わびさび

僕は良く「行儀がいい」とゆわれる。

(と言っても、ここでの「行儀がいい」は、箸の持ち方だとかご飯の食べ方だとか大半の人には、普通というか「当たり前」のことだ。)

我ながら、他(井の中)と比べれば行儀がいいなと思う。
子供、特に小学生低学年〜高学年の子達なんかはめちゃくちゃだ。しかし、僕はその頃から行儀が良かった。
それは祖母の存在が大きい。

僕の祖母は、僕が幼い頃からとても厳しい人だった。
父も厳しいが、僕が幼い頃父は毎日夜中の2時、3時に帰ってきていた。いわゆるブラック企業だ。毎朝7時半には家をでるので小学生の時なんかは休みの日ぐらいしかあっていない。
まぁそんなこんなで、家から近い母の方の祖母の家で食事をすることが多くあった。



その時に、食事のマナーをこれでもかと叩きつけられたのだ。正しく箸を持てだの、茶碗の持てだの、口を閉じろなどなど。
祖母は「食事マナーを守る人間か、守らない人間か」を大事にしていた。
子供の僕は、「なんで?こんなに綺麗に食べなきゃ行けないの?」とか思ってはいたものの「反抗する」と言う選択肢がなかった。ので、仕方なく言う通りに食事をしていた。


結果、僕は今祖母に感謝をしている。
あの時言う通りにしていてよかった。祖母も長い目で見て厳しくしたのだろう。今ならわかる。
こうして僕は「行儀がいい」と言われるようになった。僕はたいして意識していないのにだ。


僕は今年の4月から一人暮らしの生活をスタートさせている。
人間とは不思議なもので、見られていないと、指摘されないと、、意識しなくてもできていたものができなくなることがある。
と言っても、箸の持ち方とか、口を開けて食べるとかではない。

スマホだ。

スマホを触りながら食事をしてしまう。
これは一人暮らしならではだ。
今までは誰かと喋りながら食事をしていた。
1人で食べることもあったが、その時はスマホを触らなかった。これこそ「できていたものができなくなる」と言うものだ。
僕は考えた。



スマホのロック画面を自分のうんこ💩の写メにして(もし、今食事中の人がいて食べる気を無くしたのならうまいプランだと言うことだ)、食事中には絶対触らないようにした。(Face IDなので効果的)我ながら画期的なアイデアだ。問題を解決した。僕は食事マナーを守る人間に戻ったのだ。



この前久しぶりに家族水入らずで食事をした。「GWにて」で描いたこの前の旅行の時だ。いいものを食べた。

が、横からクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャ聞こえる。気のせいではない。ここで4人目の登場人物、韓流好きの母が登場する。

そう、この不愉快な音は母の咀嚼音のほかならない。(韓流好きと因果関係はないがなんか言いたくなった。韓流好きの方には申し訳がない。)母は、世に言うクチャラーになっていた。


とにかく僕は不思議でならなかった。
3月まで普通だったではないか。
どうしてクチャラー歴1、2ヶ月の「奴」がそんなに音が鳴るのか。
何より僕に食事のマナーとはなんぞやを叩き込んだ張本人の娘がか。
1人で食べる時間が増えて気が緩んだのだろうが改善しようとはしてないのか。
はたまた気づいていないのか。
祖母がこの姿形を見たらどうなるだろうか。



何にせよ、母は食事マナーを守らない人間に成り下がったのだ。誰がなんと言おうとこの事実は覆らない。

祖母の顔が見てみたい。
怒った祖母に、母は半沢ばりに「わび」るだろうか。



こういうの祖母から見て、
身から出た「さび」というのだろう。





いや、違うか。。


わびさび[完]

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