屏幕快照_2020-03-01_01

民主日本でも、中国から学べる「非常時の政治コミュニケーション」

ここ2週間、コロナ対策で、日本で起きている事象、現場での対応困惑、そして社会世論は、まさに1ヶ月前の中国、そのままだったなとしみじみと感じる。

-全国学校の休校、多くの企業のテレワーク
-観光産業、外食産業の更なる打撃
-企業の倒産、政府や行政による金融支援政策
-スタートアップIT企業が続々と、応援サービスをリリース
などなど

中国にあった社会現象が、ほぼ再現されていて、2月(中国の2月の世界)をもう1回生き直しているという、非常に幻覚的かつ倦怠感を交えた、不思議な感覚でいる(苦笑)

日本の社会世論に対して感じる2つの違和感

ただ、強く感じている違和感が2つある。これは、たぶんほとんどの在日中国人が持っている違和感だと思う。

一つは、コロナ措置に対して、意見が分かれていて、政府と国民が「ワンチームになっていない」ところだ。

もうひとつは、地震や津波の際に完璧に機能している日本の災害対応システムが今回はあまり機能してなく、現場が困惑していること。

テレビを見ても、SNS見ても、中央政府と野党の間、そして自治体、学校、保護者、国民の間に、多くのコミュニケーションの時間が消耗されている印象で、対応措置を実行する時間がちゃんと取れているのかなと、日本に住んでいる一員として、ただ思ってしまう。

一方で、中国では、収束の兆しが見えつつあり、経済復興の動きがスタートした。そして、まさに昨日3月1日、中国当局の発表によると、コロナ新型肺炎による状況は、4月末に収束する見通しを発表された。

もちろん、中国みたいに、13億人が一気に2週間在宅隔離など、経済の停止ボタンを押すような、極端的なな措置は、民主主義社会では不可能だし、合わないと思う。だけど、イデオロギー論を抜きに、中国から学べることがあるはずだ。

ざっくりした言い方すると、それは、非常時における政府と国民の間のコミュニーケーション法だと思う。うまいなと思った、中国政府のいくつコミュニケーション措置を、まとめてみました。


中国政府が取った、国民との間の3つのコミュニケーション戦略

まず、大前提として、一つ言っとかないといけないのは、
こんな状況の中、政府にせよ、企業にせよ、どんな判断を下すのも、大きなリスクが伴っている。

クルーズ船のことにせよ、全国中小学校の一斉休校要請にせよ、突発的な災害に応じる措置を短時間での判断が求められるので、社会混乱と不安が生じるのは当然で、政府の判断と措置も批判されるだろう。
(個人的は、全国の休校措置は、企業との連携、保護者の在宅勤務と伴わないと行けないじゃないなかと・・・)

ただ、非常時こそ、社会が一丸となって対応して必要があり、そして、そのためのコミュニケーション方針を、スピーディーに構築するのが、極めて大事

【1】事態の共通認識を取る「トップダウン型の一貫したコミュニケーション」

中国の場合は、メディアの権威代表格の「人民日報」と医療情報プラットフォーム大手の「丁香医生」と連携して、いち早く、「コロナ感染実態リアルタイム全国マップ」を構築した。それと同時に、先手を打ち、「デマチェックサイト」も公表。

画像1

こういったコミュニケーションツールを通じて、徹底した情報の「透明性」、「即時性」と「正確性」を保つことができて、主要メディア含め、国民との間で、事態の緊急度の認知と危機感の醸成を、きちんとできていた。

このステップがあるからこそ、政府が緊急措置を取っても、社会が一時的ななパニックを経て、のち、国民の理解は得られ、社会がまた一丸となっていくのだ。

それと、政府の「言動」の一致も大事。

緊急事態と公言している以上は、公的な記者会見や会議では、官僚たちはきちんとマスクする、そして、なるべく、オフライン集合をやめて、オンラインでの数字発表や、SNSでの記者会見するなど、「発言」と「行動」の一致性を示した方が良いかと。

事態の深刻度への認識が、中央政府、地方政府、そして個々の国民の頭の中では、異なっていることが、コミュニケーションの障壁となり、国民の理解を得られず、そして、実行の障壁にもなっている。


【2】自治体および国民を巻き込む「ソーシャル型コミュニケーション」

もちろん、上記のコミュニケーションができてからだけど、中国の場合は、ソーシャルネットワークは、初期の感染拡大防止段階で、かなり攻を奏していた。

感染者1名が確認されると同時に、「何時にどこの交通機関乗った」「何時にどこの店に行ったのか」など、その方の移動経路が全て公開され、心当たりある人に、「自宅14日感隔離」を要請する、チラシやポスターなどは、13億人のタイムラインに毎日流れていた。

画像2

つまり、権威のあるメディア発信と別で、市民全員を巻き込んで、個人のソーシャルネットワークを活用し、「感染者情報」と「感染可能経路」を早いスピードで拡散し、政府の発信だけでリーチしきれないところまで、漏れのないように「情報網」を構築できた。

一方、日本国会の論点が「PCR検査」に集中しているけど、本当に大事なのは、「感染拡大防止の措置」なんじゃないのか。

感染者拡大を防ぐためには、極端の方法は、「全民隔離」だけど、それができなくても、「ウィルス携帯可能性の高い人の移動を制限すること」が極めて大事。

PCR検査は、陽性か陰性かの判明手段に過ぎなく、感染者もしくは感染疑似者を確認できてからの措置の方は、下記3つしかないと思う。

1、感染者と濃厚接触者全員を見つけて、徹底した自宅隔離をする       2、感染疑似者(インフルエンザかもしれないけど熱が出ている人)でも自宅隔離してもらって、外出しない、なるべく他人と接触しないこと         3、感染者数が一定水準に達したたら危険地域と認定し、市民が外出しないこと。

【3】政府と国民の間の架け橋となる「第三者コミュニケーション」

中国人の場合、日本以上に、政府を信じない傾向が強い。

それをわかっているからこそ、今回のコロナ感染の戦いの中に、SARSの時から「中国の感染症研究の第一人者」と呼ばれる鍾南山医師を、いち早く登場させた。

もちろん医療現場で指導機能もそうだけど、非常時の際、特にデマが生じやすいし、社会不安落ちやすいので、政府と別で、権威のある専門家チームを設置された方が、政府と国民の間の架け橋となり、お互いより冷静な対話ができるようになった。
政府が発表していることは、本当かどうか判断つかないから、信じがたい。例え、政府が正しい判断を下していても、社会はすぐには受け入れ難い。

画像3

しかし、鍾南山医師が「これから瀬戸際だから、全民14日在宅隔離してほしい」と要請して政府がそれに応じて、国民に要請するとなると、コミュニケーションがスムーズとなり、初めて協力体制ができた。


多くの日中の違いに対しては、我々は、よく、「イデオロギーが違うんだから、できない」と言って片付けてしまうけど、多分それ以前に、普遍的で、政府と国民の間のコミュニケーションの問題が起きている。

イデオロギーと政治主張と関係なく、あくまで一個人として、日本政府と各自治体政府に対する「コミュニケーションの提言として、留めていただければと思います。

最後に、一つ余談。
北海道の鈴木知事は、「休校する、そして、自分の政治判断に責任をとる」という記者会見のスピーチに対して、中国から大絶賛されていることがご存知だろうか。

画像5

同じ休校措置なのに、北海道道民と中国の人々まで心捕まえたのは、まさに、コミュニケーションそのもの結果なんじゃないかと思う。

日本の政治家が、中国のメディアにこれだけリアルタイムに追わられ、注目されていて、発言まで取り上げられることは、日本と中国の政治関係と経済関係は本当に至近距離の世界にいるんだなと思う。

各地方政府の首長の発言ま、日本国内だけでなく、海外からもこれだけ熱い目線で見えられていることを、自覚して発言した方が良いだろう。

2020/3/2

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?