公園)。集合時間に集まったのは自分以外に台湾人の友達が一人だった。運営側さえもいなかった。

これがスペイン

三十分ほど遅れてようやく集まり始め、芝生の上に座って持ち寄ったものをつまみながらおしゃべり。日本人はいないと踏んでいたので、スーパーで初めてお寿司と瓶ラムネを買って持って行ってみた。期待通りの不味さと期待通りの話題性だった。

というかどんなにしょうもないことでも長々と話す能力に長けている人が多いような気がする。

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 中でも一番食いついてきたのはベネズエラ出身で寿司屋を経営しているダニーだった。日本語も少し勉強し始めたようで、いくつか披露してくれた。

翌日お店に招待され、日本人の意見を聞かせてほしいと頼まれた。おすすめのお寿司と味噌汁を注文した。

まず、プラスチックの容器に入った味噌汁がでてきた。加点対象は味噌の味がしたこととわかめが入っていたこと。原点対象はちぢれ麺とニンニクが入っていたこと。こりゃもうラーメンだ。ちなみにニンニクはスペイン語でajo(アホ)という。

肝心のお寿司だが、お勧めの「タイガー」というのが出てきた。いわゆるカリフォルニアロールだが、想像を超えてきた。

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海苔がシャリの内側にあることは想定内で、ネタはサーモンとアボカド。

ここまでなら日本ではお目にかかれないとしてもまだ理解できる。問題はシャリの外側である。衣だ。コロモ。カラッと揚がっちゃっていたのだ。副作用でサーモンというより鮭になっていた。その温度で酢の風味が立ち過ぎ、醤油をかき消していた。

次回予告『雪隠と留学 [第3部 スペイン編] ep.VII「神よ」』


現在、海外の大学院に通っています。是非、よろしくお願いします。