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噺家殺人事件パート3【ショートショート】


 出番を終えて寄席の外に出てきた人気の千夜法家ちやほや もて吉。そこへ群がる出待ちのファン達。照れながら順番に何かを受け取ったりサインを書いたりしている。

 それを電信柱の影から見ていた人物がいる。師匠に荷物を届けに来ただけの臼井亭うすいてい かげ太だった。

 秋の月が流れる薄雲に隠れて、カラスかぁで夜が明ける。

 翌日。同じ寄席の出番前に楽屋入りした船越亭ふなこしてい さすのもとへ訃報が飛び込んできた。臼井亭うすいてい かげ太が焼死したというのだ。

 さすが前座枝照家してるや 全文ぜんぶに話を聞いた。それで全てが飲み込めた。

ーーー 波が大きな音を立てて岩にぶつかって弾けるのを見下す崖の上。

 船越亭ふなこしてい さすが千夜法家ちやほや もて吉を呼び出していた。

さす兄さん、早く用事を済ませてください。アタシは寄席や脇の仕事で大忙しなんですよ」

「かげ太の事は聞いたな」

「残念だと思ってますよ。それがいったいアタシとどう関係してるんです?」そう云って腕時計を見やるもて吉。

「大ありよ。おめえ、かげ太のタレおんなと寝ただろ」

「何をばかな! 兄さん、いくらアタシでもそんな仲間のタレに手を出すほど不自由しちゃいませんよ」

「まぁ、そんなこったろうとは思ったがよ。かげ太は、常々芸で同期のおめえに勝てねえ事を気にしていたんだ。そこへきて、唯一支えだった自分のタレも盗られたとあっちゃあ気がおかしくもならあ。俺が思うに、結局、アイツは己の嫉妬の炎に焼かれて死んだってことよ」

決まった! という表情の さす。

そこへタイミングよく現れた聖母乃家せいぼのや 子守歌ららばい

思わずサムズアップしそうになる さす。

ここはパート1の時とは違う崖だよというジェスチャーをする 子守歌ららばい

哀し気な顔で時計をみる もて吉。


ーーー ドローンカメラが崖にいる三人から徐々に遠ざかる。



キャスト

人気で忙しすぎる噺家: 千夜法家ちやほや もて吉

嫉妬に燃える噺家: 臼井亭うすいてい かげ太

 事情通の噺家: 枝照家してるや 全文ぜんぶ

謎を解く噺家: 船越亭ふなこしてい さす

事件解決後に出て来た噺家: 聖母乃家せいぼのや 子守歌ららばい


脚本 ぼんやり亭 らじ男


🐈 🐈 🐈

楽しみにして頂いた方、お待たせしました!

(期待に添えてるかどうかは別ですが💦)

迷い込んで読んでしまった方、どうかお許しを!

最近はバカバカしいショートショートばかり書きたい気分です!

それではまた!

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