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クリスマスの名探偵

お題 「クリスマス」「名探偵」

今日はクリスマス!
学校のサークルでもイベントをやるって言ってたしな。
サークルの部室にやってきた。
すると、
「ええっ!」
部室の真ん中には人がうつ伏せに倒れている。そして、床に大きく広がる赤い液体。
倒れているのは…
「ぶ、部長!」
やや背が低く小太りでしかも見覚えのある服装。
思わず近づこうとしたが広がる赤い血が近づくことをためらわせる。

「こんにちは〜」
そうこうしているうちに他の部員たちも部室にやってきた。
「おい、何これ!」
「分からん、僕も今来たばかりで…」
「部長じゃん!どうしてこんなことに…」
「まさかお前が…」
「違う!違うって!」
「慌てないでよ。あれだけの血が流れているのに返り血を浴びてないのはおかしいじゃない?」
「そ、そうだな」

改めて僕らは部室を見回した。
部室は鍵は開いていた。犯人はもう逃げた後か。
「凶器はおそらくあの刃物よね」
部長の側に落ちている包丁を見る。
「でも変じゃない?包丁には血が付いてないわ」
確かにあれだけの出血をさせた凶器なのに血がついてない。
「あと、あの血だまりを見てよ」
床を指さすと
「あれだけの血だまりができてるのよ?なのに…」
「そういえば妙に綺麗な血だまりだな」
「いくら何でも倒れた後にもがいていても不思議ではない。なのにそんな形跡は見られない」

「ひょっとして…」
部員の1人が赤い血に気をつけながら部長の身体に近づき、そして髪を引っ張って頭を起こさせた。
「ちょっと部長!あなた自分で仕組んだでしょ!」
すると
「わっはっはっは!」
倒れていた部長が起き上がって笑い出した。
「何やってんですか?」
「悪趣味ですね!」
「驚かせないでくださいよ」
「いやーちょっとしたサプライズのつもりだったんだが、さすがは我が部員たち!見事な観察力だった!」
血塗れの姿のまま部長は
「さあ、それでは我がミステリー同好会のクリスマスパーティーを始めよう!」

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