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モンストキャラの商品調査で見えた5つのお客様像。

⼈気ゲーム「モンスターストライク」を⼿がけるXFLAGが、「モンスト」キャラクター関連の商品をEC経由で購⼊するお客様の傾向をABEJAに委託して調査したところ、5つのお客様像が⾒えてきたことが分かりました。調査で分かったことなどを語っていただきました。

お話を伺った方(上写真右から)
宮野修輔様:モンスト事業本部 マーチャンダイジング部 XFLAGSTOREグループリーダー
瀧本晋也様:モンスト事業本部 マーチャンダイジング部 マーケティング戦略グループ事業分析チーム
米田好宏様:モンスト事業本部 マーチャンダイジング部 商品企画グループ
※以下敬称略


瀧本:ミクシィのエンタ―テインメント事業ブランド「XFLAG」では、ゲーム「モンスターストライク(モンスト)」の企画・運営、eスポーツ等のリアルイベントの展開、また関連のモンストIPを活用した商品を売る事業を展開しています。私はゲーム外での事業ドメインのリサーチやデータ分析のグループに所属し、様々な部署で活用されるデータを作ったり、分析したりする業務を担当しています。

最近では「モンスト」キャラクター関連の商品をXFLAG STOREで購入するお客様の傾向を把握する調査をABEJAに委託して実施しました。

新しいデータを集め、お客様像を鮮明に

瀧本: 商品の開発には、お客様が求める商品の傾向を的確に把握することが不可欠です。ただ、商品購入サイトの購買データだけで傾向はつかみきれませんでした。

ぼんやりとですが、スマホケースやバッグなど、なにか特定の商品が欲しくて買っているようではないとは感じていました。

通常のサイトだと、お客様は「家電名」で検索したり家電のカテゴリから選んだりして購買に至ります。自社のECサイトも同様に、アイテム別のカテゴリで分けていましたが、購入されるお客様は、もっと主観的な「かわいい」や「家に置きたい」という気持ちで商品を探しているようでした。

その価値観に沿ってカテゴリを変えたほうが、「欲しい」と思う商品にスムーズにたどり着ける。ただ、従来のデータだけではお客様がどんな思いで探しているかまでは見えてこない。

そこで、新たなデータづくりのための調査ができないか、ABEJAの担当者に相談しました。以前から弊社が展開しているXFLAG STORE(実店舗)で店舗分析サービスを使っていたので、アノテーションも手がけていることは知っていました。

調査に入る前、社内のワークショップを開きました。モンスト好きの弊社社員を20人ほど集め、「ファンの目線」で商品への感想を尋ね、お客様がどんな思いで商品を購入するのかを大まかに把握するためです。モニター画面に100-150アイテムの商品を映し出し、「この商品はどう思うか」と感想を付箋に自由に書き込んでもらい、500枚近く集まりました。

付箋の分類から、おおよその傾向が見えてきました。この傾向を仮説に据え、ABEJAの担当者と、本調査をどう設計していくか議論していきました。

150件ほどの購入実績を年代や性別、プレイする頻度などで10件ずつ分類し、それぞれにTシャツやキーホルダー、バッグなど雑貨、文房具など、160アイテムの商品に対する印象を尋ねていく調査をしました。調査は2019年7月に発注し、8月には納品いただきました。

データは質が重要!だから専門性の高い会社に頼んだ。

瀧本:調査にあたり、委託先をどこにするか、かなり悩みました。

調査会社に頼むことも考えましたが、今回の調査は回答者の主観がかなり入ったデータを小さな誤差で出すのが目的です。データの取り方がまずいと、意味のないデータが集まってしまう恐れもありました。

ABEJAは、機械学習や深層学習の技術を使った事業を展開し、そのために必要な教師データを作るアノテーションも事業として手掛けています。

大量のデータを単に集めるだけではなく、どんな方法なら、きちんと利活用できる「意味のあるデータ」を集められるのか、そのノウハウを持っていると思っていました。

その点、調査を設計する過程で、ABEJAのリサーチャーから「この質問の聞き方では曖昧だ」「似ている質問になっている」「この質問では、あぶれる仮説が出てきてしまう」といった的確な指摘をいただき、本当に助かりました。

驚くほどきれいに浮かび上がった傾向

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瀧本: 調査結果からは、商品ごとに「可愛い寄り」「かっこいい寄り」、「実用的」「実用的でない」などとラベル付けされたデータが出てきました。

回答者の「好き」「嫌い」の主観的データや購買データなどをもとに、近いラベリングをされた商品ごとに分類したところ、5つのグループに分類されました。

(分類されたグループの一部)
① 幅広いキャラクターに愛着を持つグループ
② かわいらしくデザインされたアイテムを好むグループ
③ 立体造形物などフィギュアやジオラマ的な要素を好むグループ
④ 実用性の高いアイテムを好むグループ
⑤ 集めやすくモンストらしいアイテムを好むグループ

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宮野:「幅広いキャラクターに愛着」は元々想定していましたが、意外だったのは、「幅広いキャラクターに愛着」と「立体造形物などフィギュアやジオラマ的な要素を好む」が分かれたことです。これまでは同じグループだと思っていました。フィギュアは買うお客様は買うし、買わないお客様は絶対買わない。それほどはっきりした商品だったことが調査で明らかになりました。

この調査の前にも、キャラクターを押し出した商品が好きなお客様と、押し出さない商品が好きなお客様と、少なくとも2つには分かれるだろうという認識はありましたが、いざやってみると5分割になり認識を新たにしました。

米田:僕はいくつかのグループの存在をある程度予測していましたが、はっきりと可視化されたことで商品企画の参考になると思いました。

瀧本: 分類で見えたお客様像は、これまでもぼんやりとは認識されていました。ただこれらの要素をすべて兼ね備えたお客様を、お客様像にしていました。調査で得たデータをもとに適切に分類してお客様像として可視化・共有し、それぞれのお客様像に基づいて議論できるようになったのは大きな成果です。


新たに見えてきた「主観」の難しさ

宮野: 想定していなかったことも見えてきました。本来「男性的でかっこいいアイテムを」と思って作った商品が、実際は「かわいらしくデザインされたアイテムを好む」グループに人気だったりする。たしかに「かわいい」には様々な文脈がある。このように検証と学習をしながら、あらゆる角度からお客様が求める商品を考えていきます。もちろんヒットすることもあるし、外れることもある。

米田:もう少し細かくグループ分けできると、よりデザインや企画の参考になるのかもしれません。ただ、5つのグループを可視化できただけでも(調査した価値は)大きかったと思います。5つのグループを参考にしつつ、他にもSNSや検索ワードの動き、店舗でお客様からいただいたお声も参考にしながら、デザインや企画を進めています。

広がる打ち手、深まる理解

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米田:今回の調査で可視化された5つのグループのお客様像は、ECの販路に向けた商品開発に活用できると思っています。

ただ、EC以外にも、期間限定のポップアップストアや、直営店を複数店舗運営しております。店舗に直接足を運んでくださるお客様の価値観は今回の5つのグループのお客様像とは異なると思っています。
それぞれのお客様像をどう特定し、どんな商品を開発するかが次の課題だと思っています。

宮野: ECチームでは5つのお客様像をもとに販売アイテムのバランスがとりやすくなりました。

商品企画の担当者に「この月はこのグループのお客様向け商品が多いので、別のグループ向けの商品を増やしませんか?」などのコミュニケーションを取り合っています。

今後は購買履歴などを元にお客様をグループに分類し、そのお客様にとっての「おすすめ商品」をページ内でレコメンドしていくことも考えています。お客様像が明らかになると、いろいろな打ち手が考えられることを実感しています。

写真:川しまゆうこ


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