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トラベルテディ・プロジェクト 〜ぬいぐるみ留学生が世界へ飛ぶ〜 その2:相手を探す

国際交流といっても、小学生の場合は国外に行くこと自体ハードルが高く、会話も英語で行うことが難しい場合がほとんどです。ヒト対ヒトの直接的な交流の前に、お世話がしやすい交換留学がこのプロジェクトです。

トラベルテディ・プロジェクトとは、自分たちの代わりにぬいぐるみを留学生にして国外の学校と交換し、お世話をしながらお互いの生活をレポートしあう、小学生時期にぴったりの国際交流活動です。

小学校でも取り組める可能性

ぬいぐるみが留学しますから、実際の留学に比べて費用がかなり安いです。かかる費用は郵送代(往復)、お土産代くらいです。また、やってくる留学生もぬいぐるみですから、言葉や食事、ホームステイ先の心配もなく、お世話がとても楽です。大人主体ではなく、小学生が自主的に自分の好きなようにお世話をすることができます(これが大事)。

また、留学先は郵便が届く地域ならどこでも行けますから、候補となる国や地域が非常に多いことです。近場のアジアだけで場なくヨーロッパ、北米、アフリカ、南米に留学することだってできちゃいます。

全体の流れは次の通りです。ここでは学校同士での活動を想定しています。
①相手校の決定:プロジェクトの流れを相手の先生と確認する
②準備期間:ぬいぐるみを決めて留学の準備をする
③留学期間:相手校から届いたぬいぐるみをお世話する
④帰国準備:留学生の帰国の準備をする
⑤帰国後:帰国した留学生の情報を共有する 

基本、この5つができればプロジェクトになります。今回は、「①相手校の決定」について詳しく書きます。

相手探し

まずは一緒にプロジェクトをしてくれる相手校を探します。国外に直接知人がいる場合はその方を頼りにしてもいいですし、学校に直接問い合わせてもいいかと思います。交流したい国や地域が既に決まっている場合は、その国の大使館や観光局に問い合わせたり、地域で姉妹校がある場合は市役所の国際交流課に問い合わせてもいいと思います。

要は、待っていても相手は見つかりません。自分で相手を探すことが必要です。最初は少し大変ですが、コツが分かれば意外とすぐに見つけられるようになります。先生にとっても「相手探し」は経験が必要だと感じています。世界の先生たちは自分で動いて相手を見つけています。

このぬいぐるみ交換留学プロジェクトを世界的にサポートしている団体(iEARN)があります。ここでは相手探しができるフォーラムがあります。詳しくは前回の記事で書いていますのでご覧ください。

相手の先生は英語圏だけとは限りません。その場合、お互いにわかる言葉=英語でのやりとりがメインになります。今は機械翻訳が発達しているので、メールでのやりとりでしたら機械翻訳を使えばほぼ問題ありません。

一度作った英文はコピー&ペーストでどんどん再利用します。相手の先生が書いてきた文で良い言い回しがあったら、それもどんどん利用します。例文が溜まってくるとどんどん楽になります。

相手の先生だって頑張って慣れない英語を使っていることもよくあります。ちょっと英語は違うけど、言いたいことがわかる場面もよくあります。住む国や地域は違うけれど、私も相手も同じ学校の先生なんです。「子どもたちのために」という共通意識が、お互いの言語の壁を越えます。お互いに「伝えたい」「理解したい」という気持ちが一番大切だと思います。

プロジェクト期間を決める

まずは、いつからスタートし、いつまでに帰国させるかを必ず確認します。これは、新年度のスタートが世界中で違うため、お互いの学年度を越えないように調整する必要があるからです。お互いに学年をまたいでの交流はなかなか難しい面もあり、できれば同じ年度内に終わらせる必要があります。

世界中で学校がいつスタートするか異なります。たとえば日本は4月スタートですが韓国は3月、オーストラリアは1〜2月、インドネシアは6〜7月、アメリカやヨーロッパは8〜9月、アジア圏でも9月スタートと、本当に国や地域によって様々です。

日本の3月終了は世界でも珍しいと思います。ですから、こちらは3月に学校が終わること、2月中には帰国させたいことを何度も伝えます。おすすめは10〜12月、お互いに忙しい時期をずらすことができます。送る前、帰国後も余裕があるので、この時期でできないか、まず打診するといいと思います。

学年・クラス・人数の確認

お互いに交流に参加する子どもたちの情報を確認します。何年生なのか、クラスの数、一クラスに何人の子どもがいるのか、事前に情報を交換します。今までの経験から、学年の差はあまり問題になりません。お互いに年上だった方が情報や書き方を考慮すれば大丈夫です。それよりも人数の差が大きい方が後々問題になってきます。

海外では担任の先生が単独で活動するケースも多いため、もしこちらが学年団で動くとなると人数の不均衡が発生します。基本、送るぬいぐるみ留学生は1〜2体ですが、クラスが多い場合にはぬいぐるみをいくつ用意するか、いくつまでお世話が可能かを確認します。

また、ぬいぐるみ留学生以外に子どもたちの自己紹介カードや文通を希望する場合、お互いの子どもたちの人数に差があると大変です。例えば自己紹介カードをお互いに送り合うという活動を計画したとします。こちらは2クラス60人の学年団で参加し、相手が1クラス25人だった場合、こちらは一人1枚書けば済みますが、相手校は一人2枚以上書かないとカードの数が釣り合いません。

こちらの子どもたちの中にカードをもらえる子、もらえない子が出てきます。その場合は、あらかじめ相手の先生にこちらの子どもの人数を伝え、一人1枚ずつ欲しいので簡単でもいいからカードを人数分準備してもらえないかお願いしておくと、どの学校の先生も準備してくれます。

また、ぬいぐるみは基本1クラスで1体です。あまりぬいぐるみの数が多いと、それはそれで先生も大変です。こちらの事情だけではなく相手の先生の事情も考慮して、時にはこちら側が学年団で1つ送る、ということもよくあります。

送り先と送り方の確認

お互いに時間を無駄にしないために、航空便で送ることを確認します。実は、一番最初の英国の先生とプロジェクトを行った時、相手の先生が間違えて船便を選択してしまい、到着までに3ヶ月かかりました。これでは予定していたプロジェクト期間が終わってしまいます。

また、ぬいぐるみに対するリスペクトを忘れないこともとても大切です。このぬいぐるみ留学生を送り出した子どもたちがいます。「今、何をしてるかなぁ」と帰りを楽しみにしている子どもたちがいます。汚れたから、壊れたから、なくなってしまったから新しいものに変えよう、ということはできません

そのため、お互いに必ず無事に届けることが何よりも大切です。郵送する際もできるだけトラッキング番号がついたシステムで、今どこにいるのかわかるようにして送り合うことを確認します。配送時のトラブルを回避するために、EMSや宅配業者の国際サービスがおすすめです。

EMSについては、2021年1月1日から手書きのラベルでの発送が難しくなりました。事前にインターネットでラベルを作成し印刷したものでないと取り扱ってくれない窓口が増えています。詳しくはこちらを確認してください。

以上、最低限この3つを事前に確認しておくといいと思います。あと余裕があったらプロジェクトのテーマ(交換する情報を「食べ物」「動物」「衣服」などテーマ限定で行う)とか、情報や連絡のやりとり(どのくらいの頻度で、どの媒体を使って)、お土産やカード交換をするかどうか、なども決めておく準備に余裕ができます。

次はぬいぐるみ留学生の準備編について書きます。

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