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『古くて素敵なクラシック・レコードたち』 私的Youtubeリンク 21-40


21) ベートーヴェン ピアノ三重奏曲第7番「大公」変ロ長調 作品97

・もちろんみんなとびっきりうまい
・とりわけルービンシュタインの歯切れの良い自由自在な演奏に惹かれる
・自己顕示欲の強そうな人だが、室内楽ではそれが引っ込む
・実に練れたクレバーな演奏を繰り広げる

22) ドビュッシー 前奏曲集 第1巻

・高校二年生のときに安川加寿子演奏のドビュッシー「版画」を聴いた
・その音がまだ耳に残っている
・このレコードでも、それと同じ音が鳴っている
・懐かしい。まさにドビュッシーの音

※24曲中1曲しか見つけられなかった

23) べートーヴェン 七重奏曲 変ホ長調 作品20  

・ロンドン盤はより引き締まった音色
・若き日のベートーヴェンの「青雲の志」を聴くものに感じさせる

24) バルトーク 弦楽四重奏曲第4番 

・しょっちゅうはレコードをターンテーブルに載せない
・聴き通すにはそれなりの気力が必要とされる
・でも人生には「バルトークの弦楽四重奏曲を聴きたい」時がたまにある
・このカルテットはどこまでも緻密でプラグマティック
・四人の呼吸の合わせ方に一瞬の乱れもない。まるで精密機械
・しかしそれでいてパッションの温度に不足はない

25) チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35 

・不思議に気に入っているのが、ユージン・フォドアの演奏
・美しい音色と確かなテクニック、迷いのない溌剌とした弾きっぷり
・ラインスドルフの演奏も気合いが入っている。録音もシャープ
・このレコードを褒める人は見かけないけど、ちょくちょく聴いている

26) ロッシーニ 歌劇「泥棒かささぎ」 序曲 

・やはりイタリア人で、オペラの指揮を得意とするアバド
・ガルデッリほど顕著ではないにせよ、歌劇場を思わせる確かな響きがある

※本当は「そのへんのおっさんと一緒にオペラ観劇をしているようなハッピーな気持ちになる」ガルデッリ盤を聴いてみたかったが見つからなかった

27上) ラヴェル 弦楽四重奏曲 ヘ長調 

いかにもこの時代のジュリアードの音
・その緻密さ、音楽の完成度の高さは尋常ではない
・しかし今、こういう音楽のあり方は少し厳しすぎるかも

※と述べられているのは62年盤の演奏だが59年盤しか見つからなかった

27下) ラヴェル 弦楽四重奏曲 ヘ長調 

・ジュリアードSQの研ぎ澄ました演奏の対極はこのイタリアSQあたり
・四人揃ってとても愉しそうに生き生きと演奏している。それがなにより
・聴いていて、心地よく愉しくなってくる

28) プーランク 「グローリア」

・プレートル盤はいろんな意味で、自然なバランスがとれている
・プーランクというのは、いろんな人格と傾向を併せ持った、ややこしい人
・「癒しの均衡」みたいなものがおそらく必要
・プレートルはその辺の按配を心得ているようだ

29) ブラームス 交響曲 第3番 へ長調 作品90

・ケルテスの「ブラ3」(一九七三年録音)は実に素晴らしい演奏
・何度聴いてもほとんど欠点が見当たらない
・ウィーン・フィルの音が実に気持ち良さそうに鳴っている

30上) ブラームス ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77 

・オイストラフは何度もこの曲を吹き込んでいる
・「これ以上いったい何をやるんだろう?」と疑問になるくらいすごい
・クレンペラー盤はオーケストラの微妙な揺れを楽しんでいるみたい
・そのあたりの違いを味わうのも一興かも

30下) ブラームス ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77

・第一楽章のカデンツァは名人芸。思わず「ほおっ」とため息が出る
・ミルシテインは「ここぞ」という時に、一歩踏み込む男気がある
・男気がうまく作用することもあれば、しないこともある

※バイオリン演奏者、指揮者、楽団は同じだが録音は3年後の1960年

31) ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 ハ単調 作品67

・トスカニーニ。一九三八年録音のSP盤の復刻だけど、この演奏はすごい
・ダダダダーンからして、横っ面を思い切り張られている迫力
・音はさすがに貧弱だけど、演奏がむき出しにされた楽器群
・喧嘩腰の最終楽章。初めて聴いた当時の人々はきっとひっくり返ったろう

※指揮者、楽団は同じだが録音は1年後の1939年

32) ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」ハ単調 作品68

・聴いているだけで「癒される」という感覚がある
・「田園」みたいな人気曲は、どうしてもスター指揮者のものから売れる
・クレツキのような地味な人は長くカタログに残してもらえない
・でもこういう音楽を聴いていると、とてもホッとした気持ちになれる
・まるで鄙びた温泉に浸かっているみたい

※指揮者、楽団は同じだが同一録音かは不明

33) バルトーク「中国の不思議な役人」 作品19

・ブダペスト響の演奏は充実しており、説得力がある
・大戦間ヨーロッパの不穏な空気を反映したような寓話を見事にトレース
・特に先鋭的な演奏ではないが、精神の闇が樹液のように滲み出てくる

34) ヘンデル「水上の音楽」

・悠揚迫らざる、堂々としたたじろぐことのない平常心の「水上の音楽」
・さすがに「サー」の称号を持つ指揮者
・午後の日当たりの良いサロンで、紅茶でも飲みながらのんびり聴きたい

35) マーラー 交響曲第1番 ニ長調

・この時代「マーラーはこう演奏される」というコンセンサスが未発達
・現代のリスナーの耳には「あれれ?」と不思議が箇所が散見される
・でも、どの音盤にも演奏者たちの熱意と愛情はしっかり感じられる
・そういったピュアな心情は、昨今のマーラー演奏には見出しにくいかも

36) ストラヴィンスキー 「火の鳥」組曲

・ストコフスキーの奏でる音には独特の色づけみたいなものがある
・この人の場合、時として楽譜の勝手な改変が問題にされる
・それはさて置くと、艶やかで色っぽい音を気持ちよく楽しめる
・正確を期した音色とは、まさに対極に位置する「火の鳥」

37上) シューマン 「謝肉祭」 作品9

・コルトーはまるで話のうまい叔父さんの昔話を、冬の炉端で聞くみたい
・抵抗もなくするするとその世界に引きずり込まれる
・現代のピアニストたちの強靭なテクニックに比べると、いくぶん「緩い」
・その「ゆるさ」の中にこそ演奏者の心根がこもっている
・こういう温かな心持ちを今の時代に再現するのは、簡単ではないだろう

※下は本書で取り上げられている盤の25年後の録音

37下) シューマン 「謝肉祭」 作品9

・ヤン・パネンカの10インチ盤の演奏は、目が覚めるくらい見事
・知に走らず、情に溺れず……音楽がすくっと立ち上がっている
・何度聴いても聞き飽きない

※同一演奏者だが、同一録音かは不明

38) ラフマニノフ ピアノ協奏曲第4番 ト短調 作品40

・「これは名曲だ!」と思うところまでは行かない
・「これは名演だ!」と思わず叫びたくなる
・研ぎすまされたピアニズムの極致、音がひとつひとつ結晶化していくよう
・「快演」と「怪演」が表裏一体
・そんなことができてしまうのは、ちょっとすごいかも

39) ヴィヴァルディ ヴィオラ・ダモーレのための協奏曲集他

・一九六〇年代のバイヤールらしく、明るくふくよかに演奏されている
・バイヤールのバロック音楽は、カール・リヒターなどの演奏様式とは対極
・今聴くと「懐かしいなあ」という気がする

40上) ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ単調 作品131

・ハリウッドSQのレコードを、ブダペストSQの後で聴くと、ホッとする
・気心のしれた仲間が集まって、ベートーヴェンを演奏する喜びを感じる
・そういう心愉しいベートーヴェンがあってもいいだろう

※同じハリウッドSQだが、同一録音かは不明

40下) ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ単調 作品131

・アマデウスSQの演奏する作品131はまさに「王道」を行く
・ブダペストSQの演奏もまた王道を行くものだが、複数の王道があっていい
・アマデウスSQの演奏は聴いていて、安らかな気持ちになれる
・この美しさは尋常ではない
・ブダペストが「求道」なら、こちらは「救済」だ





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