見出し画像

【会計】子会社のみなし取得日と3ヵ月遅れの決算取り込み

買収によって取得した子会社を連結財務諸表に取り込む時期はいつでしょうか。この問いに対してはいくつか検討しなければならない事項がありますが、いつの子会社の財務諸表を連結に取り込むかに焦点を当てると以下の事を検討しなければなりません。

①取得日はいつか
 みなし取得日はご存じの方も多いと思います。「支配獲得日、株式の取得日又は売却日等が子会社の決算日以外の日である場合には、当該日の前後いずれかの決算日に支配獲得、株式の取得又は売却等が行われたものとみなして処理することができる。」(連結財務諸表に関する会計基準注5)
 みなし取得日をいつにするかにより、連結財務諸表に取り込む損益も異なることを意識する必要があります。また、基準上、以下のとおり連結財務諸表に重要な影響を与えない場合に限って、直前の決算日をみなし取得日とすることができます。「支配を獲得したとみなした日は、企業結合の主要条件が合意されて公表 された日以降としなければならない。ただし、(中略)連結損益計算書に与える影響が乏しい場合には、主要条件が合意されて公表された日より も前に支配を獲得したとみなした日を設定して処理することができる。」(資本連結実務指針7項)
 従って、例えば5月に取得した12月決算の子会社の連結財務諸表に取り込む損益は、原則(実際の取得日)では5月以降の損益となり、みなし取得日(前段)では6月からの損益、みなし取得日(後段)では4月からの損益を取り込むこととなります。

②子会社決算を3か月遅れで取り込む場合の留意点
 海外子会社を買収した場合にはよくあるケースではあるのですが、何度も質問される内容(同じ人に何度か聞かれる場合も)ではあります。
 例えば、上記の5月に取得した12月決算の子会社を3か月遅れで6月の第1四半期から連結財務諸表に取り込む場合(みなし取得日6月末)、結論としては以下のとおりになります。
 「例えば、12月決算の子会社を5月末に取得し、6月末をみなし取得日としたときは、3 月決算の親会社の第1四半期末の連結上、子会社の6月末の貸借対照表のみを連結し、第 2四半期末の連結上、子会社の6月末の貸借対照表のみを連結し、第3四半期の連結から、子会社の7月から9月の損益計算書を連結することになる。この場合、第3四半期の連結からのれんの償却を行うことになる。」(資本連結実務指針62-2)
 このように、上記の例では第1四半期の連結財務諸表と第2四半期の連結財務諸表で2回、子会社の6月末貸借対照表のみ取り込むことになるのです。
 ややこしいですが、よくあるケースですので、上記の例示を頭に入れておくと良いと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?