育成シミュレーションゲーム完成記念の制作裏話とか【システム編】
はじめましての方ははじめまして、そうでない方は本当にお久しぶりです。最後の投稿が去年の年末なので、実に三か月ぶりとなりますね。
年が明けて冬も明け、例年よりも遅れて開花した桜も見頃となったこの時期まで何をしていたかというと、育成シミュレーションゲームを作っていました。
遡ること五か月ほど前、アイデア出しの段階で作りた~いと記事を書いていたゲームが遂に完成し、無事ノベルゲームコレクションさんにて公開されました。
事故で両親に先立たれ養子となった主人公が、義理の従妹である小佐内琴深さんの家庭教師となって彼女を受験合格に導く――そんなあらすじの育成ゲーム。
今回は完成記念として、「従妹を大学へ連れていく!」を制作した上での裏話などを書いていきたいと思います。
なお、シナリオ面のネタバレはしませんが、表題の通り育成の攻略情報やシステム面、一部ゲーム画面の画像バレなどはありますので、ご注意を。
また、本ゲームはティラノスクリプトを使用して制作したため、ティラノスクリプトに関する用語も少しだけ出てくるかと。
シナリオやイラストの話はもう少し時間が経ってから書けたらいいなと思っています。その際は、ネタバレ全開の裏話でも。
育成画面のUI
さて、ではまずはUIの話をしていきましょう。
本ゲームは立ち絵やSDキャラクターのイラストはプロの絵師さんに依頼して制作いただいてますが、育成画面のUIなどは全て自分で制作しております。といっても、一から書き起こしているわけではなく、フリー素材や有料素材を組み合わせてそれっぽく作っているだけですが。
制作にあたりウマ娘のUI記事なんかを読んだりもしたのですが、正直デザイン系のセンスは皆無なので、プレイしていて見辛かったりわかりにくい部分があったりしたら、ごめんなさいと謝らせていただきます。
ただ、行動コマンドを選択した際に表示されるSDキャラクターのかわいさのおかげで、なんとか育成ゲームっぽい画面に出来たかなと思っています。
個人的に、行動コマンドを実行した際にSDが左右に動くのがお気に入りですね。イメージはときメモやウマ娘ですが、やっぱりパラメーターが上がる際にリアクション――その行動を教え子が実際にやっているシーンがあると、育成している実感が得られやすい気がします。
もっとも、自分の技量だとkeyframeを組み合わせて左右に振るくらいが限界でしたが。個人制作の予算と己が発想の限界を感じますね……。
育成システムとランダム要素
育成システムについて
育成画面を出させていただいたので、流れでゲームシステムについて。
今回のゲームでは、育成シミュレーションとしては定番なコマンドを選択してパラメーターを上げていくシステムを採用しています。
システムのイメージとしては、パワプロやウマ娘が常に頭の片隅にありましたね。調子でパラメーターの上がり幅が変わったり、お出かけでストレスが下がるのなんかはしっかりと影響を受けています。
また、平日と休日で上がり幅が変わるのはときメモの影響を受けていますね。
ただ、パラメーターの上げ方自体は上記に挙げたゲームと比べてかなりシンプルな仕上がりにしました。他のゲームだと、一つの行動で複数のパラメーターが上がるパターンがほとんどかと思われますが、本ゲームでは一つの行動で上がるパラメーターは一つだけです。
国語を勉強すれば国語のパラメーターだけが伸びるし、たくさん勉強したら学習経験値が溜まって科目のレベルが上がり、その科目のパラメーターがより伸びやすくなる。
本ゲームは無料で遊べるフリーゲームということもあり、育成シミュレーション初心者でも取っつきやすいゲームにするならば、表面的な育成部分はなるべく単純なものであった方が良いかなと考えてこのシステムとしました。
育成の醍醐味なランダム性
ただし、それだけだとただパラメーターが少ない科目をポチポチ押していくだけのゲームになってしまいますので、プレイヤーに科目選択の迷いや駆け引きを生む部分が必要になりますね。
本ゲームでその駆け引き部分――つまるところ運の要素として取り入れているのが、勉強効率というシステムです。
お出かけやイベントでランダムな科目に付与され、付与された科目コマンドは一定期間だけパラメーターの上がり幅が増えるというもの。
ちなみに、ランダムで付与される際の倍率は1.5倍か2倍かでランダム(2倍が選出される確率は1/4)、期間は一週間か二週間かでランダム(二週間が選出される確率は1/4)、科目は五科目の内のどれかで、まれに全科目が対象となる(これは全部均等に1/6)という、非常にランダム性の強い設定としました。
確定で付与されるタイミングは冬休みや春休みといった長期休暇の際くらいで、あとは本当に乱数の赴くまま。倍率や期間といった総合的なリソースまで変わってくるので、前回と全く同じ育成になるといったことはまずないと思います。
テストが近いから国語のパラメーターが足りないから伸ばしたいけど、あと三日は数学の勉強効率が上がっている。さて、どちらを選ぼうか……といった選択要素が生まれてくるわけです。
個人的に、このランダム性もまた育成シミュレーションの面白さの一つだと思っています。アドリブを乗りこなしてこそ、ヒロインを育てる楽しさとやりがいが生まれるんじゃないかなーって。
スマブラを制作された桜井さんのyoutubeチャンネルでも、そんなランダム性についての話がありましたね。
また、他の運要素としては、正月におみくじを引いたり、ショッピングモールで福引を引いたりもあります。
福引要素なんかは、もろにウマ娘の影響を受けていますね。なので、特等で温泉旅行が当たったら、特定のエンディング後に温泉旅行イベントが見れます。
かわいい教え子と温泉旅行にレッツゴー! ただし、本家と違ってタオル姿は見られません。ごめんなさい。
ちなみにプチ情報として、正月に神社でくじ運をお祈りすると、おみくじで凶がでなくなったり、福引で特等や一等の出る確率が上がったりします。逆に言うと、くじ運を祈る恩恵はそれだけです。攻略よりはシナリオ用のお楽しみ要素ですね。
あとは、コマンドを実行した際、大成功/成功/失敗の三通りで結果が分かれるという運要素もありました。
これはときメモから受けた影響要素ですが、ストレス値に応じて勉強が捗ったかどうかの結果が分かれ、大成功であれば1.5倍、失敗であれば0.66倍の係数がパラメーターの増加量に掛けられるというものです。
これはストレスの値を管理することである程度コントロール可能ですが、それでも成否は運次第――勉強効率がめっちゃ高まっているタイミングで大成功を引いた時なんかは、思わずよっしゃと声が出てしまいますね。
ちなみに、自分はテストプレイしながら声を上げて喜んでいました。自分で作ったシステムに、感情を振り回されている。
なお、この成否についてはゲーム中で詳しい説明のない、いわゆる隠し要素的なものとなっています。漠然とストレスを溜め過ぎると失敗しやすいとは説明していますが、具体的に失敗が何かまでは語っていません。
ただし、コマンド実行時のSEとSDキャラクターの表情でなんとなく理解出来るようにはなっています。文章で説明するのではなく、実際に遊んでいく中で感覚的に掴んでもらえればと思って、あえてこのような作りにしてみました。
文章で説明すべき要素と、感覚で掴んでもらう隠し要素。ゲームのカジュアル性を高める上でも、このあたりのさじ加減は度々悩まされましたね。
また、運以外の方法で特定の科目を伸ばす要素として、参考書を買うというシステムも用意しました。
ここで参考書を買った科目には一か月という長い期間、勉強効率上昇効果が付与されるので、運に恵まれなかった科目のパラメーターを本で補えるようになっています。
本ゲームは一科目でも合格点に満たないと即ゲームオーバーとなるので、この参考書システムが救済要素にもなればと思って作りました。
合格点と難易度設定
合格点絡みのシステムで言えば、本ゲームは各期間のテストを乗り越えること自体はそこまで難しくならないよう、必要パラメーターのハードルを調整しています。
一科目だけ疎かにしすぎるなどの偏った育成をするとゲームオーバーになってしまいますが、満遍なく勉強していけば合格点を超えられるゲームバランスとなるように意識しました。
その代わり、ゲームの最終スコアとなる年度末の統一模試については、合格条件を超えるのがそれなりに難しくなるよう設定しました。彼女を希望の大学へ連れていけるかは、プレイヤーの腕次第といったところでしょうか。
ちなみに、合格に必要な模試の判定はB判定ですが、A判定も頑張れば取れるようになっています。ただし、かなり効率的なプレイングが要求されるため、ある程度の育成シミュレーションの経験や固定イベント発生日の把握といったものが必要になってくるかなと。
もっとも、自分が育成シミュレーションを作るのが初めてということもあり、難易度調整に失敗している可能性は大いにありえます。想定よりも簡単だったり、逆に難しすぎたり。
簡単な分にはまあ問題ないのですが、難しすぎて初心者じゃ受験合格に導けないといったバランスだとまずいかなーと思っています。エンディング分岐の条件の一つに第一志望大学への合格があるので、プレイヤーの腕を要求しすぎるのは本望ではないですし。
制作者はゲームシステムの全てを理解しているので、テストプレイヤーとしては適切な結果が出せない。なので、このあたりのバランス感覚は、経験を積んで学んでいくしかないのでしょうね。
もしも、自分のゲームを遊んでくださった上で、この記事まで読んでくださっている酔狂な方がいらっしゃいましたら、是非育成難易度の感想などを教えていただけますと嬉しいです。
難しすぎてクリア出来ないという惨状になっていたら、修正が必要にもなるので……。
といったところで、システムについての裏話はこれくらいでしょうか。他にもこまごまとしたシステムはあるのですが、その辺りは汎用的だったり細かすぎる話なので省略させていただきます。
初めての育成シミュレーション制作だったので拙い部分も多いかと思いますが、初心者でもわかりやすく楽しめるゲームとなるように頑張って作りました!
まだプレイしていないという方は最後まで無料で遊べますので、是非ゲームをダウンロードして従妹の琴深さんを大学まで出しましょう!
以上、望月朔でしたー。
【2024/04/27 追記】
ストーリー編の裏話も投稿したということで、ネタバレとして最後の模試でB判定を取るのに必要なスコアを記載しようと思います。
簡潔に記すと、文系理系で選択した科目は1100以上、それ以外の科目は900以上で基準を満たすようになっています。
もし一周目でB判定を取れず、もう一周遊んでいただけるという方がいらっしゃいましたら、是非参考にしてみてください!
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