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「小さな女の子がテーブルクロスを引っぱる」

面白い詩を見つけたので、書き写す。

もう一年以上この世界にいても
この世界のすべてが究められ、
思い通りになるわけではない。

今日試してみるのは
自分では動けないものたち。

だから助けてあげなくちゃ。
ずらして、押して、
いまの場所から別のところに動かして。

みなが動きたいと思っているわけではない、たとえば/本棚、食器棚、びくともしない壁、テーブル。

でも頑固なテーブルの上のクロスはもう
―縁をうまくつまんであげれば―
動こうという気になっている。

クロスの上のコップや、お皿や、
ミルク壺や、お匙や、どんぶりは
動きたくてたまらず、体を震わせている。

なんて面白い
縁でゆらゆら揺れながら
どんな動きを選ぶんだろう―
天井をさまようのかしら?
ランプの周りを飛び回るのかしら?
窓枠に飛び乗って、そこから外の樹まで飛んでいくのかしら?

ニュートンさんはまだ何も言うべきことがない。
天からのんびり眺めながら、手を振っていればいい。

この実験は遂行されなければならない。
そして遂行されるだろう。


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