幸せなアナログレコードとの再会(今は昔編)自分史上初めてのマイ・オーディオ・システム。
今は昔、あるところに管弦好みの男子があったそうじゃ……
◯父が新しい家電大好き人間だった
60年ほども前の話。電気炊飯器、テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫など当時の「先端家電」が発売されるやいち早く父は購入していました。その後もカラーテレビ、電子レンジなど近所では一番手。
音楽も好きな人だったので、その後流行り出した「コンソール型」ステレオ(真空管式でアンプやスピーカーが一体型。横長・脚付き)なんかも家にありました。
◯コンソール型のステレオ
日立製作所の製品で中を覗くと真空管がいっぱい並んでました。今だったら逆に価値があるかも。私が小学生のころ買ったと思います。
中学時代の音楽の時間に先生が「家にステレオがある人、手を挙げて」と言いましたので私を含めてクラスで数人が手を挙げました。当時ひとクラス50人位だったと思うので1割弱の家庭にあった計算です。
続いて先生がメーカーを聞きましたのでそれぞれの生徒が答えました。何で?と当時思いましたが、今思えば先生はオーディオマニアで興味があったのかもしれません。オーディオブームが始まっていたのでしょうか。
そんなことを思い出しました。
◯憧れの、セパレート・システム
それから少しした頃、今度は世の中で「セパレート型」(左右のスピーカーとコントロール部の3分割の箱型。コンソールタイプよりさらに大きい)のステレオシステムが流行り出しました。
余談ですが、先日NHKの朝ドラ『芋たこなんきん』の再放送でこのタイプのステレオが映りました。
徳永家の次男のクリスマス・プレゼントのリクエストがコレ。で、届いたのが居間に鎮座。一瞬の映像でしたが存在感を放っていました。
友達の家にコレがあってカッコよくって憧れたものです。教室でノートにその絵を描いているのを見た友達が「俺ん家のステレオやん」と笑って言いました。
父は動きませんでした(笑)。
◯強い憧れの、コンポーネント・システム
高校時代以降は「コンポーネント式」(異なるメーカーのアンプ、プレーヤー、スピーカーを組み合わせる)のシステムが流行しました。
強い憧れが芽生えました。
高校の頃からFM放送が始まったり、友人の影響もありクラシック音楽を中心に音楽を盛んに聴き出したのがこの頃です。
家のコンソール型ステレオがFM放送に対応していなかったので、もっぱらソニーのポータブルラジオで聴いていました。
大阪の実家から京都の大学に通う頃になっても、我が家のステレオはまだコンソールのままでした。
私ら兄弟の進学やら学費やら何やらがかさんで、我が家の経済がこの頃は良くなかったのかもしれません(笑)。
◯自分史上初、マイ・オーディオ・システム
コンポーネントのステレオが何としても欲しい。けど父は動かない。とうとう、ひと夏頑張ったアルバイト代を握りしめて、大阪日本橋の電気街へ行って購入しました。自分史上初めて購入したシステムでした。
実は、いよいよ買おうとする前日にそれを父に話した時「ぼちぼちステレオ買おかな思うとったんや」と父が私に言いました。
今なら、「ほな、そうして!」とその話に乗るところですが、その時は自分で買うと宣言したのです。
別に父に恩を売る気もさらさら無かったのですが、成り行きというか、思う一念を通したというか、結局そうなりました。
◯システムの構成
以下、型式、定価、発売時期などは『オーディオの足跡』様のサイトの内容を引用させていただきました。
・レシーバー(アンプ+チューナー):トリオ(ケンウッド) TRIO KR-3200 ¥49,900(1973年頃発売)
・レコードプレーヤー(ベルトドライブ式):パイオニア Pioneer PL-25E ¥30,000(1972年頃発売)
・スピーカー(2ウェイ+スーパーツィーター):ダイアトーン(三菱電機) DIATONE DS-251 ¥25,000(1台、1970年発売) ×2本
しめて定価13万円ほど、値引き後で10万円ほどだったと思います。ちなみに当時消費税はありませんでした。
◯優れものたち
どれもエントリークラスの当時の「ベストセラー」を組み合わせたのです。今でもいい買い物をしたと思います。
中でも、トリオのレシーバーとダイアトーンのスピーカーは30年ほどの間現役で使い続けることになりました。何度か修理には出しましたが。
購入前の検討段階で、音楽雑誌を参考に選定して大阪日本橋へ意気揚々乗り込みました。
何件かの店を巡って店員さんと話すうち、当初とは機種が変わりました。やはりプロは説得力があります。
結局、ここと決めた店で上記の組み合わせをまとめて購入するに至りました。
商品が届き、部屋に並べたのを見て私の心は空へと舞い上がりました。
理系の学部で忙しかったし、当時レコードが安くはなかったのですが、小遣いから買って1枚づつ増えていきました。
「コンポーネント式」という名称、カテゴリーはその後も「コンポ」「ミニコンポ」などの応用期を経て今もオーディオの標準であり続けていますね。
今も忘れられない私のオーディオデビューでした。
※AngelRabbits さんの画像をお借りしました。
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