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年末年始に挑んだ原典読破の挑戦 #1 (The Complete Sherlock Holmes)

Netflixでベネディクト・カンバーバッチ主演のBBCドラマ『SHERLOCk/シャーロック』を何話か観て、この年末年始に原文で読破しようと思い立った。

マルティン・ベックも5作目『消えた消防車』待ちで、他の図書館予約の本も来るのはまだまだ先になりそうで、この長い休み期間中に何を読もうかと迷っていたけど、ドラマに背中を押してもらった形だ。

Kindle版では幾つか全集が出ているが、原著者のサー・アーサー・コナン・ドイルは1930年没で既に著作権が切れてパブリック・ドメイン化しているから、全集と言えど、冗談みたいに安い(翻訳版には翻訳者の著作権があるから簡単ではない)。

ネットで探せば無料で原文が全部読めるサイトも見つかるだろうけれど、読み易さでKindle版を選んだ。

ホームズの物語は色んな形でドラマ、映画化されているが、振り返ると意外にも割と観ていた。初回の今日は、まずそんな映像化作品を振り返ってみようと思う。

ジェレミー・ブレット主演のイギリス・グラナダTVシリーズ『シャーロック・ホームズの冒険』は原作に忠実で、役者も、最も原作のホームズに近い、というのが世のシャーロキアンの評価。NHKが露口茂さんの吹替えで放送していた。

アメリカのドラマ『エレメンタリー・ホームズ&ワトソン』は舞台をニューヨークにして、ワトソン役をルーシー・リューが演じて、初の女性ワトソンとなった。

映画ではロバート・ダウニーJrがホームズを演じた『シャーロック・ホームズ』は、アクション映画的な新解釈物。

古い映画では、スピルバーグ制作の『ヤング・シャーロック』もあった。若き日のホームズとワトソンの冒険活劇で、スピルバーグらしい娯楽要素満載の佳作だ(サービス精神が裏目に出た、という声も多い)。ストーリーは後にハリー・ポッター・シリーズで監督をするクリス・コロンバスによるオリジナル脚本。原作の設定(鹿打ち帽にパイプなど)の由来も織り込んであって、知ってる人はニヤリとさせられる。

ニコラス・メイヤー脚本・監督の『シャーロック・ホームズの素敵な挑戦』もあった。原題の"The Seven Per-cent Solution"(7%の溶液)は、ドイルの作品中で、ホームズの悪癖としてコカインを使用していたことが書かれているが、そのコカイン水溶液が7%の濃度だったことと、事件解決の可能性が7%しかない(solutionには、解決という意味もある)というのを引っ掛けた遊びだ。原作本の邦訳は何故か『シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険』とタイトルが異なっていたが、映画が本職の人が作った本だけあって、ディテールへの拘りが実に楽しい。

日本では、ディーン・フジオカとEXILEの岩田剛典がホームズとワトソンを演じたフジの月9ドラマ『シャーロック アントールドストーリー』や、Hulu配信で竹内結子さんと貫地谷しほりさんがペアを組んだ『ミス・シャーロック』もあった。『ミス…』は史上初の女性ホームズ役の作品で、続編を期待していたけれど、竹内さんがあんなことになって、しばらくはお目にかかれそうにない。

『ナウシカ』と同時上映だった宮崎駿のアニメ『名探偵ホームズ』は全登場人物が擬人化された犬の設定になっていて、子供向けではあるけれど楽しかった。

パロディーやパスティーシュは、悪ふざけのような物は置いといて、よくできているなぁと感心する物は、ストーリーや謎解きだけでなく、原作のキャラクターや設定を上手く物語に活かしている。その意味で、原作を知ることで、より楽しみが増え味わいが深まる。

世のシャーロキアンほど熱烈なファンという訳ではないけれど、原文読破は、ミステリファンでなくても名前を知っている、かの偉大な名探偵への、僕なりの敬意の表明であり、ミステリ好きを自認する自分の出発点を明らかにすることだと思っている。

次回以降は、物語の中身の方に入ろうと思う。

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