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集まれ新卒の森!組織横断型 育ちあう勉強会_第二回

2度目の【集まれ新卒の森!組織横断型 育ちあう勉強会】の事後レポートです。仕事のため途中参加になってしまいましたが、後半のメインコンテンツで扱われた「成人発達理論」を中心にまとめていきます。

成人発達理論とは

本勉強会の講師である垂水さんの記事があるので、詳しくは上記を参照いただきたいですが、ここでは成人発達理論を理解するために最低限抑えるべきポイントをピックアップします。

・一人の中にも全段階の視点があり「あの人はこの段階である」などと決まる類のものではない。
・成人発達理論における意識の発達とは自己中心性の減少と新たな視点の取得と定義できる。
・段階的に発達する意識構造を理解することで自己-他者との関わりに活かせる。

1つ目の観点は特に重要です。こうした理論に直面すると、自己や他者をステレオタイプにラベリングしたくなりますが、人間の意識・能力は文脈に依存し多様なものなので注意が必要です。(高校3年生より大学1年生の方が幼く感じたりすることありますよね?またバリバリのビジネスマンが育児はさっぱり、ということもありますよね?そういうことです。)

この辺りの考え方はマネジメントの文脈で再定義すると「1分間リーダーシップ」に見られる「状況対応型リーダーシップ」に近いのかもしれません。
一言で言うと「人の発達段階は文脈によって変容し、それぞれのタスクに対して部下の発達段階に合わせた援助行動を取ることが成長において有効である」という考え方です。詳しくは下記URLより著書をご参照ください。マネジメントでよく部下と衝突する、思い通りに動いてくれない、などと悩みを抱える上司の方は一読の価値ありだと思います!

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成人発達理論における発達段階定義

文献によってやや名称が異なることもあるようですが、今回は本勉強会での段階定義に沿って話を進めます。

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*出所:COACHING.COM_組織横断型 育ちあう勉強会_第二回資料p36

本勉強会にメンバーとして参加される層(*以後”若手”と呼びます)には、大学生から新卒3年目までが多いので、上記発達段階では他者依存段階→自己主導段階での悩みを抱える方が多く、その段階における悩みや対処方法について議論されることが多かったように感じます。*先述の通り、「この人はこの段階である」という理論ではなく、発達段階は所属環境や向き合う内容など文脈に依存し、その違いは濃淡で現れることを再度注記しておきます。

各段階の詳細な特徴は下記のスライドを引用させていただきますが、簡単にまとめると下記のように言えます。

他者依存段階 :判断基準を他者に依存する
自己主導段階 :判断基準を自己に持ち他者と競争関係を築く
相対主義的段階:他者と自己の価値観を止揚し再構築する

20200619学び合い02_01他者依存段階

20200619学び合い02_02自己主導段階

20200619学び合い02_02相対主義

*出所:COACHING.COM_組織横断型 育ちあう勉強会_第二回資料pp38,43,54

他者依存段階→自己主導段階の悩みと解決方法

第一回の勉強会でも出てきた図に沿って説明すると他者依存段階では関係性のループ内にとどまってしまうことが往々にしてあります。

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右も左もわからない中、親の期待、上司の期待に応える。結果を出すと承認され、役割が拡張し、また期待に応えて、、、、という関係性のループです。その中で自分を見失い、「なぜ自分はこの仕事をしているのか」「自分はどこに向かっているのか」問い直すでしょう。

自己主導段階への移行はそうして起こります。仕事での経験、本や記事などでのインプットを通じて、自分の中に権威となる価値基準をつくっていきます。
すると他者との関係性が変わっていきます。他者からどう思われるか、期待を満たせるかという他者ドリブンの「指示待ち」状態から、他者を競争関係に置き、比較の上で間接的に自己定義をする状態に移行していきます。
競争関係にある他者への意識によって、向学心が刺激され、自律性のループに接続していくという流れが生じます。

関係性のループと自律性のループが接続すると自身の目標に対して自走することができるようになりますが、一方でここばかりが強まると自分の成功パターンの規範にこだわってしまうので注意が必要です。

コラム_SMSキャリア 長井 利仁様×垂水さん対談

Q. ご自身の若手の頃のご経験を振り返って「他者依存段階→自己主導段階の移行期だったな」と思えるエピソードを教えてください。

A. マネージャーになり部下を持った時、現場が見えなくなりすごく怖くなった。「メンバーと同じことを話せなくなったらどうしよう。『あいつなにしてるんだろう』と思われたらどうしよう」と気になった。その段階はまさしく他者依存段階だった。

現場の視点で話せるのが良いマネージャーだと思い込み、人に嫌われたくないという気持ちが強く、”期待”にこたえられるように動いてしまった。(部下はそんな期待はしていなかったにもかかわらず)

リーダーとしては「チームで成果を出すこと」が一番の目的であるべきだったのに、「メンバーから慕われること」に主眼を置いていたことで、関係性のループで閉じてしまい自分を見失った。

「メンバーの気持ちに寄り添う」流行りのサーバントリーダーシップは良いように言われるが、ある種他者依存的な考え方なのでチームで成果を出すという目的から施策がずれてしまうケースがあるので注意が必要。

そんな時、部下からの突き上げが契機となり、自己主導段階へと移行できた(27.28歳の頃)。「あなたがすべきことはそれじゃない」と部下に言われたことで、それぞれの職務の役割責任の定義(これは誰のための仕事か?何を提供するのか?)を再度行い、そのためにメンバーに高い要求を出す。これが健全であることに気が付いた。成果を出すことがチームの意義。そこからぶれないことの重要性を学ぶとともに、成長と貢献の両方の輪を回すことがマネジメントの役割であることに気が付いた。

自己主導段階→相対主義的段階の悩みと解決方法

自己主導段階は達成主義者とも言います。資本主義社会における成功者のイメージは自己主導段階の視点で語られることが多いでしょう。他者との競争の中で成果を出し、金銭・名誉を得る。しかし達成した目標や達成までの計画が自身のためではなく経済ゲームにおける他者のためのマイルストーンであるケースが大半ではないでしょうか。自己の中に明確な判断基準が存在する自己主導段階といえどもその判断基準は他者との比較であることに気が付いた時、相対主義的段階のオープニングを迎えたと言えます。(特に肉体の有限性にふと直面すると(死を直面すると)と自分は経済ゲームをしていただけで、自分の人生を生きていなかったのではないかと問い直すことが多いようです)

相対主義とは知識・価値の普遍的妥当性を認めない考え方のことを指します。人生における幸福は人によって異なる。自身が交わってこなかった他者との触れ合いを通じて、自身の価値観をメタ的に他者の価値観と並列で捉え直すことで、自分だけの新たな人生の意味を見出すことができそうです。
先述の長井様も自身のご経験と照らして「色んな会社を経験したことで、自分らしくいれる/いれない、その価値基準を広げてブラシュアップしてこれた。自分に嘘をつくと自分がすり減る。他の誰でもない、自らのユニークネスとそれを現実社会で役立てていく方策を見出すことが重要だと思う」とのことでした。

また私も非常に大好きで、「なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか」「使える 弁証法―ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える」でも有名な田坂広志さんも次のように仰っています。

「志」とは「いつの日か、こういう夢を実現しよう」という目標ではなく「今この一瞬をいかに生き切るか」という覚悟に他ならない

この境地に達するには自身のあり方やそれを超えた使命感について他者との対話を通じて内省し、再定義していく必要がありそうです。

*この考え方は「嫌われる勇気」に書かれているようなアドラー心理学の考え方に近いと思います。非常に学びが深かったので「嫌われる勇気」のまとめについては後日別のnoteで上げる予定なのでよかったらお目通しいただければ幸いです。

まとめ

自己中心段階→他者依存段階→自己主導段階→相対主義的段階をやや乱暴に分類すると下記のようなイメージを私は持ちました。

冒頭に「成人発達理論における意識の発達とは自己中心性の減少と新たな視点の取得と定義できる。」と記した通り、段階ごとの違いを視点の違いとして認識すると日常生活において文脈毎に自身がどの段階にいるのか内省しやすいなと感じました。

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どの段階だから良いということはなく、自身で自身のあり方を意識的に選択できる状態を作っていくことが重要だと思います。

私は下記3点,

意識的に時間を取って今後も続けていきたいと改めて感じました。

・自身のポジションを取りつつも自分と異なる価値観に触れ続け、適切にアンラーンしながら自身の価値基準をアップデートしていく
・他者との比較より、対話を重視する。
・「私にとって幸せとはなにか」に向き合い続ける

次回3回目も楽しみです!



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