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君がもしバーゼルについて知っているとしてもバーゼルのバンドについては知らないはずだ/Mantocliff "These Words"【歌詞翻訳】

♦イントロダクション

スイス・バーゼル出身の新しいバンドを紹介します!! 今回は歌詞を探してもネット上にアップされてなかったので、バンドのプログラマー兼ベーシストに直接連絡をとって教えてもらいました。

さらには、このベーシストのJan Sutter氏、すごくいい人だったので色々バンドのことを聞けましたよ!

スイスの新しいアーティストが、どういう音楽を鳴らし、どういう言葉を歌っているのか、気になりませんか?

『Mantocliff』は2015年に発足したばかり。採れたての良バンドであることは僕が請け負います!

では、曲をどうぞ!


**These Words**

Baby I got addicted to your light
あなたの光に寄りかかっていた
Baby I got addicted to your lightness
あなたの"白さ"に寄りかかっていたの
And now you stand in front of me
今でもあなたは導いてくれるし
and tell me you’re still loving me
「まだ愛しているよ」と言ってくれる
but I can hardly move or take a stand
なのに私はぜんぜん動かされない
`cause all the things inside of me
だって私にしてみればぜんぶ
that tear apart or control me
批判か束縛でしかないんだ
don’t let me be the one who holds your hand
その手で私を思い通りにしようとしないで
I wanna love you freely
好きにあなたを愛したい
from a free and open mind
自由に、偏見にとらわれずに
deep down I want you really
心の底ではあなたが恋しい、本当だよ
I just need time to
時間が必要なだけ
let you hear me
あなたが耳を傾けて
hear me from a start
それからはじめて
even though I fear it
私だって怖いんだ
sometimes
いつか
these words just need to be dark
こういう言葉は闇に葬り去らないと

Baby I got addicted to your light
あなたの光に寄りかかっていた
Baby I`m just throwing
だから私は投げたんだ
shadows in your brightness
影を 真っ白なあなたの上に
And now you stand in front of me
今でもあなたは導いてくれるし
and tell me you’re still loving me
「まだ愛しているよ」と言ってくれる
but I can hardly move or take a stand
なのに私はぜんぜん動かされない
`cause all the things inside of me
だって私にしてみればぜんぶ
that tear apart or control me
批判か束縛でしかないんだもの
don’t let me be the one who holds your hand
その手で私を思い通りにしようとしないで
just keep it down
もう何も言わないで

[×2]
I wanna love you freely
好きにあなたを愛したい
from a free and open mind
自由に、偏見にとらわれずに
deep down I want you really
心の底ではあなたが恋しい、本当だよ
I just need time to
時間が必要なだけ
let you hear me
あなたが耳を傾けて
hear me from a start
そこからはじめて
even though I fear it
私だって怖いんだ
sometimes
いつか
these words just need to be dark
こういう言葉は闇に葬り去らないと
these words just need to be dark
こういう言葉は闇に葬り去らないと


・解説

 かれこれもうずっとMantocliffのアルバムばかり聴いている。そして聴くたびにニヤニヤが止まらない。これ、音楽愛好家の方ならわかるはず。「(いいバンド)見つけちゃったなー」の時の、あのニヤニヤである。

 プログラミングされた音と生演奏の境目をかぎりなくあやふやにしてグルーヴを生む、というのは最近のトレンドの一つだとは思うけど、新人バンドが「やってみよう」でできるような芸当ではない。努力と才能がないと。

 ドラマーの腕がかなり良い。そしてドラマチックなアレンジと、ヴォーカルのカリスマ性に引き込まれる。ヘッドホンで聴くとわりと暗い音楽なんだけど、ライブハウスで鳴ったら絶対に踊ってしまうような音楽だ。

 ジャス、ポスト・ロック、エレクトロニカの文脈を内包して、こんなにもカッコイイ音楽を鳴らしているバンドがスイスにいる。さて、そんなMantocliffのメンバーにメールでインタビューできたので、以下ご報告。


【Q & A】(Respondent by Jan Sutter)


Q:Mantocliffの来歴を教えてくれますか?

A(Jan Sutter):みんなだいたい学校で彼女(ヴォーカルのNives)に出会ったんだ。それぞれのバンドで一緒に演奏したりして、すぐにいい友達になったよ。Mantocliffの形になったのは2015年の冬だね。それから音と表現を追及するためのヴィジョン(※後述)も明確になった。

Q:「Mantocliff」ってどういう意味なんですか?

A:「Manto」は想像の造形物だ。力強い音楽表現の象徴で、時と場所を超えて体と心を癒してくれる。見晴らしのいい崖(Cliff)に立っていてね。

Q:曲作りはどうやってするんですか?

A:曲作りはたいていヴォーカルのNivesとはじめる。彼女が書いた歌やテーマをベースの僕にくれる。僕はバンドのプロダクションやアレンジも担当しているんだ。もちろん、いろんなバンドとリハーサルしている時にアイディアが生まれるときもある。

 僕らが常に目標に据えているのは、まっすぐで真摯な気持ちの交感なんだ。

Q:『These Words』のミュージックビデオでこだわった点はどこ?

A:ビデオは歌詞の情景を描く方法のひとつだ。愛を与えようとすることで生じる不安感、裏の顔、危険性。主に視覚化しようとしたのは、自由でありながらちゃんと繋がっていて、あたたかい関係性であろうとする、その"あがき"なんだ。解決するためには、新しい目線でお互いに向き合わないとね。

Q:Mantocliffってどんな人たちなんです?

A:僕たちはどこにでもいる人間だよ。音楽でコミュニケーションするのが好きで、音、詩、曲作りにハマってるんだ。

Q:最後に、日本のリスナーにメッセージをお願いします。

A:僕たちは日本のアートも音楽も大好きだ。いつか未来で会いたいね!


・歌詞解説


 今回歌詞を訳してみて「凝ってるなー」と思った点はヴァースのはじめに「Light」があり、終わりに「Dark」がある点です。この「Dark」には様々な含み(不安/秘密/沈黙/喪失/別離)がありますので、意訳しすぎないように注意を払いました。

 ところで、この歌詞を読んでみて、みなさんはピンときましたか?

 くるひと/こないひと、にけっこう分かれるんじゃないでしょうか。僕的には、

『ピンとくるひと』は「干渉され体質」

『ピンとこないひと』は「干渉する側のひと」

 だと言えます。恋愛に限った話ではありません。家族関係であれ、友人関係であれ、干渉する側/される側の関係性はけっこうアンバランスなものです。

 たとえ愛が根底にあるとしても『干渉して相手を変えようとする=相手を否定する』という図式になりやすい。そしてどちらかが壊れ、どちらかが怒る、みたいなスパイラルにも陥りやすい––––。

 ありのままの自分ではいられない世界だから"ありのままの自分になる"という歌詞の歌が流行る。実際には僕たちは自分とは/他者とは何なのかもわからないまま、相手から【自分】を押し付けられて壊れそうになる。

 そんなときはどうすればいいんでしょう?

 ……。

 …………。

 そうですね、沈黙すればいいんじゃないでしょうか。おたがい、闇(Dark)のように。


 ––––了。


♦あとがき

「君たちの成功のために全力を尽くすよ」ってJanに言っちゃったので、各SNSでシェアしてくれたりすると超うれしいです!

 でもあの、読んでくれるだけでもほんと有り難う(泣)! 








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