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『20週俳句入門』のつぎは『この俳句がスゴい!』がオススメ
今年の6月にバイブルと名高い『新版 20週俳句入門』を読んだ。それから俳句関連の本を読み続けている。ざっと15冊くらい読んだ。そしていま、20週俳句入門の直後に読みたかった本に出会った。
小林恭ニの『この俳句がスゴい!』である。
僕は20週俳句入門の暗誦句を割と頑張って覚えた。暗記アプリも駆使して、出勤途中にぶつぶつ呟きながら覚えた。久々に受験生気分になった。
中には、意味もわからぬまま覚えた句もある。流石に連呼していると自分なりの景はぼんやり出来上がるが、正直、胸を張って鑑賞できる句は少ない。
そこで役立つのが『この俳句がスゴい!』である。
本書では10名の俳人が紹介されているが、うち5名は20週俳句入門に登場する。暗誦句も数句鑑賞されていた。
多分この本を読めば、いくつかの暗誦句は一気に覚えやすくなる。それくらいインパクトが強い。当時の時代背景と、俳人のキャラクターから、句が超立体的に鑑賞されている。
そしてなんと言っても文章がわかりやすい。例えば
虚子は生涯バイエルの曲ばかり弾いていた名ピアニストのようなものです。芸術家として未知なる世界を開拓する責務を放棄して、代わりに俳句という文芸全体を見渡して、結社を整備し、才能を発掘して、世に広める大仕事を見事に成し遂げました。結果論として、彼は使命を果たした一方、芸術家としては、自身の才能に比べて物足りない句業だったと言えます
現在でもときどき、オーソドックスな詩壇とは無関係に、相田みつをのような詩人が登場して、大衆の圧倒的な支持を得ます。彼らの作品と山頭火の俳句には通底するものがある気がします
のような感じだ。あっているかどうはさておき、僕にとっては納得感が高く、イメージが湧きやすかった。
20週俳句入門を暗記しているとき、山口青邨と加藤楸邨がよくごっちゃになったが、もう間違えることはないだろう。あんこうがぶち切られる句のイメージもガラリと変わった。
僕の中で、三鬼は気障男になったし、波郷は陽キャになった。続編の『これが名句だ!』もすぐにポチった。杉田久女や橋本多佳子(の句)がどんなふうに語られるのか、楽しみでしかない。
これまで小説ばかりを読んできた僕にとって、俳句関連のテキストは、読みにくいものが多かった。俳人の方々は、文章を俳句脳で緊密に書く傾向にある気がする。少しずつ慣れてきてはいるが、どうもリズムに乗れないまま、時間をかけて読み終えることが多い。
その点、『この俳句がスゴい!』はリズムが小説に近くて、読みやすかった。短編小説集の要領で、あっという間に読めた。そういう意味でも20週俳句入門の後に読むのにオススメだ。
タイトル通りに俳句のスゴさを、ドラマチックに感じられる一冊でした。小林恭ニ先生、どうもありがとうございました!
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