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“みんなでアウトプットする”ということ。

前回、「みんなで語ろうフライデーナイト」(みんフラ)の企画の経緯について書きましたが、今回も“みんフラ”について掘り下げてみます。

みんフラの各回のテーマは、ファシリテーターと相談して議論が拡がりそうな設定を心掛けていました。「これが正解だ!」というものはなく、「自分はこう思う。こう考える。」と、ある人の発言が皆のインプットになり、思考してその人のアウトプットとして発言に繋がる、そのようなサイクルが繰り広げられればいいなと考えていました。
だから、皆の意見をまとめるとか、結論を出すことが大切なのではなく、「インプットー思考するーアウトプット」のプロセスの中で、参加くださった皆さんに何かの気付きがあればいいなと思っていました。

だから、一人で考えるのではなく、みんなで考えてアウトプットすることで気付きの幅が広がり、深くなるのではないかと思っています。

みんふら

そんなときに、出会った「本」が『みんなの意見は案外正しい』(原題:The Wisdom of Crowds)(ジェームズ・スロウィッキー著 角川文庫 2009年)です。

アメリカ在住のコラムニストが、事例や研究結果からThe Wisdom of Crowds(群衆の英知)がより良くなる4つの条件を導き出しています。


①多様性
知性が高いだけでは不十分で、問題を多角的に検証するために多様性が必要になります。優秀な人は考えが似通る傾向があるので、優秀な人の集団よりも多様な人々の集団の方が集団のパフォーマンスは向上しやすいとのこと。


②独立性
多様性があっても、集団で話し合うと同調が起きてしまいます。なるべく独立した判断ができる環境が必要とのこと。実際は周りの人に感化されるために独立性を保つことは難しいとのこと。(リアルな場でグループワークをすると他のグループの影響を少なからず受けてしまいますが、Zoomのブレイクアウトルームは独立性が高い環境だと思います。)


③分散性
分かりにくい表現ですが、システムの分散処理をイメージしてみてください。一極に集中するのではなく、各ローカルで処理をするイメージです。各自の知識が抽象化されるのではなく、一人ひとりが持つローカルで具体的な知識を維持することが大切になります。


④集約性
ローカルな知識をグローバルにするための集約の仕組みが必要になります。

この本は、集団の意思決定の質を上げるという話なので、みんフラが目指していることとは少し違いますが、多くの示唆を与えてくれます。
みんフラの特徴は「他流試合」という点です。この本に沿って考えてみると、様々なバックボーン、キャリアの方が集合するので多様で分散的です。また、1回限りの一期一会なので“しがらみ”も少なく独立性を保ちやすいのではないでしょうか。

みんフラを企画したときは、この4つの条件を意識したわけではありませんが、このように振返ってみると、みんフラの特徴を明確化できました。明確化できると、新たな企画を考えるときに応用ができますね。


※文中の写真は、2019年5月に開催した「唐木明子さん、島田由香さんと“20年後の仕事とプライベートの境界”を考える」の終了後の記念撮影です。

アカデミーヒルズ 熊田ふみ子

#アカデミーヒルズ #多様性 #集合知 #アウトプット

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