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【学習】計画の立て方 6つのチェックポイント

こんばんは。アカデミー神戸進学会の西富です。

長らく更新をサボっていましたが、ここからまた再開していきます。
週2回の記事アップを目安にしています。

今回は「計画の立て方 6つのチェックポイント」というテーマで書いていきます。

ウチは自分で勉強を進めていける人になろうという目標を掲げた学習法の塾なので、取り扱う内容には計画の立て方も含まれます。

計画の立て方も本格的にやるとけっこう深いんですが、今日はその基本的な部分だけ書いていきます。

文字だけだとわかりにくいので、実際に生徒に書いてもらった計画表を2つほど示して、それを見ながら説明していくようにしたいと思います。

そもそも計画って立てるべきなのか?

計画ってなんか立てた方が良い感じがするんですが、必ずしもそうではありません。

具体的な目標がないと、計画というのは機能しません。
勉強における具体的な目標というのは志望校である場合がほとんどなんですが、中1・2や高1・2にとって志望校をはっきり定め切るというのは難しいことです。

そういう場合は無理に計画を立てるのではなく、勉強を習慣化してしまった方が良いです。生活に組み入れる。ルーティンにするということですね。

社会人になるとむしろこっちのパターンの方が多いです。
資格試験を受ける場合(金融系の人とかに多いイメージ)は、資格試験ですから、ちゃんと試験日と試験範囲が決まっているワケです。だからそこに向けて(ある程度は)計画性を持たせた方がいい。でもそういうケースはあまり多くはありません。
社会人になって期日と学習範囲がしっかり決まっていることなんて本当に稀です。例えばコンサル系の仕事なんかは、常に最新情報をアップデートし、自身のスキルアップを続けるために新聞やニュース、書籍を読む習慣をつけておくことの方が重要です。「いつまでに、何を」とかは明確ではありません。だから計画性よりもルーティン化の方が価値が高いと思います。
もちろんクライアントとの打ち合わせに合わせて資料を読み込んだり業界知識を補充したりする必要は随所に出てくると思います。その場合は計画性があった方がいいですが。

つまり、計画を立てるというのは具体的な目標がある時に限ります。全員が立てる必要はありません。

志望校がはっきり決まって、そこに向けて戦略的に努力をしていく場合や、学校の定期テストが近づいてきて、目標点を決めて勉強していく場合に使います。

計画の3段階

計画を立てる時は大きく分けて3つのステップを踏みます。

1.目標設定
2.メニュー設定
3.効果測定の設定

です。
まず目標を設定し、その目標を達成するためにどんな学習メニューをこなせば良いか考え、最後に学習の効果がちゃんと出ているかどうかを測る効果測定を設定しておきます。これがだいたいの流れです。
この3段階それぞれに、いくつかのチェックポイントがあって、合計すると6つになりました。6つともクリアできていれば良い計画だと胸を張れると思います。

では、段階別に見ていきます。

目標設定の時のチェックポイント

計画を立てる時はまず
目標(Goal)を決める
最初にこれをするのが重要です。

よく生徒に
「計画を立てて」
と言うと、たいていこの目標設定をやりません。

今日は何をしようかな?
明日はこれぐらい勉強時間が取れそうだから、こんなことをしよう

と、目先のことから決めていこうとします。
でも、それをしてしまうと、試験本番までに十分な練習ができるかは未知数になってしまいます。
今日できそうなこと
を積み上げていって、結果として試験日に間に合う保証はどこにもないからです。
だから計画を立てる時は必ず目標設定から始めます。

そしてこの目標設定には3つのチェックポイントがあります。

1.客観的な目標か
一つ目は客観的な目標かどうかです。言い換えると誰が見ても目標を達成したかどうかがわかるようにするということです。
例えば「次のテストで数学を頑張る」は客観的とは言えません。「頑張ったかどうか」は人によって判断が分かれるからです。
一方で「次のテストで数学80点を取る」は客観的な目標と言えます。「80点を超えたかどうか」は誰が見ても判断が一致するからです。

2.階層的な目標設定ができているか
例えば「1カ月後のテストで数学80点を取る」を目標に設定したとします。
これだけでは曖昧すぎて「では今日、明日、何を勉強したらいいのか?」は決まりません。だからここから階層的な目標を設定していきます。例え

「今回のテストでは連立方程式・図形が範囲になるだろう」

「1か月後に80点を取るために、テスト1週間前(今から3週間後)には連立方程式・図形の基本問題はワークで満点が取れるようになっておこう」

「そのために、2週間前(今から2週間後)には連立方程式だけはワークで満点が取れるようになっておこう」

「そのために、この1週間で連立方程式の計算問題はワークで満点が取れるようになっておこう」

みたいな感じです。最終目標から逆算して、手前の目標を設定していきます。もちろん全ての目標が客観的であるようにします。

3.習得目標を持てているか
習得目標とは「連立方程式の計算ができるようになる」「英単語を100個覚える」というふうに、何かの力を身につけるという目標のことです。反対は遂行目標。これは「ワークを10ページやる」とか「プリントを3枚やる」というふうに、何かを実行するという目標のことです。
これは別の記事にも書いたんですが、習得目標と遂行目標を比較すると、習得目標の方が学習効果が高いことがわかっています。これは考えてみれば当たり前で「ワークを10ページやる」を目標にした(遂行目標)の場合、そのワークが埋まりさえすれば、中身が頭に入ってなくても勉強終了なワケです。これでは力がつかないのは当たり前。だから
「連立方程式の計算で、ワークで満点が取れるようになる」
みたいな感じで、習得目標(かつ客観的な目標)になるように設定する必要があります

これら3つが目標設定でのチェックポイントです。
ここだけでも慣れていないと結構大変です。ウチでも生徒には少しずつ練習して上達していってもらっています。

メニュー設定の時のチェックポイント

目標が設定できれば次にメニューを考えます。
メニューを考える時のポイントは2つです。

1.目標から逆算しているか
当たり前ですが、メニューは目標を達成するためには何が必要か?を考えてつくります。例えば「連立方程式の計算で満点取れるようにする」なら
・問題パターンを網羅できているか
・定着するのに十分な量が設定できているか

などを考える必要があります。連立方程式の問題パターンは分け方にもよりまずが6種類ぐらいあるので
・最初の3日間で、1日2パターン、15問ずつ練習する
・次の3日間で全パターンをランダムに1日30問ずつ練習する

みたいな感じでしょうか。
逆にやってはいけないのが1日にどれだけの量ができそうかを考えて設定することです。目標設定のところでも書きましたが、それをしても期日までに目標を達成できる保証がありません。あくまで目標を達成するために何が必要か?を考え、思っていたより多い量になってしまうなら学習法を工夫するか、生活リズム(学習時間の確保)を工夫するかしなければいけません

2.具体化できているか
メニューを考えたら、当然実行しなければいけません。そうしないと絵に描いた餅グランプリになってしまいます。実行するのは気が重いこともあります。ある程度は意志力が必要です。でも、その日のテンションにできるだけ左右されないために、当日の負担をできるだけラクにしておく必要があります。
そのためには当日考えることをゼロにするのが大切です。
例えばメニューを「連立方程式の計算練習」としか設定していなかった場合、当日に
・どのワークを使うのか
・どのページのどの問題を解くのか
・何問解けばいいのか

などをまた考えなければいけません。こういう負荷はできるだけ事前に取り除いておいた方が良いでしょう。だからメニューを設定する時には当日考えることがゼロになるように、当日はもう実行するだけで済むように、使うワークやページ、解く問題などを細かく決めておくようにします。

3.効果測定を設定する時のチェックポイント

ここまで2段階で5つのチェックポイントを紹介しました。
正直な話、ここまででかなり優秀な計画にはなっています。
ただ、より盤石にするために最後に効果測定を設定しておきます。

ちょっと遠回りをしますが、たいてい生徒たちは

大人(教師など) = 指示する係・評価する係
子ども(生徒)  = 実行する係

だと思い込んでいます。
だから一生懸命勉強はするんですが、その成果を自分で測ってみようとはせず、ただテストの日を待つ人がけっこういます。
しかし、これはかなり危ないことです。
なぜなら計画に不備があったり、学習が甘かったりした場合、それが発覚するのがテスト返却時だからです。テストが終わってから学習が甘かったことがわかっても手遅れです。

だから定期的に自分自身で効果測定をしておく必要があります。
自分の学習成果を、自分で測定してみるということです。

この習慣がつくと勉強はめちゃくちゃ上手くなります。
「これぐらいの勉強をすれば、これぐらいの定着するんだな」
ということが自分でわかってきます。そうすると勉強に無駄がなくなってきて、本当に必要な勉強を必要な量だけやることができるようになります。

だからウチでは計画の最終日には効果測定を設定しておくことを推奨しています。例えば学習メニューが「連立方程式の計算」であれば、ワークから何問か、効果測定用の問題を設定しておきます。
ウチの計画は今は1週間単位にしているので6日勉強して、最終日に効果測定をするような形になります。

そこで目標の通り満点が取れれば、学習メニューは「十分だった」ということになります。逆に満点が取れなければ「不十分だった」ということです。
不十分だった場合は、次回からメニューの量を増やすか、学習法を工夫して同じ量でもより高い成果を出せるように考えれば良いということです。

効果測定のチェックポイントは1つで

1.適切な問題設定か
これだけです。曖昧な言い方ですが。
「連立方程式の計算で満点を取る」が目標のメニュー設定だった場合、効果測定として
・分数も小数も( )も出てこない、基本問題だけ
という効果測定では明らかに不適切です。
・色々なパターンの問題がバランスよく出題されている
という効果測定を設定する方が良いでしょう。
コツは試験をつくる先生の気持ちなって考えることです。「この単元が理解できているか試してやろう。どれを出題しようかな?」とあえて自分の敵側(不適切?)の立場で考えてみることです。

大切なのは修正力

ここまで3段階6つのチェックポイントを紹介しました。
ちょっとまとめておくと

【目標設定】
・客観的な目標か?
・階層的な目標か?
・習得目標か?
【メニュー設定】
・目標から逆算しているか?
・具体化しているか?
【効果測定の設定】
・効果測定として適切か?

です。けっこうガチで書いたので、これら全てをハイクオリティで達成するのはめちゃくちゃ難しいです。死ぬほど頭を使います。
だから僕は指導時はこの6つ全てを守ってもらうのではなく、いくつかだけ守ってもらうようにすることもあります。足りないところはこちらが補う時もありますし、あえて不完全な状態で実行に移すときもあります(不完全といってもまぁまぁの仕上がり)。計画の立て方もやり方を知ったから次の瞬間できるという類のモノではありません。練習して習得していく技術です。

また、頑張って立てた計画も上手くいかないことも多いです。頑張って実行しても、思ったほどの学習効果が出ないこともあります。
最初はそんなモンです。
これは全ての指導時によく言っていることですが、
学生時代は、成功することよりも、失敗と仲良くなることの方が大事
だと思います。
学生時代に失敗したって、誰にも迷惑なんてかかりません。
むしろイキナリ仕事の場に放り込んだら100%失敗して周りの人に致命的な迷惑をかけるからこそ、教育を受ける期間が設けられているワケです。
いわば失敗が許された時間です。

だから、大切なのは1回で成功することではなく、失敗した後の修正力です。まだまだ経験不足なんだから、失敗するのは当たり前。失敗からいかに学び、次を修正していけるかが本当に大切なポイントです。

僕は週1ぐらいで
「こんなツールを作ったら生徒たちが勉強法を掴みやすいんじゃないか?よし、つくってみよう」
とか
「指導でこんな工夫をしてみよう」
とか言い出してます。ウチの講師達を巻き添えにして
でも、その中で成功して今も残っているモノなんて数えるほどしかありません。400個ぐらい提案して、残っているのが8個ぐらい。わずか2%の成功率(笑)
でも僕は失敗と仲良しなので、問題ありません。2%成功するなら上々。今日も失敗。平常運転です。
計画を立て方を指導する時に使っている計画表も、今使っているのが20代目ぐらいです。初代のヤツの姿なんて見る影もありません(笑)
失敗して、修正して、また失敗して、また修正してを繰り返してます。
今のヤツもまた修正されることでしょう。

そんなもんです。
だから失敗を恐れずに、むしろ失敗と仲良くなるぐらいの気持ちで、頭をひねって計画を考えて欲しいと思います。

おまけ 勉強をゲーム化する

僕は普段自分の塾の他に、医学部受験に特化した塾でも授業を持っています。そこには関西でも名だたる進学校と言われる学校の生徒たちが通っています。
彼ら・彼女らはやっぱり勉強が上手いです。そうでない生徒もたまにいますが。

そしてその中の、勉強が上手い人の特徴として勉強をゲーム化しているという点が挙げられます。
英語・数学・国語・理科・社会・その他副教科…
これら全てに興味と好奇心を持って勉強できる人はまずいません。
なかにはやりたくない科目も含まれているハズです。

そんな時に、勉強が上手い人は自分の中で「これは点を取るゲームだ」という設定にしてしまって、スマホゲームを攻略するように
「どうすれば次のテストを攻略できるか?」
を楽しみながら考えている場合があります。

これが本当の学びと言えるかはさておき、このようなアプローチにはメリットもあります。

一つは、モチベーションを確保しやすいこと
やりたくない科目、将来必要かもわからない知識をインプットするのは辛いことです。ゲーム化することでそういう科目も楽しみながら努力することができます。僕も生徒に対して(相手は選びますが)
「ちょっと次のテストで100点取るゲームやってみようよ」
と提案する時があります。それぐらい軽く捉えることが大切な場合もあります。目標は高く。でも気持ちは軽く。これが努力を長く続けるコツになるケースがあります。

二つ目は、戦略思考が身につきやすいことです。
ゲーム化することでテストも、それを攻略する自分自身も客観的に見ることができます。自分をゲームのキャラクターのように見る感覚です。

「このキャラはこういうところは優れているけど、こういうところは弱点だな。じゃあこのゲームを攻略するためには、こういうふうに育成しよう」

みたいな自分育成ゲームです。
ゲーム化することであえて主観を排除して「客観的に見て必要な育成」を自分に施すことができます。それを考える上での戦略思考も身につきやすくなります。

三つ目は、これが個人的には一番メリットだと思っていますが、基準を自分に置けるようになることです。
生徒たちの多くはテストを「大人が自分を評価するもの」と捉えています。
高い評価がもらえたら嬉しいかもしれませんが、低い評価を出された時には精神的に傷つくリスクも孕んでいます。
自己効力感が高い生徒なら「高い評価がもらえた場合の喜び」の方が強くイメージされるので、前向きにテストに取り組むことができます。
でも逆に自己効力感が低い生徒の場合は「低い評価をされた時のダメージ」の方が強くイメージされるので、どうしてもテストに対して不安の方が強く出て、後ろ向きな取り組み方になってしまいます。
後ろ向きな取り組み方とは

・大人に指示を求める
・指示されたこと以外はやらない
・自分の考えで試行錯誤しない
・解き方だけを覚えようとし、科目の本質理解をしようとしない

などです。これらは明らかに質の低い勉強の仕方であり、効果も薄くなってしまいます。するとテストで低い点数になってしまうので、余計に自己効力感を失うという悪循環になってしまいます。

これらはすべて、テストを「大人が自分を評価するもの」と認識しているところに端を発しています。大人が主催しているイベントに自分が参加されられている感じというか、当事者ではない、巻き込まれている感覚になると思います。
ここでテストをゲーム化することで巻き込まれている感覚から、自分で主体的にやっている感覚に変えることができます。このゲームの主催者はあくまで自分自身です。成否を判定するのも自分自身です。
「100点取ろうゲーム」で100点取れなかったとしても自分の勝手な挑戦が失敗に終わっただけで
「あれっ?なんでだ?どこがいけなかった?次どうすればいい?」
となるだけで、ゲームコンティニューです。

これが基準を自分に置く感覚です。
僕の経験上、これは勉強だけでなく仕事においても有効で、仕事が上手い人はけっこう基準を自分に置くという感覚を持っていると思います。
もちろん仕事ですから、お客さんや上司、周りの人たちにどう評価されるかという視点は必要不可欠です。
しかしそれが全てになってしまうと、人は確実に心を擦り減らし、消耗していきます
仕事においても自分なりの挑戦、自分なりの失敗、自分なりの成功がちゃんとある人は、長く努力を続けることができます。

ゲーム化する一番のメリットはこの基準を自分に置けることだと僕は考えています。

そして、もしゲーム化を試してみるのであれば、そこには計画性(戦略性)が必要不可欠です。だから今回の計画性の記事のおまけにコレを書きました。
ゲーム化はあくまで手法のひとつであって、全員がやるべきとは思っていません。むしろ学問を楽しむ姿からは遠ざかる感じもするので、一長一短です。でも勉強・テストにおいて大人からの評価が動機の全てになってしまっている人は、試してみる価値があると思います。

【アカデミー神戸進学会】
神戸板宿・宝塚山手台にあるコーチング型個別指導の専門塾です。「学習のプロ」が生徒の学力を細かく観察・分析し、学習法・計画法・キャリア形成に特化した指導をしています。 noteでは塾生向けに学習法・受験・進路・キャリアについての情報を 保護者の方向けに教育・受験・キャリアについての情報を発信します。

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