見出し画像

プロダクト開発は、失敗からいかに学ぶかだ。

ABEJAのインフラエンジニア、村主壮悟さん。2020年秋から全社レベルのリモート態勢を採っているABEJAで「リモート社員」の草分け的存在です。

入社以来あしかけ5年近く、ビジネス向け機械学習の開発プラットフォーム「ABEJA Platform」にたずさわってきました。

「先行例がないなかでの開発は模索続きでした。プロダクトの開発って、そもそも、うまくいくことなんてほとんどない。だから、うまくいかない中でいかに学ぶかだと思うんですよね」

村主さんの語る「失敗」の価値。失敗は「避けるもの」という先入観を、いい意味でひっくり返してくれます。

村主 壮悟:2017年3月、ABEJA入社。ディープラーニングプラットフォームであるABEJA PlatformをAWS上で構築するために参画。入社当初よりリモート勤務。AWS Summit Tokyo 2017,JAWS Festaへの登壇,AWS Well-Architectedに準拠しAWS Machine Learningコンピテンシーの取得などを行う。JAWS-UG京都支部メンバー。前職時代、AWSのクラウドインテグレーターとして大規模から小規模までの案件のコンサル・構築・運用に従事。在籍中にAWSのアソシエイトレベル、プロフェッショナルレベルの資格を5つ取得。子どもが参加する少年野球の応援やキャンプに精を出す。

【村主さんの入社のいきさつが分かる記事】
中卒トラック運転手がAWSプロフェッショナルを経てABEJAにJoinした理由 

「右に行くのか、左に行くのか」の手探り

村主さんは2017年9月にプレリリースされたABEJA Platformの開発に長く携わってきました。どこも出していないプロダクトを、手探りで開発してきた経験があります。

村主:入社以来、いくつもの部署や事業を経験してきましたが、ABEJA Platform(※)の開発にはずっとかかわってきました。2018年の後半まで1年半ほど、プロダクトオーナー(製品開発の方向性を決める舵取り役)もやりました。

※複雑な手順と高度な専門知識が必要だった、それまでの機械学習の開発・運用を、プラットフォーム上で一貫してすすめられるようにしたサービス。2017年9月にβ版リリース。2018年2月に正式版リリース。

AIモデルの商用開発基盤を国内で提供したのは、ABEJA Platformが先駆けだったと記憶しています。先行サービスがなかっただけに、このサービスが本当にニーズがあるのか、どの程度の市場がありそうなのか、正直、僕自身も確信が持てないまま模索を続けていました。だから、2017年12月にAmazon Web Service(AWS)の「Amazon SageMaker」がリリースされて、「市場があるからAWSも参入してきたんだな」と、ようやく手ごたえを感じられるようになりました。

「AI」「機械学習」がバズワードになって、市場は急速に大きくなっている。とはいえ、まだ成熟しているとはいえません。そんな環境ならではの、難しさがあるんです。

市場がある程度成熟していれば、先行製品を検証して隙間(ニッチ)を見つけ、足がかりを作る方法があるでしょう。でも先行例がないと、機能から開発環境まで、それぞれの選択に「前例」や「正解」がありません。だから「右に行くのか、左に行くのか」で、開発現場の意見も分かれがちですし、これでいいのか気持ちも揺れます。判断と迷いの繰り返しです。

「右に行こう」と判断し、労力と時間をかけて進めても、半年後、1年後には大幅に方向転換しなければならないことだってありました。その間にかけた労力も無駄になることだってあるわけです。

「失敗」から何を学ぶか

プロダクトの開発って、そもそもうまくいくことなんてほとんどないんです。10打席のうち1~2打席当たればいいくらい。この感覚、プロダクトづくりにかかわる人なら、当たり前に持っていると思います。

発明王トマス・エジソンの言葉に「私は失敗したことがない。ただ、うまく行かない方法を1万通り見つけただけだ」というのがあるんですが、自分の失敗への向き合い方に似ているなと思ってます。

大事なのは、いかに学ぶかだと思うんですよね。あの時、どうすればうまくいっただろうと考えて、そこからどう巻き返すか。だから「失敗」からの学びって本当に大きいんです。

そうやって失敗と手探りを続けながら、少しずつ前に進めてきたものもあります。

ABEJA Platformの開発のなかで、どこかの時点から、機械学習(ML)だけで、顧客の課題を解決しようとしても、それだけではできることの幅が広がらないんじゃないか、と気づいたんですね。

MLという手段だけで課題解決を目指そうとすると、精度を高めることが中心になります。もちろん精度は高いに越したことはありません。でも、95%を99%に近づけるために相当な時間がかかってしまうんです。どんな仕事にも言えることですが、完成度を50%から60%に上げるのと、90%から100%近くまで高めるのとでは、かかる時間がだいぶ異なりますよね。

一方で、業務システムにMLを適用する場合に、MLの精度向上だけではなく業務システム自体のUI/UXや業務フローを改善するだけでも、顧客課題の解決に高い効果が出たという話も少なくありません。そこにジレンマを感じていました。Platformの機能をMLに限定せず、工夫してもっとスコープを広げれば、もっと幅広い課題の解決につながるだろうし、市場も広がるんじゃないか、と。

だからABEJA Platformは、「ML」よりも包括的な「データ」という概念をコンセプトの基軸に据え、AIモデルの開発基盤だけでなく、ビッグデータ分析など顧客課題の解決に役立ちそうな機能も備えています。

最近は、AIソリューション事業(※)においてPoCやシステム開発を行う際、AIモデルの開発基盤を持たない顧客などに対してABEJA Platformを提供するケースも増えてきています。ABEJA Platformを活用することで、データの設計やデータ基盤の構築が効率よく回せるようになり、スピードおよび質の面で以前よりも高い価値を提供できるようになりましたし、顧客のニーズにもさらに応えられるようになったのでは、と思っております。

※DXに取り組む顧客企業の、業務・製造プロセスのAI化や、事業・ビジネスモデルの変革を、パートナーとして伴走する事業。

変化を続けることで生まれる安定感

プロダクト開発だけでなく、ABEJAで5年近く働き続ける中で、得てきたことがたくさんあります。スタートアップならではの紆余曲折やつらみや課題にたくさん遭遇してきました。でも、そのたびに「解決法は?」と探して手を動かしてきました。その経験自体が学びとなり、いつか活きると思ってましたから。

そうやってジタバタしなくても、本を読めば似たような知識を得られるかもしれない。でも、実際に体験するのとしないのとでは10倍ぐらいの差があると思います。

変化のない状態を「安定」ととらえる人がいますが、僕はむしろその状態を「停滞」と思ってしまうたちです。

「安定したいから、大きい会社に入る」という考えが、実はよく分からなくて。

僕だったら、自分を安定させるために、しんどいところにわざと身を置きます。変化する状況にあえて身をさらし続けることで、自分の市場価値が高まって、結果的に安定につながっているんじゃないか、と。

だから、ABEJAで重ねた「失敗」から、学んで成長し、結果的に安定していると思ってるんですよね。どんな状況でも倒れないぞ、みたいな安定感ですけど。

ABEJAの素顔を伝えていきます

技術を使って発想をかたちにする。言うのはたやすいですが、「技術」と「発想」の間にある深い谷のせいで、実現できていないことが、まだまだたくさんあります。

ABEJAには、その谷を軽々と行き来できる、自由な発想を持つメンバーが沢山います。呼吸をするように、ごく自然に「欲しい」を「創る」につなぐのです。

「ビジネス」と「テクノロジー」の間の深い谷も、この姿勢でためらいなく行き来します。この技術をどう使えば世界をゆたかにできるだろうか。顧客の事業課題を技術で克服できないだろうか。そんなことを考えながら日々手を動かしているのです。

いままでの「当たり前」を問い直し、時には正解のない未踏の領域で模索し続けることもあります。苦労も多いですが、それがいいんだ、と迷わず言える人たちが集まっています。

メンバーのそんな魅力をもっと伝えたい。ABEJAのnote「テクプレたちの日常」では、オンラインセミナー「ABEJA Tech LT」や登壇者のインタビューなどを掲載していきます。

文:錦光山 雅子

ABEJAの素顔をお伝えするシリーズ、過去の関連記事はこちら

ABEJAでは、ABEJA Platformの開発をリードするエンジニアを募集しています。

エンジニア以外の職種も含め、テクノロジーで世の中を変えることを目指す、テクノプレナーな仲間を募集しています!

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!