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伝統的企業の新しい研修(3)

前回の記事はこちら。

前回は対象3つの研修の中身を見てきました。ここからは、この3つの研修の考察から見える課題、或いはオンライン化への移行によって生じる課題、そしてオンラインだからこその良さを活かした研修の新しい在り方、この3点を考えたいと思います。

それぞれの研修の個別課題且つ本質的な共通点

前回の3つの研修の特長を少し復習します。

本質的な共通課題はなんでしょうか?それは口頭だけの説明には相当無理があるということです。いくら言葉で説明しても製品のことはやはり製品そのものを見てみるのが一番理解が進みます。或いは製品の図面やイラストがあると理解できます。要するにビジュアライズできるか?という点が重要です。より厳密にいえば製品だけをビジュアル的に理解できれば良いのではなく、理論や内部構造などのより抽象度の高いものもビジュルアル化が必要となります。

オンライン研修へ移行して生じる課題

一気に話が飛びますが、これまでの対面式の研修では、このビジュアル化はある程度のノウハウを構築してきたと言えます。そして、大規模な研修となれば画一的に講座を進めるしかなく、それはそれで一定数行われてきたのも事実ですが、案外とメーカーの研修は数人規模でも研修を行なってきました。これによって、より気楽に質問をしてもらって理解を深めてきました。

メーカーがビジュアライズに努めてきた資料はたくさんあります。これはこの数人規模の研修で質問されたことに答えるために都度追加されてきたビジュアルです。つまり、理解できるかできないかは個々人で違うわけであり、つまずくポイントごとにビジュアルを用意してきたのがこれまででした。

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相手の顔を見ながら理解が進んでないなとなれば、より詳細にその部分について話をし、ビジュアルを指でなぞりながら説明してきたわけです。

しかし、現在行われているオンライン研修は致命的な文化的な欠落があります。まず誰でも時間が合えば集合できるため、人数が多くなりがちです。それと顔を表示しない人も案外と多い。こうなると発表者は誰がどこでつまずいているか、言外以外から読み取ることができなくなります。受講者も質問辛い環境になります。このため、せっかく構築されたビジュアルも一通りなぞって説明はするものの、より深くポイントを絞って解説することが難しくなります。同じ温度で淡々と進んでしまい、強弱がつきません。このため、講義自体も退屈なものになりがちです。

オンライン研修のメリットと活用方法

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一方でオンライン研修にはメリットもあります。まず第一に、上述の裏返しとなりますが、いつでもどこでも開催が可能なことです。今までは講師側と参加者が時間と場所を調整する必要がありました。もちろんオンライン研修でも調整が必要ですが、移動の時間や会議室の制約がないため、より柔軟に開始することが可能となりました。

これは副産物として、同じ内容や似たような内容を複数回実施することも可能となり、出席できない確率をさらに低減させます。

それとチャットありきの研修が可能なため、質問を文字で受け付けることも可能です。これもこれまで質問をしにくかった人でも質問を飛ばしやすくなったり、質問を書いてみることで、より答えも的確になり理解が深まるということも言えるかと思います。

それから研修後に地続きで話ができる余地がある点です。これは社内の規定にもよりますが、もし顧客とチャットが可能な会社であれば、研修後も質問を受け付けることができ、具体的な仕事の話に発展しやすい場合もあるのです。

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いかがでしたでしょうか?

次回は上述の内容を踏まえて新しい研修体系のあり方をさらに考えていきます。

ということでまた。



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