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効果的なマーケティングコンテンツ、「導入事例」制作の進め方

こんばんは、あぶかわ( @abukawais )です。突然ですが、マーケティングのコンテンツ作りは順調ですか?

webコンテンツに絞ってもさまざまな種類がありますが、見込み客の心を強く動かし、かつ検討初期から後期までさまざまな場面で活用できるのが「導入事例」です。現職では積極的に導入事例を制作してきまして、特に取り扱うマーケティングオートメーションについてはお客様にご協力いただきながら年間10件以上の事例記事を公開しています。そんな私自身の経験をもとに、より良い内容にするため、どのように制作を進めているか、順を追ってご紹介します。

1. 導入企業のピックアップ

導入事例を作るには、まず事例取材を引き受けていただける企業を見つけなければなりません。内容の濃いインタビューにするためには、サービス導入から一定期間経過し、活用度が高まっていて、成果が出ている企業が好ましいです。そのため、まずは導入時期を基準にして、既存顧客をピックアップしましょう。契約情報に加え、活用度も含めた情報がCRMに入力・管理されていると第一段階のピックアップは非常に楽です。

ここからお願いしたい企業をさらに絞り込んでいくことになりますが、事例記事の想定読者である見込み客は、自社に近い業種や企業規模の事例を求める傾向にあります。そのため、営業と合意したターゲットに合致する企業規模や業種などをベースに優先順位付けしたリストを作成しましょう。

また、事例化は思い立ってすぐにお客様に打診できる訳ではありません。営業やカスタマーサクセスのメンバーと良好な関係を築き、継続的にお客様の状況を伺うことで候補となる企業を教えてもらったり、タイミングを逃さず打診してもらえたりします。私の経験では、お客様が引き受けていただきやすいタイミングは以下です。

  • 契約更新時(価格交渉と引き換えにできる)

  • 採用を強化されている(ブランディングに繋げていただける)

  • 他社での事例公開、外部イベント登壇時(話す内容がまとまっている)

  • noteなどで自ら発信されている時(アウトプットがお得意)

社内メンバーと良好な関係を築くだけでなく、マーケティング活動に協力してもらうための、お客様の活用度に沿ったアドボカシージャーニーをまとめておくと他部門の方にもどういったタイミングで事例打診をすればいいか理解してもらいやすいです。

項目としては、例えば、どのタイミングでwebサイトへの導入企業としてのロゴ掲載をお願いするとスムーズにいくか、活用度がどのくらいになると事例化できる内容になっていそうか、など、ベストプラクティスベースにはなりますが作っておくとフィードバックもいただけるようになると思います。

2. 外注するか内製で進めるかの検討

事例制作を進めようとなった際に、社内にノウハウはありますか?スムーズに進められるリソースはありますか?

内製で進めるメリットは色々とありますが、進行を優先する場合には外注することも検討しましょう。以下に外注を検討できる項目をいくつかご紹介します。

企画

事例化させていただく企業が決定した後、企画の段階で記事のテーマや内容、制作スケジュールを計画します。コンテンツのオーナーシップを持つ非常に重要な役割ではありますが、自社サービスのことを深く理解されているパートナー企業がいれば外注は可能です。

事例化企業とのやり取り

事例のテーマや内容がある程度固まった後、日程調整や進行などの実務面を指します。お客様との直接やり取りをするため、失礼があってはいけませんが、手間がかかる部分でもあるため、信頼できるパートナー企業がいれば外注が可能です。

インタビュー/原稿制作

当日のインタビュー(聞き手)と原稿の執筆です。基本的にはライターがインタビュアーとして、原稿の構成を念頭に置きながら質問を進める方が最終的な完成度が高くなります。プロフェッショナルな原稿作成には専門的な能力が必要とされますので、社内にスキルのある方がいない場合は外注する方が全体としてのクオリティは高くなります。

とはいえ、外注する際にも、インタビューはライターに任せっきりではなく、サービスや事例化企業を深く知る社員が適宜質問を投げかけサポートすることで、より中身の濃いものに仕上がります。

写真撮影

インタビュー当日、もしくは別日にインタビューを受けていただく方のインタビューの様子(もしくは様子風の写真)を撮影します。冊子化やwebサイトへの掲載などの活用用途を問わず、写真のクオリティが記事全体のクオリティに大きく影響します。

画角や構図といった経験値の差だけでなく、専門的な機材を使うことで明るさや色味なども理想的な写真に近づけていくことができるので、ここは社内にカメラマンがいない限りは、惜しまずにプロにお任せした方がよいと思います。

3. インタビューの事前準備

インタビューでお客様にこれまでの取り組みを余すことなくお話いただくために、事前準備から話しやすい環境を整えていきましょう。そのためにはお客様に「何を話してほしいか」をお伝えし、「何について話すか」を当日までに整理していただけるようにすることが大事だと考えています。

企画書の作成

まずはお客様に事例化の概要をお伝えするための企画書を作成します。パワーポイントであれば5~6枚、ワードであれば2枚程度に収まるようなボリュームで、目的やテーマ、公開までの流れ、活用用途などを記載します。

オウンドメディアでのみ公開するのか、広告として外部媒体でも使うのかによってお客様企業のチェック内容や担当が変わったりするので、最初の段階で明記しておくと後々スムーズにいきます。

事前打ち合わせの実施

次に、事例を担当するメンバーは事前の打ち合わせを設けましょう。作成した企画書の内容を説明して不明点を解消していきながら、ご活用状況や社内浸透度などのヒアリングを行い、当日お話いただける内容についてもすり合わせをしておきます。お時間をいただくことにはなりますが、事前にお話しておくことで取材当日の緊張が若干ほぐれるというメリットもあります。

このとき忘れがちになるのですが、撮影場所の確保のお願いです。コンテンツの中で画像や動画は重要な要素なので、お客様のブランディングに繋がる場所や、オフィスの雰囲気が分かるような会議室やスペースをお客様に確保いただくことを依頼します。ここまで準備ができれば、インタビュアーとカメラマンの日程を調整し、取材日程を確定させます。

4. 質問票の作成

当日のインタビューの出来を左右するのが質問票です。事前打ち合わせでお聞きした内容をもとに、インタビュー実施日の2週間ほど前には質問票を作成し、インタビュアー(ライター)とお客様に共有しましょう。記事のスタイルを揃えるためにも、質問票はテンプレートを作成しておき、ヒアリングした内容をベースに修正を加えていくとスムーズです。現職での事例制作の際のテンプレートに含めているのは以下のような内容です。

  •  会社概要

  • 導入前の課題

  • 導入後にチャレンジされたこと

  • 定量的、定性的な成果

  • 気に入っている機能

  • 今後の展望

事例を魅力的なものにするために、私はビジネスバリューだけでなく、お客様個人のパーソナルバリューを引き出すことを意識しています。何に苦労したのか、何が良くなったのか、社内外でどう評価されるようになったのか、なども含めてお聞きできると、読み手にリアルさが伝わります。

あわせて、お客様が社内資料を作成されていればご共有いただくのも効果的です。ライターがあまり製品について詳しくない場合にも、単純な質問項目よりも資料を読み込んでもらった方が理解が進みますし、お客様も話す内容を改めて整理して考えていただけることが多いです。

5. インタビュー当日の進め方

ここまで準備して、インタビュー当日を迎えます。事例取材では、まず一番にお客様に気持ちよくお話いただけることを心がけましょう。そのためには、お客様のことをよく知る営業担当者や、自社製品、サービスのことをよく知り話に共感できるマーケティングやプロダクト担当者がなるべく同席し、お客様の緊張をほぐします。

コロナ禍では大人数での取材が難しい可能性もあるので、オンラインで対応するメンバーがいる場合には事前にweb会議を設定しておき、オンライン、オフライン問わず、インタビュー開始時にはお客様の合意を取った上で、レコーダーで会話の内容を録音することを忘れないようにします。

インタビューは60~90分、写真撮影はインタビュー中とは別に30分程度確保しています。インタビューに際しては、ライターがインタビュアーとなりますが、上記の社内メンバーなど、もう1名は同席することをお勧めします。インタビュアーは質問票に基づく質問に集中していますが、同席者であれば話を広げたり、深掘りしたい点を拾ったりする余裕があるので、適切なタイミングでお客様に質問を投げかけ、リアルな経験談をより多くお話いただけます。

盛り上がるにつれて聞きたいことはたくさん出てきますが、取材は予定時刻よりも少し早めに終わらせ、公開までの進め方について説明し、承諾いただくようにしましょう。

6. 公開までの対応

取材が終わると、原稿の作成に移ります。外注の場合は2~4週間ほどかけて初稿を作成していただけることが多いです。内製の場合であっても、同様の期間内に初稿を完成させるように心がけた方がよさそうです。というのも、取材から時間があまり経過するとお取り組み内容が変わってしまう場合があるからです。

原稿が完成したら、お客様に共有する前に社内で校正を進めます。校正の際には以下の点に気をつけて確認を進めましょう。

  • お客様の社名、部署名、お名前

  • 誤字脱字

  • 表記揺れ(大文字と小文字、全角と半角、「見込み客」と「見込客」など)

  • ライティングガイドラインへの対応(「BtoB」ではなく「B2B」に統一するなど)

良い事例となりそうであれば、さまざまな場面で使いたいはずです。

企画書時点では盛り込んでいなかった記事広告への転用などを検討することもあるでしょう。そのため、利用用途については原稿確認の段階でも改めてお客様に必ず確認を取り、お客様社内の広報にも確認していただくようにしましょう。

そして、お客様に校了をいただくまで、修正を繰り返します。最後までお客様に失礼のないような対応を心がければ、今後のマーケティング活動、イベントへのご登壇などへのご協力もお願いしやすくなります。

導入事例の進め方のまとめ

導入事例は、自社の商品、サービスの使い方を具体的にイメージできる内容にする必要がありますが、そのためには、お客様から具体的なお話を聞き出さなければなりません。また、営業、マーケティングにおいてとても価値あるコンテンツであり、お客様との信頼関係がないと作ることのできない、とても貴重なものです。社内外での継続的なコミュニケーションを大事にしながら、時間をかけてでも取り組んでいくことをお勧めします。

今回は導入事例をテーマにコンテンツ制作の進め方をご紹介しましたが、よりよいコンテンツ作りを通して、マーケティング活動がより成果の出るものになれば幸いです。

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