見出し画像

「バラバラなデザインをどうにかしたい、どうすればいいですか?」

デザインの依頼を相談されたときに多いのがこの悩み。
自分達の商品のデザインがバラバラでなんとかしたい。なぜこうなってしまったのか、なにから手を付ければいいのかわからない。

たくさんある商品のパッケージのデザインがどれも違っていてスタッフでも間違える、商品、包装紙、紙袋、広告、ウエブサイトどれも色や雰囲気がまちまちでまとまりがない、お客さんが同じところの商品だとわかってくれない、などなど。

なぜこういうことが起きるのでしょう?

商品のパッケージのデザインがバラバラになる原因として、作る時期が違ったり、思いつきでコンセプトを商品ごとに変えてしまったり、その時の都合でデザインを依頼する先を変えてしまうことがあります。

一昨年つくったジャムのラベルはデザインをサービスでやってくれるというからA印刷会社に。昨年のチーズのシリーズはパンフレットを作ってくれていたBデザイン事務所がちょうど来ていたのでついでに依頼。急遽持ち上がったピクルスのデザインリニューアルは知り合い紹介のフリーランスのデザイナーさんに依頼・・・。

そんな経験、ありませんか。

なぜデザインの統一が必要なのか

ひとつの商品を買ったお客さんがとてもこのジャムはおいしかった!こんなおいしい商品をつくるところだからもっと他のものもおいしいかも、と探してみてもどれが同じところでつくられているのかよくわからない。これではせっかくのチャンスが台無しです。

1品、2品の商品ではなくラインナップがそろった商品群をもっている。それを並べることで売り場での存在感や注目度をあげることができ、お客さんも手にとりやすくなる。販売店側としてもアピール力のある商品をお店に置きたい。ただそう思っていても肝心の商品達がそう見えないと効果はありません。

そういった個々の商品ではなく、それを作っている生産者が記憶に蓄積してゆくことが大事なのです。そのイメージが積み重なるうちに、ああこのマークがついてるから、このデザインだから、同じ生産者ならきっといいものにちがいない、きっと大丈夫。お金を払う価値があるはず。そういう信頼感の連鎖、これが大事です。

これがいわゆる「ブランド価値」となっていきます。

ではどうしたらいいの?

実際の事例を見て下さい。ビフォーがリニューアル前の状態。アフターがデザインを統一した結果です。

BEFORE

画像1

AFTER

画像2

これは北海道池田町の牧場、ハッピネスデーリィ嶋木牧場さんの例です。牛乳、アイスクリームやチーズ、お菓子などいろいろなものを手作りして百貨店の北海道物産展などで販売しています。相談をうけた当時はビフォーの状態。催事の冷蔵ケースのなかのどこまでが自社の商品なのかスタッフでもすぐに見分けがつかないような状態でした

それを1年以上かけ、ひとつひとつパッケージをリニューアルしていったのがアフターの結果です。商品全体に統一感が出て全体での魅力がアップしています。売り場でのわかりやすさやアピール、そして売上もぐっと上がりました。

展示会に行くとバイヤー、それも女性の方が熱心な反応をくれるようになったと思います。
牧場の生ソフトクリームはふるさと納税の返礼品で売上額5億円を突破する大ヒット商品となりました


ハッピネス・デーリィ嶋木牧場 嶋木正一さん

もうひとつ見てみましょう

BEFORE

画像3

AFTER

画像4

こちらはブライダルに特化したお菓子メーカーの事例です。新しい商品が企画され追加されるごとにテイストの違った商品ができてしまい、結果すべてを並べてみるとまとまりに欠け、ブランドとしての力を発揮できないでいました。

アフターではパッケージのデザインリニューアルすることから始まったプロジェクトはブランドデザインへの考え方を再定義し、シンボルマークをわかりやすく効果的に使い、デザインテーマやカラーを統一することによってブランドイメージがわかりやすく伝わりやすくなりました。

結果、リニューアル後には結婚式に採用される成約率は200%にもアップ。いままで門前払いだった一流ホテルからも声がかかるようになり営業の方のモチベーションの向上にも大きく貢献しました。


必要なことは

まずはデザインは企業戦略であり、きちんと継続的にコントロールしなければならないもの、という意識をしっかりと持つことです。
そのときそのときの場当たり的な対応を繰り返していると、後からどうしてこんな状態になってしまったのだろう、ということになりかねません。
大事なことはぶれないデザインやブランドづくりへの姿勢を確立することといえます。

●信頼できるデザインの依頼先見つける
じっくりと継続的にブランドづくりまで考えてデザインをしてくれるパートナーを選ぶことが大事。
●デザインの元となるシンボルマークを
ぶれないデザインを展開するためにはすべての出発点となるシンボルマークあるいはブランドロゴがしっかりできていないといけません。
●長期戦で望む
既存の商品のリニューアル、未来にも継続するイメージづくりのためにはある程度時間をかけた取り組みの覚悟が必要です。
●デザインの決まりを決める
デザインは使い方が大事です。ロゴマークの使い方、ブランドのテーマカラーなど使い方を決めて統一したイメージを伝えるようにしましょう。


せっかく商品が効果的なアピールができないのは損失ですよね。なにより「なんだかうちの商品は見た目がいまいちなんだよな、食べてもらえばわかるのに、バイヤーさんにも外見のことでだめ出しされたし」。心の中にかかえるそんな自信のなさは必ずどこか表情にも現れ伝わってしまいます。

中身は自信をもっておいしい!そして見た目も自信をもっておすすめできる!。そんな前向きな表情こそが商品のストーリーを伝える第一歩となります。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?