「オッカムの剃刀」で伝わる図解イラスト

「オッカムの剃刀」とは、伝えたいことを伝えるために余計な情報は極力削ぎ落とすこと。これを提唱していた14世紀の哲学者から名付けられた言葉です。

そしてこの考え方は図解イラストの制作にも重宝します。今回は「オッカムの剃刀」を使って無駄な情報を削ぎ落としていく行程をご紹介します。

1)一番伝えたいことを意識したグラフ作り

削ぎ落としたもの
・グラフを囲っていた枠線
・「11月の売り上げ利益」のタイトル帯
・各グラフの色
・各グラフの立体感 (例:円柱 → 長方形)
・余分な言葉 (例:仕入れ費用 → 仕入れ)
・円単位 (例:1,000万円 → 1,000万)
・「利益」以外のKPIの主張

削ぎ落とした結果、伝えたいポイントが明確にわかる図になりました。

余談ですが、案外制作している側は手を動かしているうちにわかりづらい図も理解してしまい、どちらのグラフが優れているかわからなくなってしまいがちです。この現象をゲシュタルト崩壊といいます。そういう時こそ感覚的な判断を下すのではなく、論理的な判断でグラフのよしあしを決定しましょう。

2)目的地に辿り着ける地図

削ぎ落としたもの
・忠実に再現した道路の曲線
・駅から109へ向かう際、見かけることのない商業施設名
・109に関係のなさそうなエリア
・商業施設名で削れそうな部分 (例:SHIBUYA109→109、ハチ公前広場→広場)
・109以外の商業施設名の主張 (フォントサイズを小さくした)
・背景色の緑を削り、広場のみに敷く
・信号機の赤、黄、緑色

地図が得意な人は削ぎ落とす前のものでも目的地にたどり着けてしまうかもしれませんが、苦手な人だと地図を読むことすら困難です。本当に必要となる情報だけあればいいのです。

今回の場合はいらない情報を削ぎ落とすだけでなく、地下鉄出口の情報をプラスしました。地下から109へ行く人にとっては地上の情報はそこまで必要ありません。地下鉄を降りて、どの出口から地上に出たら109へたどり着けるかという情報が一番重要だからです。

3)モノクロ表だって削ぎ落してわかりやすく

削ぎ落としたもの
・余分な枠線

余分な枠線を削ぎ落としただけでガラッと印象が変わります。リストの項目と内容が別れたおかげでわかりやすい表になりました。

まとめ

今回は「オッカムの剃刀」を使って図解イラストの余分な情報を削ぎ落とし、わかりやすくしていく行程を紹介しました。

図解イラストの制作は、コツさえ掴めばとても簡単なものです。「オッカムの剃刀」を活用していただければ、誰もが簡単にわかりすい図解イラストを制作することが可能です!

今回ご紹介した内容が皆様のお役に立てればとても幸いです。

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