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僕たちの酒 チームA・チームB

僕たちの酒チームA/B

僕たちの酒シリーズ2019-2020BYはこれから酒蔵を立ち上げていくメンバーと阿部酒造の中核を将来担うメンバーと2名ずついたこと。
今季卒業メンバーが多かったこと、各メンバーの酒の嗜好が見事に別れていたこと。いろんな事が重なり、僕たちの酒はチームAとチームBに別れて酒を仕込みました。



原料米と磨きだけは同じ条件で、使用する酵母、酛の選択、麹の温度経過、発酵管理本当に全てを2チーム別れて行いました。
僕に質問できるのは2回だけ。それ以外は自分たちで考え、調べ、そして1年間の阿部酒造の造りで学んだことを活かして酒造りを行いました。
造りの後半であったため、中々発酵管理だけ難しい対応になってしまったのは申し訳なかったでした。

次このようなタイミングあればその時造るメンバーにはそのような悩みがないようにしたいと思います。

2019-2020BYの僕たちの酒チームA・チームBに関わったメンバーは下記4人

穴見 峻平
板倉 良太
佐藤 太亮
小松 裕介
この四人が2チームに別れて酒造りを行いました。
チームA:板倉、小松
チームB:穴見、佐藤

ちなみに
チームAの板倉、小松は将来の阿部酒造の中核を担う組
チームBの穴見、佐藤の2人はこの期で卒業し自分の夢に向かって動き出します。
2020年9月現在、佐藤がいち早く動き始めており、福島の地でブリュワリーの立ち上げを行う準備をしています。

彼らに共通の質問を僕から投げて、それぞれの言葉で酒に対する想いを書いてもらいました。
下にそのまま転載します。完全にノー加工なので、誤字脱字はご了承ください。

チームA板倉・小松チーム

○僕たちの酒で行いたかったこと(どういうコンセプトを元に造ったのか)

板倉:味のコンセプトについては小松の通りです。そこで何故、生酛で高酒母歩合(14%)の高麹歩合(34%)かと言うと、目指す酒質によるものでは勿論あるのですが、単純に生酛造るのも麹造るも楽しくてしゃーないので沢山作りてえ!っていう屈託のない理由から。

小松:自分達はほぼ毎日晩酌をするので酒単体だけでも飲めるような力強い酒質を目指しました。また、二人とも燗酒が好きなので、常温〜燗に向くような比較的クラシックな酒質を目指し、生酛造り・高酒母歩合・高麹歩合というコンセプトを決め、造りに臨みました。

○造りで難しかったこと

板倉:麹については突きハゼやってやると意気込んで情け無い程力価の弱い麹が出来上がった。力価の弱さを物量でカバーするような結果に。酒造り難しい。生酛についても、亜硝酸だったりせっかちな酵母がいたりと苦労させられました。酒造り難しい。上槽のタイミングは、まだデータを見て味の着地を読み取ることが出来ず、大いに悩みました。今でももっと引っ張ったらどうだったんだろうと考えてしまいます。

小松:麹歩合が高いので麹の出来にかなり左右されますが、思ったような力価が出ず、かなり勉強になりました。また生酛造りも毎日のお世話が大変でかなり神経を使いました。ただ、結果的に一番大変だったのは醪の品温管理です。気温が高めで醪初中期はすぐ品温が上がってしまい、下げるのに苦労しました。

○お酒ができた時の感想、味わいや想いなど

板倉:世界一旨い酒ができてしまったと思った。半分冗談ですが、実際客観視出来てない自分がいて笑ってしまった。味わいは酸の主張がかなり強く(恐らく生酛由来の乳酸)甘さは控えめ。目指していた通り燗栄えかと。60度くらいの燗から燗冷ましまでをゆっくり楽しんでもらえたらと思います。

小松:自分は酒造り自体一年目で自分達の考えたレシピで作ることができるなんて思ってもみなかったので、できた時はかなり感動しました。味わいに関しては思ったより酸が出たなという印象です。冷やして飲むと酸の主張が強く、かなり飲みやすいと思います。温度が上がるにつれて酸よりも甘みが出てきて丸くなります。是非、常温〜燗で飲んでほしいです。改善の余地はたくさんあるので日々考えながら造りに臨みたいです。

<<チームA詳細スペック>>

僕たちの酒 チームA
酛 生酛
Alc 17度
原材料 新潟県産米100%
精米歩合 非公開

チームB 穴見・佐藤チーム

○僕たちの酒で行いたかったこと(どういうコンセプトを元に造ったのか)

穴見:2人の共通点が2点あり、1点目が自分達の蔵を持つこと。もう1点が海外で蔵を持つこと。日本酒初心者や量を飲めない人でも美味しく飲めて、海外の人達にも親しみやすい味わいをコンセプトにしてお酒の設計を考えていきました。

佐藤
・自分たちが飲みたい酒をつくる
 →Regulusが好きなので、味わいの大きな方向性としてはそれを目指した
・自分たちは卒業して独立するチームだったので、下記の点も意識した
 ●まだ阿部酒造で挑戦したことのない造りに挑戦してみる(高温糖化白麹酛)
 ●海外での蔵設立を見越して、海外の方にも受け入れてもらえる味わい(酸味強め)


○造りで難しかったこと

穴見:酛造りを今まで1度も経験したことがない、高温糖化白麹酛をやったので、初めてのことが多すぎて苦戦しました。見たことのない状貌になったり、酛完成の見極めなどかなり難しかったです。最後の加水調整もそこで全ての味が決まってしまうので、かなり話し合って悩みながらやりました。

佐藤
・参考になるデータはいくつかもらっていたものの、初めてやる酛立てだったので、見たことない状貌になったりで、てんやわんやした

・仕込み総量がかなり少ないことや夏場に近い季節で、今までやってきた操作だと太刀打ちできないことが多かったので、仮説を立てて、今までやってきたことをアレンジする必要があった。

○お酒ができた時の感想、味わいや想いなど

穴見:タンク1本の酒を造る難しさ、きつさを超えた後に達成感や嬉しさを味わうことができました。こんな貴重な経験をさせていただいて阿部酒造、裕太さんには感謝の気持ちでいっぱいです。3年間阿部酒造で修行がてきて、個性豊かな仲間と出会えて本当に柏崎に来てよかったと思っています!ありがとうございました!

佐藤
・振り返って「もっとこうしたかった」という点はたくさんあるものの、何より「自分たちでつくった酒」は最高に美味い

・裕太さんが何気なくやっているように見れる作業にも、一つ一つ意思決定が積み重ねられていることを改めて痛感した(水を打つ判断とか)

・こんなに経験の少ない蔵人にタンクを任せて頂いて本当にありがとうございました!

・商品として早く飲んで頂きたいと思う気持ちと、反応が返ってくる怖さで複雑な気持ちです笑

<<チームB詳細スペック>>

僕たちの酒 チームB
酛 高温糖化白麹酛
Alc 15度
原材料 新潟県産米100%
精米歩合 非公開

2019-2020BYはここ2−3年の集大成であった気がします。
2020-2021BYは心機一転頑張っていこうと思います!

阿部酒造6代目阿部 裕太

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