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リュックの中にちいさなインド

ふらーっとインドに行っていたのですが、今回、どうしてもインドから持って帰りたいものがあり、こっそりリュックの中に彼らを忍ばせて帰国。

帰国してすぐに確かめる、、、一つも割れてない。ああよかった。

これは、"クリ"と呼ばれる素焼きのカップで、インドの路上でチャイやラッシーを買うとたいていこのカップに入って出てきます。店によって少しずつ形や大きさが違うのがまたいい。

しかしこのカップ、なんと使い捨てなのです。飲み終わったら地面に叩きつけて割るのが習わしで、なんでもヒンドゥー教徒では食器を使いまわすと前に使ったものの穢れが移ってしまう(特に自分よりも低いカーストの者が使った食器)という考え方があり、一度使ったクリは再利用できないように壊してしまうんだとか。

地面に叩きつけられたクリは、時間の経過とともに粉々になり、再びインドの乾いた大地に戻っていくのだそう。

そんなふうに、インドの大きなエネルギーの循環の一部として長い間人々の生活の中にあるこの素焼きのカップは、この国を旅しているとほとんど毎日手にすることになり、なんだかいとおしい存在になってしまうのです。

以前私がインドを旅した時は、それはそれは何か月にもわたる厳しい旅でして、荷物を1グラムでも軽くしたい私にはこのクリをリュックに入れる余裕がなく、泣く泣く地面にたたきつけていました。

その時、もし次、インドに来るときは、できれば短期旅行で、毎日チャイかラッシーを飲んで、自分の飲んだカップを持って帰ろう!と決心したのです。はい。

そしてリュックの片隅に入れて大事に大事に持って帰ってきたクリ達。このままの素焼きだと何回も使えないのかしら?内側に塗料を塗ったりすると普段の生活でずっとつかえるようになるかしら、、、。

とにもかくにも、割れてなくてよかった~これから、私の生活に、インドの風を吹かせておくれ。

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