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熊澤義一『世界のライドシェアとタクシー』

2つの観点で衝撃の一冊です。
1つは、こんなにも世界のライドシェアについて熱心に視察に行き、レポートしていた人間が2017年の日本にいたんだということ。
本書は、Taxi Japan編集長の熊澤が、サンフランシスコ、NY、ロンドン、上海、ドバイ、シンガポール、香港、ドバイ、ダブリンといった世界有数の都市を周り各地のライドシェアについてレポートしたものの集積です。本当に本当に貴重な資料であると思います。
現地のライドシェアサービスを使い、UIのスクリーンショットを撮りまくり(全部本に載ってます)、レガシーなタクシー業界とライドシェアの関係性について調べ、法的規制についても明らかにして、現地の有識者やドライバーと会話した本物のルポ作品です。
僕は自分が現地に行き、一次情報を獲得してルポをするのがとても好きなのですが、著者に畏敬の念を抱きました。本当に素晴らしい作品です。

ずっとこんな感じ

2つ目の衝撃は、今の日本の規制緩和議論とこれほどまでに同じことが当時、各国で起きていたんだなということです。
自分は、世界各国では比較的スムーズに市場の原理に任せてライドシェア解禁が進んだと思い込んでいたのですが、そんなのはサンフランシスコくらいで、例えばNYなんかもUberドライバーは研修受講、薬物チェック、指紋登録、常務時間制限などが義務付けられている職業ドライバーしか認められていなかったことなどを知りました。
そして、どの国でも当時のタクシーは地理試験が必須だったのですね。そんなの日本くらいなんだろうと思っていたのですが、日本はライドシェア解禁が遅れているだけであって、タクシー業界は世界標準に合っているんだなぁと思い知らされました。

個人的に面白かった点としては、このあたりです。
・当時ロンドンで流行っていたアディソン・リーという配車アプリはB2Bの売上が主軸だったこと。
・B2Bの契約はアディソン・リーと法人で行うが、B2Cの契約は利用者と個人事業主のドライバーの契約としていたこと。 
・ただし、事故発生時などにはアディソン・リーが間に入って対応すること
ライドシェアでB2Bというのはなかなか面白い発想だなと思いましたし、2023年にB2Bのライドシェアマーケットを考えると当時無かった発想がたくさん生まれそうだなと思いました。

そして、やはりライドシェアはFintechと切り離せない領域だよなぁ〜と改めて感じたのでした。決済、Payrolo、ドライバーの与信、車のリースなどなど本当に面白い。

おまけですが、
2024年は僕も米国に行ってルポをしてくる予定です。お目当ては完全自動運転タクシー。Google傘下のWaymoです。本当はGM傘下のCruiseも乗りたかったのですが相次ぐトラブルによって先日運転許可停止となりました。
将来的には個人が所有する自動運転車がUberのようなプラットフォームに則って人々を移動させてくれるのかなぁと思うと本当にワクワクしますね。

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