第九話~ベイズ推定~

パパの嘘を暴く

 さとしは、インスタントコーヒーを淹れると、冷蔵庫の中からチョコレート一つ取り出し、口の中へ放り込んだ。そして、コーヒーを持ってダイニングに置いてある椅子に座り、外を眺めている。

はるき:みーたーぞ。ぼくもチョコレート食べたい。
さとし:何のこと?パパはコーヒーを飲んでいるだけだけど。
はるか:コーヒーには、チョコレートがよく合うみたいだもんね。おいしいんだよね、きっと。
さとし:もごもご、だから、食べてないってば。

 はるかとはるきは、さとしの目が泳いだことを見逃さなかった。そして、しゃべり方もおかしい。まだ、口の中にチョコレートが残っているに違いない。
 
はるか:はるき、パパをくすぐりな!
はるき:任せとけ!
さとし:参った、参った。

不完全なチョコレートとコーヒーの法則

 さとしは、コーヒーをゆっくり飲むとチョコレートを食べたことを白状した。
 
さとし:はるきに見られてしまったか。
はるき:うそ。本当は見てないよ。でも、パパがコーヒー飲むときは、チョコレートを食べた後なことが多いから、そうかと思った。はるか:紅茶を飲むときは、クッキーとか食べてるよね。
はるき:そうそう。
さとし:気が付かなかった。確かに紅茶とクッキーの組み合わせや、チョコレートとコーヒーの組み合わせは最高だけど。
はるき:パパのお菓子と飲み物の法則だよ。
はるか:でも、時々、クッキーとコーヒーの時もあるし、チョコレートと紅茶の時もあるみたいだけど。
さとし:あんまり、同じものばかり飲むのもなぁと思って、コーヒーをたくさん飲んだ日は、チョコレートと紅茶を合わせることもあるかもしれない。やっぱりコーヒーのがよかったと後悔するんだけど。
はるき:じゃあ、パパと飲み物の法則は、法則に慣れなかったんか。でもぼくの読みは当たったね。
さとし:はるきがやったことは、「ベイズ推定」という技だよ。
はるき:今日は、ぼくが褒められる番だ!
はるか:で、そのベイズ推定って何なの?

ベイズ推定

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