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同人活動20周年

【自己紹介】

こんにちは、同人サークル「Art Book Chipika」のツバサです。主に3DCGやイラストを得意として活動を続けています。
私がこうして創作活動に明け暮れる人生を送れるようになれた背景には、両親が航空関係とデザイナー関係であったことが強く影響してます。

幼少時代

幼いころから両親の横で気が付けば風景画を描いたり、積み木やブロック、工作用の方眼紙で造形物など作るなどをして遊んでしました。この様子を静かに夢中になれる環境を与えてくれた親には感謝しかありません。

作った作品は多くはその場で廃棄していたりと、何か作ったら自ら処分していたので今では私の記憶にしかありません。小学生にもなると作った力作については残すということを覚えました。

両親に言わせれば作品の中でも巨大な斜張橋だったそうです。片付けがしやすいように中央で分割できる点で採用していた気がいます。

高校以降の勉学

学生の頃は国語が非常に苦手で教科書の文章が何を言いたいのか、すぐには呑み込めず、これが他の教科にも波及して一般教科の出来が非常に悪かったです。勉強に対してすっかり苦手意識も芽生えてしまいました。
今もこうして執筆などしていますが、どういう事なんでしょうかね。

閑話休題。さて、学業では苦心しながらも高校時代は森林を学び、専門学生では航空分野でそれぞれ知識を蓄えました。
非破壊試験と航空力学や航空機構造は面白かったです。

その中でも高校時代に覚えた測量という分野は、客観的に場所や範囲などをすぐに評価できるという経験が新鮮で、数学が非常にエレガントに溢れて見えました。数学はCGをより本格的に触れる者にとって密接な関係で、こういった学生時代の経験はその後の人生に良い結果をもたらしてくれました。

社会人でも創作し続ける

社会人では航空機製造業を13年間、防衛装備関係を1年間ほど携わり、そして2020年8月より転職し3DCGクリエイターとして新たな人生を踏み出したところです。

航空機製造時代はビジネスジェットの主翼組立てと国産旅客機の生産の立ち上げに参画、当時最新の中型機主翼組立てに関わらせていただきました。
防衛装備関係は救難ヘリコプターや対潜ヘリコプターなどの機体オーバーホールや武装化などで少々お手伝いをさせて頂きました。

そして今現在は前職の航空関係から退き、これまでずっと趣味として触れてきた3DCGやイラストの技術を買っていただき、今のAR・VRにも力を注いでいる会社にスカウトされるとことなりました。

同人活動20年

これまで読んでの通り、私は機械分野に囲まれてる中で社会を過ごしました。人生のバイブルとなっている同人活動も、2021年12月16日でいよいよ節目の20周年を迎えます。
これまでの同人活動を振り返りたいと思い、このnoteに執筆することを決めました。同人活動について津々浦々と書きましたので、暫くお付き合い頂ければなと思います。

【同人活動昔話】

ここでいう同人活動とは、個人として制作した作品を価値として買っていただくことを目的とした活動になります。私の人生の半分以上はこの同人活動と非常に密接なもので、プライベートの時間さえあれば毎日と言って差し支えないほどに、作品作りに楽しさを覚えながら明け暮れています。

この同人活動を始めたのは2001年12月16日のことで、ただただ「同人誌を作りたい」という目標からスタートしました。この記事を書く20年前の出来事で当時はまだ高校生です。

その高校時代は苦心しながらも勉学に励む私でしたが、クラスで仲の良い友人が1本のノベルゲームを私に紹介してくれたことで、その後の趣味の方向性が大きく決定することとなりました。

同人誌との出会い

当時の私が知る範囲でしか書けませんが、20年前の同人といえばkeyやleefといったノベル系のゲームメーカが盛んだった時代、私もその作品群に触発されて様々なゲーム雑誌やネット上から情報を集めては、アレンジ曲やキャラクターイラストを描いていました。

このノベルゲームとの出会いは、当時の同級生から「飛行機好きだよね? AIRというゲームが面白いからやってみな。ほら、タイトルもAIRだよ。」とそそのかれました。ルンルン気分でパソコンにゲームをインストールし、全CGも回収しました(※CGを回収するというのは、どこまでクリアできたかという進捗率のような感覚です)。
ええ、気が付いたらノベルゲームの虜となっていました。

やがてその友人から同人ショップを紹介され、そこで同人誌という存在を初めて目の当たりにしました。様々なジャンルの本が陳列されている店内には、一人ひとりが手掛けた作品が並ぶ衝撃的な光景でした。

何が衝撃的か、そう「個人で本を作れるのか!」という衝撃です。誘った本人は色々な同人誌を買っていた気がしますが、私は店内を色々と見て回り綺麗なキャラクターイラストが描かれた、そう、確かイラスト集などを数冊買っていたような気がします。

どこから手を付ければ

同人誌を手にし帰宅した私は、この手に入れたばかりのイラスト集を眺め、あーこの表現良いなぁなどと心の中で感想を述べていました。

さて、元々創作が好きな私です。気持ちはすぐに「作ろう」という感情にシフトしていきました。いったいどこから湧き上がった気持ちなのか、単なる当時の若さだったのか、この時はただただ創作意欲にかられました。

そう、創作意欲は良い、意欲だけは。

当時の同人事情は歴史を見れば既に道のりは長く、情報を探ろうと思えば多かったのかもしれません。しかし、そういったコミュニティーもそれを探す術も知識も持ち合わせはおらず、どこから手を付ければ良いのか全くの分からず終いです。

やがて同人情報はパソコン関係の雑誌の中にコラムとして多々載っていたことに気が付きました。雑誌などの書籍で語られるそういう時代でしたので、それらの情報を足掛かりにネットを調べ情報を汲み取っては創意工夫を重ねました。当時は闇雲で作業をしていた部分も多かったです。

イラストを描こう

イラストと言っても風景画は幼少時から描いていましたので、ここではキャラクターイラストになります。

最初はA4のコピー用紙にラフ画を描き、スキャナーを使ってPCに読み込む。当初はペンタブレットも無くマウスでイラストを仕上げていました。
所謂マウス作品は2枚ほど描きました。さすがに指が疲れすぎるので、それ以降はペンタブレットを中古で購入して描くこととなりました。
同人活動最初の目的である本を作るにも、まずはイラストが無ければ始まらないので、こういった下積み作業が長く続きました。

繰り返しになりますがイラストは主にキャラクターイラストがメインですが、そこには背景も含んだ構成を得意としています。
イラストの作風、タッチは得意順から
 1. 厚塗り(筆塗り)
 2. グラデーション(萌え系CG)
 3. 2値風(モノクロ)
 4. セル画風
といった具合で描き分ける理由は、その時の気分や目的に応じて使い分けています。これらを複数の技法を混ぜて描くことも数多く描きました。

イラストメインの活動を約16年続け、その後の3DCGに活動をシフトしていきました。実はイラストの知識というのは、3DCGにも大いに役立つのです、この時は体感としてまだ知る由もありませんでしたが。

3DCG、2DCGと分け隔てなく活動を行っている私が思う事は、モノを捉えたり想像してイラストを描くということは、前提としてある程度の構造を頭の中で理解と解釈をしなくてはいけません。
これは大いに3DCGに於いても重要な要素です。
それはイラストで表現できることは3DCGでも表現できる部分に繋がりますから、バランス感覚や色味といった美術感覚も色濃く作者の風体として反映されていきます。

単なる興味の範囲で3DCGを触れている内は特に気にすることも無いと思いますが、本格的に作りこみたいと考えている方が読んでいましたら、是非ともイラストにも手を伸ばすと機会を得て欲しいなと感じています。何かと色々と出来ることが増えるのはお得です。

発表の場は手作りホームページ

さて、ただ作品を作っているだけでは、ずっと描き溜めてしまいます。
当時はTwitterは勿論のこと、このnoteもまだサービスが始まる前の2001年は、ホームページビルダー2000というソフトを使って試行錯誤で自分のホームページを組み立てていきました。
HTML分らんのデザインなんてそっちのけです。

そう、これが私にとって初めてのHTML然りJAVA Scriptに触れた瞬間でした。だからと言って理解しようとスクリプトに関する解説本などを買う事もなく、一つ一つコードを読んではどう動くのか観察しながらトライ&エラーを繰り返して世の理を理解していきました。
なにやってんでしょうね。

そのころからCGIにも手を伸ばし、ホームページ内で通販や意見の投稿できるWebサービスを拙いながらも開始しました。
今現在、ホームページは閉鎖してしまいましたが、その当時の一部を挿絵として紹介します。

初代ホームページの一部

さて、作品を発表する場も設け徐々にイラストも溜まっていきました。実はこの時には既に大量のイラストがあり100枚を超えていました。そしてその中から同人誌で見せたいイラストを選ぶこととなります。

初めてのオンデマンド印刷

2004年の秋も終わりを感じる佳境の頃、オンデマンド印刷で作る本にいそいそと取り掛かっていました。ネットを調べているとオンデマンド印刷で刷る本は少部数にも対応していたので、学生だった私にも手を伸ばしやすい価格帯でした。

しかし、印刷にはそれなりのルールがあります。つまりはサイズや余白などの仕様です。家庭のプリンターならいざ知らず、業者に頼んでの印刷ですから、色々と新しい事にぶつかる事の連続で四苦八苦した記憶があります。

提出しては差し戻されを繰り返し刷られてきた同人誌がこちら。

2004年12月25日に発表した初の同人誌

A5サイズでこじんまりとした私の自慢のデビュー作品です。
オンデマンド印刷したこの本は30部のみの印刷でしたが、中々に思入れの深い1冊で非常に気に入っています。
タイトルも「エントランス」にした事は、当時はちょっと変かなと思いましたが、今になって思えば非常に感慨深いタイトルになったなと感じます。

この1冊を皮切りに私の同人活動は、今後十数年と続く長い同人活動として本格的に歩みを始めました。

【同人活動の今】

私の場合の同人活動は少し前まではイベント型と言うべきか、即売会会場で自費出版の本やグッズを頒布するため数多く作っていきました。
いまも細々と作ってはいますが、ここ数年は即売会に向けてというよりは、デジタルコンテンツで活用できる作品作りに余念がありません。

それもそのはずで、2019年11月頃よりコロナウイルス(COVID‑19)が世界中で猛威を振るい始め、結果的に大型のイベントは勿論の事、地域や特定のジャンルに限定とした小さなコミュニティーのイベントすら、有効なワクチン接種が行き渡るまで、イベントそのものが禁忌されるようになりました。

それから約2年が過ぎこれを執筆している2021年12月11日現在、世界最大規模の同人誌即売会コミックマーケットが、規模を縮小させながらも数年ぶりの開催が12月の大晦日に実施される予定です。
通常の、とまでは行きませんが徐々に本来に近いイベント開催が、多方面で再開出来ることを期待しています。

さて、近年からデジタルコンテンツは機器の進化により、世界中で多くの人々がVRを含めたxRに触れています。それはスマホを始め、PCゲーム、家庭用ゲーム機、産業分野などで急速に拡大しています。

3DCG

今現在の私の主な同人活動は3DCGです。CGといえば多くの人はVFXで使われるようなプリレンダリングを想像しますが、私の場合はリアルタイムレンダリングで扱うようなモデリングを多く作っています。

この2つが持つ利用目的の違いは緻密な描写を必要としているか否かの違いで、具体的にはリアルレンダーの場合は光などを細かく計算して現実的な映像作品として再現できます。しかし、デメリットとして映像を出力する処理ためには、計算するフレーム数やサイズにより大きく前後しますが、半日から数日、何週間も処理を必要とする場合があります。
仕上がりが気に入らなく変更があった場合は、そりゃあもう最初からで再び待ち時間で大変…。

一方のプリレンダラーは主にゲーム、シミュレーター、xRの分野などで使われる方法です。これは今起きている状況に対して素早く応答することが求められるため、レンダリングも高速で処理が出来るように事前に光の当たり具合を計算しておきます。デメリットとして、リアルレンダーと比べて動きのあるモデルの頂点数を抑えたりするなどをして、簡略化して作る必要があり質感は落ちます。

私が作る3DCGはこの後者のプリレンダー向けの3DCGで、初めて3DCGを作る機会を得たのは2003年のShade3Dというソフトウェアです。モデリングツールでは広く採用されている作り方によるポリゴンメッシュとは違い、ベジェ曲線を使って形を使って作るのが特徴で、機械や建物など幾何学的な造形を得意としています。

しかし、個人的にShade3Dにおいて有機物の造形が不得意だと感じており、今ではMetasequoia4やBlenderを中心に制作を行っています。Blenderは近年使いやすさも上がり利用者は増えてきていると感じています。

その他にはMayaも触れていますが、このモデリングツールはオールインワン型で中でもVFXなどでの活用が有名かと思います。Arnoldを使ったレンダリング技術も非常に綺麗な仕上がりになるので、魅力的なツールの一つとして将来は満足に使いこなせるようになりたいですね。

モデリングツールには2021年現在、数多くのタイプが登場しています。
3DCGのモデリングツールに触れたことが無い方は、最初に出会うツールによって今後の作風が分かれる場合もありますが、自分が作りたい作品に合ったツールに出会えること良いですね。

さて、これを執筆している前日に PlayStation 5 と Xbox Series X/S で The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience というゲームが利用可能になりました。そこでの映像はまるでフルリアルタイムのようで、これがプリレンダリングとは思えないほどに精巧な描写がそこにはありますので、まだ見ていない人は一度拝見すると色々と刺激され良いです。

Live2Dに触れるも

さて、3DCGからは逸れてしまいますが、2016年3月頃はLive2Dを使ってイラストを動かすというのに憧れていたものです。このソフトウェアは2Dイラストを自在に変形させて表情を付加したり、発声した口を再現、顔を左右上下に振らすなどが可能になります。

Live2Dが登場した当時、新しい技術に惹かれ早速1カットだけですが1作品作ってみました。

動きがぎこちないですね。
これを足掛かりにして自分の顔を読み取ってキャラクターを動かそうと遊んでいましたが、遊んだだけで特に大きなアクションを起こしませんでした。
残念。

VRhatとの出会い

2017年10月頃にMetasequoia4に初めて触れました。
当時は友人が漫画家デビューするに伴って少々のお手伝いをするために導入しましたが、軽快に操作できるこのモデリングツールは直感的に造形できることもあり、今現在も重宝しているぐらい気に入ったツールになりました。

そんな中、2017年11月7日にVRChatを使って配信する猛者が表れました。
そう、ねこますさんです!
当時は3Dキャラクターで配信していること自体が珍しく、猛者といった感想になりましたが、今のゲームでは「こんなことも出来るのかー」などと興味として静観するだけで見ていました。

桜も咲き乱れる2018年4月になるとTwitterでねこますさんの動画がツイートが流れてきました。色々と調べていくとVRChatでは自分で作った3Dモデルをアップロードでき、その空間内で扱えるという事実に気が付きました。
これはもう早速いそいそとアカウントを作成しVRChatデビューを果たすことなりました。

これが今日まで3DCGモデルを中心として続く、長い同人活動の幕開けとなりました。

VRChatでの同人活動

VRChatでは様々なイベント主催者がイベントを催し、VR空間ならではの3Dモデルの展示や楽曲、ライブなどの活動が数多く盛んに行われています。
そこでは私がどのようにしてVRChatを楽しんでいるか、これを詳しく語るにはまたの機会にするとして、メインで取り扱っている3Dモデルを同人屋としてどの様な感じに活動しているか紹介します。

同人活動については先述した通り、作品に価値を付加した売買が行われる活動として重きを置いています。3Dモデルデータでは実物を3Dスキャンすることで、これを3Dサンプル品として落とし込み展示、購入者はその実物が郵送で手元に届くといったこともできます。

※注意:VRChatが直接イベントごとにeコマースをしていることではありません。主催者が別途webサービスなどに誘導して、売買に関わる契約や決済を行います。

当初よりVRChatでの活動は自分の3Dモデルを紹介することで、どの様な反応を得られるかが楽しみにして作品作りをしています。
その他、技術的な観点でUnityで出来ることはどこまで可能なのか、どういった表現が自分で作れるかチャレンジし続けています。

ここでは本当に様々な人々がいます。VRをより楽しい空間へと開発していこうと考え、創意工夫をしている様子がリアルタイムで観察できます。
これは本当にすごい事です。
イベントと言えば当日限りがメインだと思います。そこに変化に気が付くことはありません。しかしコンテンツをスタッフや参加者が同時にビルドしている最中、アクセスする関係者であればその様子を見ることもできます。仕上がりつつあるイベント会場は普通に楽しい。

VRChatで大きなイベントといえばバーチャルマーケット(通称、Vket)であり、その規模については今年のギネスブックにも紹介されました。

ここではVR空間を利用してデジタルコンテンツを展示や販売を行っており、私も出展者として何度か参加しています。

これまで発表した作品の多くは小物の3DCGで、プレイヤーが着て操作できる人型のアバターを数体発表してきました。
ケモミミ好きな私ですが、作る作品についてこういったものに偏る傾向があります。好きな要素を取捨選択しバランスよく作り上げていくというのは、殊更に楽しい事に間違いありません。

自分の展示作品に並ぶ筆者

【これからの同人コンテンツ】

同人活動は先人より続けられ、今後も後世によって進化を遂げ、その大きな舵きりの1つがデジタルコンテンツのVRでしょう。

VRでのサービスはまだまだ聡明期であり、HMDを使って動かすには高度な処理ができるパソコンや周辺機器の準備が必要になるなど、まだまだ費用面ではハードルの高い分野でもあります。

しかしながら、将来の可能性を考えれば同人活動としても楽しいツールになると期待していますので、VR体験がまだ未経験な人がいましたら是非とも各電気店で体験できる場所もあります。そこで一度HMDを装着して頂けるとその可能性がきっと見えてくると思います。

【おわりに】

私にとって同人活動20年、色々な移ろいがありました。
クリエイター方々による多彩なジャンルからの離合集散、そして各々から発表される煌びやかな作品群たちは、何度見ても熱意とまだ見ぬワクワクに満ち溢れています。色々な移ろいはあれど、同人活動は変わらぬ文化としてあり続けて欲しいものですね。

さて、デジタルに広がる多くのコンテンツを感じながら、私も新たに創作意欲をnoteに残し失礼致します。

ここまで読んでいただきありがとうございました


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