見出し画像

読書感想文、ここにあり!

10月に入りました。
お彼岸前にやっと暑さが落ち着きましたね。
しかし、まだ服装が夏物です。

最近読んだ本の感想です。


最近読んだ本

満潮に乗って/アガサ・クリスティー

恩地三保子(訳)

最近、BSで映像作品がやっているので見ていますが、デビッド版ポワロ(NHK版は「ポワロ」表記)はまるで原作イメージそのままの世界観で見てて安心できます。
というか、このイメージで本を読んでいるのかも⁈と思う。
そして、あの主題歌最高過ぎません⁈

夫もあの渋いメロディーが好きみたいで、内容なんて見てないくせに、たまに口ずさんでる。
私がもし、喫茶店を始めたら、あの主題歌はBGMで流しておくと思います。
深煎りの苦いコーヒーが似合いそうですが、名物はベルギーのチョコレートドリンク?
店名もポアロにしたいけど、何処かの高校生探偵が小さくなって20年の某アニメのイケメン喫茶店オーナーと被るのはファンにフルボッコにされそうなのでやめておきます。

近頃は映像化されると、ポアロがスタイリッシュですね。
『ハロウィンパーティー』が「ヴェネツィアの亡霊」というタイトルで映画化されておりますが、イメージ違うなぁと思うけど、多分観に行きます。

前置きが長くなりました。
今回のポアロは「戦後」が舞台。
どうもイギリスがボロボロになっている所からスタート。
まるで、金田一耕助みたいなポアロ。

ゴードン・クロードという大富豪が爆撃にあって死んでしまうのですが、その財産を未亡人のロザリーンが相続した事で不穏になる斜陽族。
クロード一族はゴードンにおんぶに抱っこで自立してない癖に豪遊癖が抜けない見内ばかりなのに、ゴードンが死んでもロザーリンが邪魔で無一文気味。
しかも、このロザリーンもクリーンじゃない、なんか怪しい感じ。
唯一、自立できそうな気概があるのはリンだけかな。
戦争に女性として参加したサバ女の彼女は今回のポアロガール。

みんな、表面上はロザリーンを気遣う振りして、お金を無心したり、「あいつさえいなければ」と心の中で思ってる奴ら。
でも、ロザリーンサイドもディヴィッドというこれまた癖強い兄さんがいて、クロード家的には一筋縄ではいかない。

今までのクリスティーの流れで来れば、真っ先にディヴィッドかロザリーンがまず仏になりそうですが、違った‥。

そうきたかー!って感じ。

しかも、半分くらい読んでやっと起こる殺人事件。
それまでは、延々とクロード一族のお家事情とか、ヒロインのリンの事が延々と語られる。
(まあ、そこがなかなか面白いんだけどね)

今作はクリスティーっぽくもあり、そうでもないような?
流れ的には『ナイルに死す』に近いかな。

でも、やっぱり人間描写の神クリスティー、キャラの個性が素晴らしい。
特に今回特筆すべきはディヴィッドかな。
彼の人間味はすごいよね。

あとがきが言いたいこと全部書いてあった。

ポアロは若いカップルには優しい所がやっぱりクリスティー。
彼等は戦争で傷つきながらも、未来を前向きに生きていくのでしょう。

読後はちょっと前向きになれる、斜陽ポアロでした。

人間描写:★★★★★
斜陽:★★★★
トリック:★★★


教団X/中村文則

この作者の本、なんか読んだ事あるはずだ‥と思ったら『去年の冬、きみと別れ』の人だった。

まず、500ページ超えの大ボリューム。

内容は、セックスカルトとそれと対照的な「ありがたいお話系」宗教とアフリカ辺りの戦争と貧困の仕組みとか、盛りだくさん。

「教祖の奇妙な話」という章では、原始仏教の話や、宇宙の始まりだったりとか、知識が膨大過ぎる。
私は理系ではないので、宇宙の話はチンプンカンプンですが、博識ですごいです。

セックスカルトを題材にしてるので、濡れ場が大変多いです。
しかも、村上春樹みたいな「記号としてのセックス」じゃなくて、どっちかというと、男性向け成人指定同人誌みたいな描写。
断面図とか出てきちゃいそうな(笑)
「嫌なはずなのに‥ああん‥」
中国では間違いなく、出版できませんね。

しかし、そんな濡れ場にゲンナリしてる場合ではない。
中盤のテロが始まる辺りから怒涛の展開。
内容はアフリカの貧困問題と先進国の闇とか、警察の闇‥
なかなかぶっ込んでくる。

余談ですが、私は基本的に財布に小銭があれば、レジ横にあったりする募金には協力するんですが団体を選びます。
24時間テレビとUNIC◯Fには絶対に入れません。
他にも気に入らない団体には入れないです。
ミッションスクールに通っていたので昔から慈善事業には関わることがありましたが、
結局、我々先進国がこうやって裕福に生活できるのって、貧しい国々が搾取され続けてくれるからだと思うのです。
だから「貧しい国の子どもたちを〜」とかCMで見るとめちゃくちゃ気持ち悪い。オエー!
ラジオで聴いたことあるんですが、カンボジア辺りはもう「貧困孤児」と触れ合う系ツアーのビジネスがあるそうですよ。
それより、日本人の若者と子育て世代を救ってやれよー!
資本主義である以上、貧富の差なんて解決しないじゃん。
まあでも、お金持ちは寄付してね。と思います。
国境なき医師団とかは素直に尊敬します。
そういう賛同するところには募金します。

高原は私の気持ちを見事に代弁してくれたなーと。

話は戻りまして、
最後は一抹の悲しさと希望が感じられるオチでした。

そして、女性陣の嫉妬とか独占欲みたいなのがめちゃくちゃ気持ち悪い。
ヒロインは2名いますが、どちらもキショいです(笑)

読むのは大変疲れますが、中盤から物すごく面白くなるので頑張って読んで欲しい。
ちょっと村上春樹のねじ巻き鳥っぽい話かな〜。

エロ:★★★★★
世界の裏事情:★★★★★
ボリューム:★★★★★



三国志(上)/羅漢中

小川環樹、武部利男(訳)

私の大好き!岩波少年文庫の三国志です。
三国志はずーっと読みたかったのですが
「登場人物めちゃくちゃ多いし、中国人の名前って分かりづらいんだよな」
と思って読めなかった。
私が学生の頃は所謂「歴女ブーム」でして、周りの友達がハマってた。
勧められて北方三国志を読んでみたけど、冒頭で挫折。
それ以来遠ざかっていたのでした‥。

コチラは「小川三国志」を子ども向けにより抜きしたバージョンらしいのですが、
内容をそのままより抜きしているので、岩波少年文庫とはいえど、対象年齢は高めだと思います。
恐らく、中学生〜高校生。
私は「よりぬき三国志」として社会人向けで十分ではないかと思うくらいです。
細々した話は端折ってあるので、知識のある方は物足りないかも。

今でこそ三国志の訳は色々出てる中で、やや昔の訳だとは思いますが、非常に読みやすいです。
Amazonレビューにもありますが、すごくいい訳。
硬過ぎず、サッパリしてて猛々しさが伝わってくる。

久しぶり、寧ろはじめまして!の三国志。
やっぱり名前がわからないぜ〜!
でも、冒頭に分かりやすい登場人物解説があるから安心だ。

まずは、桃畑の誓いからスタート。
超有名、劉備、関羽、張飛が兄弟の契りを交わす事から物語は始まる。

三国志はやっぱり「推し」武将がいる系なだけあって、名前はややこしいが、キャラは濃い。
劉備は何故か周りに良い人が集まって来る人、
関羽は敵の曹操にまで気られてしまうくらいの義士、
張飛は頭に血が昇りやすい。

面白いのは呂布。
彼も人気武将ですが、まあ、女子中学生みたいな奴なんですね(笑)
クラスカースト最強のAちゃんの所ではBちゃんの悪口を言い、2番目に強いBちゃんの所ではAちゃんの悪口を言って、最後にハブられる子。
「呂布の最期」ってそんな感じ?

あと、孫策の最期「于吉仙人」もなかなか面白いです。
なんでやねん!って感じ。

上巻は主に曹操のサクセスストーリーなので、劉備は結構浮かばれない感じ。
しかし、編集が上手い。
上巻の最後にはみんな大好き諸葛孔明の初登場「三顧の礼」で終わります。
キター!!って感じ。
要するに、ここから劉備勢が強くなるわけですよ!
もう、次巻が楽しみになる終わり方!スゲー!

岩波少年文庫は挿絵も秀逸なのですが、
所々入ってる墨絵調の絵が雰囲気に合っててやっぱりいいよね。
武将達がイケメンやら美少女になってる絵柄は溢れかえっている中でこういう絵柄は安心します。

非常に読みやすかったので、三国志ビギナーにオススメの一冊。

読みやすさ:★★★★★
ボリューム:★★★
呂布生き返らないかな:★★★★★

今回はこの辺で。
最近、忙しくなってきてペースダウン気味です。
つぶやきばかり投稿しています。


ではまた。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?