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坂田幸樹『デジタル・フロンティア』

ライドシェア関連のことが書いてある本をひたすら読んでるのですが、珍しくUberではなくてGojekやGrabのことが書いてある著作でした。
本書はIGPIの共同代表である坂田さんが、日本のDXは東南アジア式を見習うべきである、という趣旨の主張を込めた東南アジアのDX事例とそれらを抽象化したフレームワークについての本です。

基本的にGojekの様なスーパーアプリが、IDの統一化とそれに紐つくビッグデータからどのようにDXを推進しているかといった内容なので、日頃からFintechをやっていて、かつ実際にジャカルタでGojekやGrabを使ったことのある自分としては、あまり新しい学びはなかったです。Gojekがどんなサービスか知らない方は読んでみると面白いかもしれません。

ID基板の整備とビッグデータに基づく意思決定に関する考え方も日頃慣れ親しんだもので、「分かってるけどやり切るのが難しいんだよなぁ〜」という感想しか出てきませんでした。

一つ考えるキッカケになったのは、マイナンバーがどこまでの役割を果たすべきなのか?という点についてです。
本書ではシンガポールやインドにおける国民IDが日本のそれよりも圧倒的に強い役割を果たしていることが事例を交えて紹介されていて、確かに国民ID一つでそこまで全てできると便利だなぁ思う一方で、人間が完全に番号として扱われることに対して最大限の注意/配慮を向けたオペレーション構築をしなければならないと感します。
デジタルで機械的な人間の扱いを描いた映画、ケンローチ『わたしは、ダニエルブレイク』は超名作なので是非観てみて欲しい作品です。

単にシステマチックにするだけではなくて、デジタルかつ統一的な管理が出来るからこそ、社会的弱者を発見し、積極的にかつ尊厳を守った状態で、公的支援を行えるような方向にマイナンバーの利活用を進めていきたいですね。

※本noteで利用しているAmazonURLはアソシエイトリンクを利用しています。

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