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【学習】【指導】先週の指導Pick Up(2020年7月①)

実験的に「先週の指導Pick Up」ということをしてみます。
先週の授業内に実際に生徒に指導したことを選んで紹介するという試みです。

学習者の方は

「こういうポイントを押さえて勉強したら良くなるのか」

という視点で見てもらえたら

指導者の方は

「こんな指導をしているのか」

という視点で見てもらえたらうれしいです。

その1 英文法は「…ときは」に注目する(中学英語)

まずはライトなところから。
中学英語でしたが、この生徒は割と勘の良いタイプで

「なんとなく、こんな感じかな…?」
「まぁ-ingの単元をやってるんだから、答えはどうせ-ingだろう」

みたいに正解が出せてしまうタイプです。
これは決して悪いワケではないです。英語って言語なので、大なり小なり感覚的な処理というのはあります。
むしろ「正しい感覚を身につける」のが目的の科目といっても良いぐらいです。感覚で処理しなければ、今の入試問題の問題量は処理できないし、今後コミュニケーションに英語を使っていくならなおさらです。

ただ「感覚を身につける」が目的だからと言って終始感覚だけで勉強を進めてしまってはなかなか英語は身につきません。これがEnglish as a second language(第二言語としての英語)ってモンです。第一言語の習得と同じように考えてはだいたい失敗します。
僕らは日常で英語に触れ続けるワケではないので、やはり「ルールを頭で理解する」ということをしなければいけません。

ということで「なんとなく、こうかな…?」からもう少し厳密にするために、まず知識のまとめを導入しました。

問題集を解き始める前に、該当単元について教科書や参考書の記述をノートにまとめる

作業としてはこれだけです。書き方は自由なんですが、ひとつコツがあって

「…ときは」に注目すると整理しやすい

というものです。
英文法は言うまでもなく「ルール」です。
「ルール」というのは必ず「〇〇ときは△△」という形になっています。
詳しく言うと面倒なのではしょりますが、これは必然です。

例えばサッカーでも

ボールがサイドラインの外に出た ときは スローインでプレーを再開する
手にボールが当たった ときは 反則になり、相手のフリーキック

みたいになってます。
もちろん英語でも

目的(~するために)を表現する ときは 不定詞を使う
先行詞が人の ときは 関係代名詞はwho(whom,whose)を使う
今まさにやっていることを表現する ときは 現在進行形を使う
現実に起こらない話をする ときは 仮定法を使う

という感じで、全て「〇〇ときは△△」という形でまとめることができます。
そして実際にルールを使う際には「〇〇」の部分(つまり条件の部分)に反応して、使うルールを選択すればOKです。

よく「文法のまとめをつくって」と言うと長々と文章を書く生徒がいますが、まとめが複雑になってしまっていると、実際には使いづらいです。

頑張って まとめ は作ったんだけど、テストでどのルールを使えばいいかわからなかった
後から聞けば「それは知ってたわ!」ってよくなる
ワークをやってる時は解けるんだけど、3カ月経つと忘れる

みたいな現象が起こる場合は、英文法のルールを複雑に捉えてしまっているケースが多いです。あるいは教科書や参考書に書かれているままに丸暗記してしまって、結局意味がわかってないとか。
「〇〇ときは△△」という形にするという約束事をつくることで、それらの事態を避け、シンプルな形で頭に入れることができます。結果、ルールが使いやすくなります(=問題が解きやすくなる)

しかもコレ、めっちゃ当たり前のことを言っているようで、実際にやってみると意外と頭を使います。使用する参考書が最初から「…ときは」という表現を使って書いていたらラクなんですが、そうでない場合は頭を使って、書かれている文章の意味を読み取って「〇〇ときは△△」の形に持っていく必要があります。

ということで今回は参考書を見ながら「複数形のsのつけ方」をまとめてもらいました。

名詞が複数ある ときは 複数形のsをつける
ただし、その名詞が-s, -sh, ch, -xで終わる ときは esをつける
ただし、その名詞が子音字+yで終わる ときは yをiに変えてesをつける
・・・・・・

みたいなものが出来上がります。
後は、ルールが正しくインプットできていて、正しく使えるかを確かめるために問題を解きます。
(問題を解くのはこのためです。目的もわからず問題ばかり解くのは避けた方が良いです)

今回の生徒は まとめ を作るだけで頭が整理されることはわかっていたので、ここで終わっても良かったんですが、一応丁寧に。

問題を解いた後も

「なんで、この問題の答え、これにしたん?」

と、いくつか質問し

「これは、chで終わってるからesにするというルールです」
「これは、子音字+yで終わってるからyをiに変えてesをつけるというルールです」

こうやってちゃんと言語化できることを確認。
(細かい話ですが、この時レスポンスの早さや、言葉にどれだけ自信があるかなどもみてます)

無事に勉強は成立していたので、今後は同じやり方で他の文法単元も勉強してみたらだいたい上手くいくだろうと思います。

その2 「知っている」と「わかっている」は違う(高校数学)

次は学習法と呼ぶにはちょっと感覚的なんですが。
扱ったのはこんな問題です。
(問題の解き方自体を理解しなくても読めるように書いてます)

756の
(1) 約数の個数は?
(2) 約数の和は?
(3) 約数の中で奇数であるものの和は?

この問題はとても教育的なつくりになっていて、(1)と(2)は定型問題といってもいいぐらい有名で、ちゃんと数Aを勉強してる人なら解き方だけは知っていると思います。(3)は少し珍しいというか、出会ったことない人もいるかな?ってぐらいの問題です。

さて、この問題を勉強する時、もちろんまずは解いてみますね。

(1)〇
(2)〇
(3)✖

だったとしましょう。
こういった場合(3)の解説を熱心に読んで勉強しようとする人がほとんどなんですが、それは間違いです。というお話です。

(3)だけ間違ってるんだから、(3)を重点的に勉強するのは当然では?

という感じがするかもしれませんが、間違いです。

ここで重要なのは(1)(2)を知っているのか、わかっているのかということです。
数学の問題というのは解説を注意深く読めば
「こういう式を立てれば良い」ということを知ることは比較的簡単です。
ただ、それはわかるとは違います。
わかるとは「意味がわかる」ということで、「その問題を忘れてしまっても、次自分で考えれば式がつくれる」という状態を指します。
数学を勉強するときはこの状態を目指さないといけません。

例えば(1)は解き方だけ言ってしまえば

①756を素因数分解する
②それぞれの指数部分に+1したものを掛け合わせる
(3×4×2=24  答え:24個 になります)

の2ステップです。結構シンプル。
ただ、計算ができるだけなら「知っている」状態です。
「わかっている」状態であれば、計算式の背後にイメージを持っています。
ちょっと感覚的でわかりにくいとは思いますが、どういうことかと言うと、この問題の3×4×2というシンプルな式の背後には

樹形図

こんな感じの樹形図のイメージがあります。
わかっている人はこんな図を想像しながら3×4×2をしています。

「知っている人」は 計算式だけが頭にある
「わかっている人」は 計算式以上のイメージが頭にある

ということです。頭の中がこれだけ違うということを、数学が苦手な人は認識できていません。
これ以上問題の中身について言及すると図をつくるのが大変すぎるので辞めますが(2)も同じように

答えを出すための計算式を「知っている人」
仕組みをわかっていて計算式を「つくれる人」

に分かれます。
数学はこれが本当に大事で、〇か×か(正解か不正解か)だけに注目してしまってはこの差を見落としてしまいます

そしてその差が顕著に出るのが(3)
この問題は初めて見る場合でも(1)と(2)がわかっていれば、解くことができます。
だからこの問題で(3)が不正解になっていた場合

(1)(2)を本当にわかっているのか?

ということを確認しなければいけません。
しかも「自分で」です。
もちろんこちらも数問は「本当にわかっているのか?」を問う質問を生徒にしますが、全問やってる時間はありません。なにより

わかってるかどうかのチェックは、先生がやってくれる

と思い込んでしまうこと自体が問題です。
勉強って「わかる」ところまでいって初めて勉強ですから、そこまで自分でコーディネートできなければ自学とは呼びません。

なので、ウチでは必ず生徒に

「なんでこの式で答えが出ているのか」を自問自答すること
まずは自分でじっくり考えてみること
それでもわからないなら、調べること

を要求しています。

それを教えてくれるのが先生じゃないの?

という意見もありそうですし、それ以外方法がない場合はこちらが教えるんですが、先ほど書いた通り全ての問題でそれを行うのは不可能ですし、「先生がやってくれる」という受け身の心になってしまう弊害もあります。

そもそもインターネットが発達した今の時代では、Googleで調べたらすぐに出てきます。それで全く問題ありません。むしろせっかく発達したインターネットやスマホというツールを使わない方がもったいない。

ということで

・正解か不正解かに惑わされず、中身を理解しているかどうかを自問自答すること
・なぜその計算式で答えが出ているのか、ちゃんと突き詰めて考えること
・どうしてもわからない場合は、インターネット等を使って調べること

が数学の勉強のポイントだよというお話でした。
とてもとても地味ですし、言っているコトは
「結局、考えなければ、賢くなるワケがない」
といういつものヤツです。

【アカデミー神戸進学会】
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