初海外でアイプチ事件、勃発!
「オーストラリア、行ってきたら?」
僕が渡した留学のプリントを見ながら母はそう言った。
「え、? いいの?」
驚いた僕は、思わずそう返した。
我が家は至って普通の家庭で、留学とかそんな大金が掛かる事とは縁がないと勝手に思っていた。(習い事はたくさんさせて貰ったし、十二分に楽しい子供時代だった。)
「うん、せっかくだし行っておいでよ!」
「でも、結構お金かかるよ?」
「うん、2週間で50万はすごいね でも、お兄ちゃんは大学受験で浪人してて、あんたはストレートで大学決まってるんだし、これでトントン」(エスカレーター式と言えば伝わるのだろうか、僕は高校から大学にそのまま進学した。)
「なるほど」
高校生ながら妙に納得した。
そうと決まれば、僕の頭は留学のことでいっぱいである。
「ホームステイ先の家族はどんな感じかなー?
ヨーロッパ系の美女がたくさん居るのかなー? カンガルーと会えるかなー? クラブ?とか言うところに行って、金髪美女と何か起きたりしないかなー?」
想像は膨らむ一方。
関空を出て、留学先の学校に着くまでは、ほぼ丸一日を要した。学校に着くと、日本で言われる陽気とはまたスケールが違うとっても元気な美人先生がこれから先1ヶ月、どんなスケジュールで学んでいく(遊ぶ)のかを説明してくれた。もちろん英語で、喋るスピードも普通で。僕は先生の言ってることがさっぱりだったので、頷くことだけをしっかり頑張った。
一通りの説明が終わり、ホームマザー、ファザーが迎えにくるまでは自由時間となった。僕は飛行機で仲良くなった女の子2人(KちゃんとOちゃん)と男友達の4人で近くのショッピングモールに行くことにした。初海外、彼女たちと出会ったのはほんの12時間前、男2女2、というなんだろう、少し何かが起きそうな(起きない)シチュエーションに少しばかり高揚していた。
初めに行ったのが、コストコばりのでかさを誇るスーパー。
「本当に全てがおっきいねー!」
「確かにー」
「3 for 2 あれどういうことかなー?」
「ってか、やっぱり物価高いね!」
なんて、なんでもない会話をしながら僕らはスーパーを回った。
今もそうなのかもしれないが、当時のオーストラリアの物価は本当に高かった。600mlのコーラが350円、ポテトチップスが250円ぐらいだった。ほんと、考えられない。最後の一週間、150円のカップラーメンをどれだけ食べたことか。
日本でいうところの冷凍食品などが入っているあの縦に長い冷凍庫に入っているお肉の塊に僕は夢中になっていた。
「これ、すごくない??」
と横を振り向いて言うと、彼らは居なかった。
Oちゃんが数メートル先に居た。彼女はいかにも海外のクリスマスパーティーに出てきそうな鳥の丸焼きの虜になっていた。
周りを見渡すと、男友達とKちゃんの姿は見えない。抜け駆けしたのだ。(スーパーで抜け駆けってなんだよ)
取り残された僕らは必然と2人で回ることになった。わかりやすく心拍数が上がったが、どうにか平然を装った。
それからは、2人ともやっていたバスケの専門店や100均に寄ったりした。途中、カフェに行ったときは「あ、僕出すよ」なんて自分で稼いだお金じゃないのに奢るという極めてダサい行為(当時はカッコいいと思っていた)をした。
2時間ぐらい経った頃、無料のwifiを用いて、僕らはショッピングモールの出口で待ち合わせをした。
出口に向かう途中、Oちゃんに対してずっと気になっていたこと最後に伝えた。
「目に白いテープついているよ」
すると、Oちゃんは一気に赤面になって、トイレに駆け抜けて行った。
当時の僕はアイプチという、目を二重にするためのシール?の存在を知らなかったのだ。
それとアイプチのことを男子に言われる女の子がどれだけ恥ずかしいのかも知らなかった。
そのあと、僕はこっぴどく男友達に怒られた。
「お前、やらかしたなー!!!」って。
アイプチよ、もっと早く透明になっておいてくれよ。それだったらあんなこと起きなくて済んだのに。ほんとたのむよ、、、
これが、僕のアイプチ事件である。
それから、どう修復したのかは忘れたが、Oちゃんとはすごく仲良くなってオーストラリアを後にした。
こんなことを書いていると、オーストラリアでの色んな楽しいことが色々思い出してきたので、また書きたい。それはまあ、楽しい1ヶ月間だった。
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