短編小説『ファイヤーお父さん』 僕の夢物語002 2022.9.2
「燃える、燃えるぞ」
私は今日返ってきたテストを見せに行こうとした時。私のお父さんは燃える。私が知っているお父さんは、すでに燃えていた。ゲームをする時、料理をする時、公園で遊ぶ時も。私の中でのお父さんの記憶はみんな燃えている。
「この巻き爪の曲線を一発で行くのは難しいぞ、そうなると2か、いや3。燃える」
テレビを前にしてるソファに、テレビもつけずに座り、爪を切ることに燃えていた。
「3で行けるといいわねー」
台所で夕飯を作っていたお母さんはそんなお父さんを微笑ましそうにいった。お母さんはお父さんのことになるといつも笑っている。まるで子供を見るような。
「注目!じゃじゃーん。これ今日帰ってきたテスト!」
「95点!すごいじゃない!」
お母さんは目を大きくして私の方を見た。
「なんだと!それは燃える。95、、、、伸び代まであるじゃないか!さらに燃える」
「たしかにそうね、100点よりいい点数じゃないの」
「そっか、その考えがあったか。それとね、この度修学旅行の班長に推薦されちゃいましたー」
「なんだと、さすがの遺伝子。燃える」
お父さんは中学生の頃生徒会長で、バレー部では部長をやっていたらしい。その遺伝子を私は受け継いでいるらしい。
「ままがぱぱを好きになったのは中学生の修学旅行がきっかけなのよー」
燃えているお父さんを見て、耳を少し赤くしながらお母さんが言った。
「何その話、初めて聞くんだけど。詳しく聞きたーい」
お父さんも爪を切り終わり私の隣に来て参戦した。お母さんは夕飯を作る手を止めて人差し指を天に刺しながらしゃべった。
「ぱぱは生徒会長で学級委員もやってて部長で、先生たちや生徒たちみんなに信頼されていた、そして顔もイケてるでしょ?」
「まあそうだね」
「燃えてたなー」
今度はお父さんが耳を赤くしていた。
「ちょっとお父さん静かに、で?」
「それはもう女の子からも人気でね、そんなぱぱなんだけど、なんとねパジャマがまさかの恐竜だったの」
「あれは燃えてたなー」
「それをみんなに笑われて、ぱぱすっごく恥ずかしそうにしてた、その瞬間にぱぱを好きになったからあなたがいるのよ」
「ねえお母さん」
笑いながら眉毛を吊り上げて私を見つめる二人。
「お母さんもしかしてそれで好きになったの?」
「そうよ、その瞬間からビビッときちゃってね、」
「なんでそれで好きになったの」
私にはわかった。お母さんがお父さんのことになるといつも笑っていることに。
「んーなんででしょうね、」
「お母さん、それってお母さんもその時からもえてるんだよ」
私はクスッと笑いながら言った。
「よくぞ気づいた。さすが我が娘。そこからのお母さんのアタックは燃えてたなー」
「ちょっとお父さん黙って、そうじゃなくて」
私は近くにあった新聞に書いてみせた。
「萌える」
「ほら、お母さんはお父さんに萌えてるんだよ。その時からね」
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今回は僕に起こった出来事を脚本として書いて見ました。
これは他のnoteの記事を書いてる時に「燃える」の変換が「萌える」になったのが個人的になんか面白くて、作品にして見ました笑。
まだ2個目ですが、実際に書いて作品にしてみると今回のように、目がネタに肥えて世界の見え方がまた変わった気がします。
今後も面白いものをどんどん見つけて、創作していきたいです。