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ギャラリー,イベントで出逢った作品

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偶然の出逢いも含めた、ギャラリーやイベントで出逢った作品たちを紹介した記事をまとめたマガジンです。
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#写真日記

境界を越え,調和する -グループ展[Connect #3]@MAKI Gallery

 某日、表参道。  5人展。まずはそれぞれの作家の作品から。 ジャスティーン・ヒル ミヤ・アンドウ 塔尾栞莉 山本亜由夢 ソフィア・イェガーネ 「作品とのconnect」 はじめに、あえて作家別に紹介をしたのには理由がある。5人展ということを忘れてしまいそうになるくらい、展示空間は調和していた。  それぞれの作家の作風は大きく異なるのだけど、展示の流れがあまりにも自然で、作家同士の作品の境界線がなくなっているかのようだ。  だから途中で、入口に設置されていた

躍動,エネルギー -Ryohei Yamashita [7MOTIONS] (-6/15)

 某日、天王洲アイル。 この1枚が観たくて  Ryohei Yamashita/山下良平「7MOTIONS」@MU GALLERY(-6/15)  展覧会案内に載っていたこの作品が観たくて、足を運んだ。 大いなる力から生まれ、エネルギーを纏って駆けだす  太陽に向かって駆けてゆく姿。夕景だろうか、朝焼けだろうか。駆けているうちに時間は過ぎ去り、今度は太陽を背にまだまだ駆ける。作家のテーマは躍動だという。まさに、そんな躍動感のある1枚だった。  展示作品のなかには、

無理に微笑まなくていい -飯沼英樹 "Roulette / ルーレット"

 某日、天王洲アイル。  飯沼英樹 "Roulette / ルーレット"(-6/22)@gallery UG Tennoz 微笑んでいない女性たち  飯沼英樹作品との出逢いは、昨年の銀座蔦屋書店(@GsiX)。  木に彫られた女性像の、力強さに圧倒された。そして彼女たちが、よくありがちな「慈悲深く微笑む」ようなようすををしていない、という点にも強く惹かれた理由だ。  本展示にはかなりの点数がある。ギャラリーの方と言葉を交わしつつ、ゆっくり鑑賞することができ、無意味に

ガラスケースの中の暴力,生命-アンゼルム・キーファー[Opus Magnum]展

 某日、表参道から青山通り。  アンゼルム・キーファー「Opus Magnum」展(-7/13)へ。  ガラスケース内で展開する立体作品と、水彩画が展示されている。 "鎮魂"の芸術家 アンゼルム・キーファー アンゼルム・キーファー。ドイツの歴史上の記憶を揺り起こしたと、下の記事にある。  6/21より、ヴィム・ヴェンダース監督によるドキュメンタリー映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』も公開。  また来年2025年には、世界遺産・二条城の二の丸御殿台所・御清所

根ざすことと"根こぎ"と -クリスチャン・プーレイ "Geographies of Love"

 某日、千駄ヶ谷から原宿方面。  千駄ヶ谷小学校と向かい合う、「ギャラリー38」。  クリスチャン・プーレイ " Geographies of Love " (- 6/30) 抽象のなかに消え入りそうな緊張感  白い空間に、美しい色彩の風景?画。一部が抽象化された作風のようだ。  描かれている作品の解像度がだんだん粗くなり、細い筆が太い刷毛に変わって画面を覆い尽くしていくのではないかというような……という、静けさのなかに「動き」のある作品。人物の近くにまで迫ったその

世界と内面を記す"絵日記" -モリマサト「ヒゴロノオコナイ」@NANZUKA UNDERGROUND

 某日、裏原宿。  モリマサト「ヒゴロノオコナイ」(~7/7)  エレベーターで階上へ。 自画像彫像作品  ギャラリー2階で目に飛び込んでくるのは、  ブロンズ製の自画像彫像作品と、その背後の自画像。  2階の展示は、作家が語るところの「絵日記」が、より掘り下がった感じを受けた。  本展は、ひとりの作家の内面を巡る旅だという気がしてくる。言語化されることを拒絶して、ダイレクトに迫ってくる何かがあった。

抽象化された形,その中身 -ススム・カミジョウ個展@MAKI Gallery

 ある休日の午後、@天王洲アイル。  ススム・カミジョウ個展「帰って来たら When You Come Home」(-2024/06/08)@MAKI Gallery(天王洲, 東京) 抽象化で付与される、あたたかさ  ホワイトキューブを贅沢に使った展示空間は、鑑賞用に椅子も用意されていて、心地よい。  プードルは写実的に描いてもかわいらしいと思うけれど、解像度を下げて抽象化され、一本の線に収れんされていくうちに、その線と色塗られた丸みのなかに、かわいらしさが内包され

ぬくもりの残る抽象 -[ブランクーシ 本質を象る]@アーティゾン美術館

 コンスタンティン・ブランクーシの「創作活動の全体を美術館で紹介する、日本で初めての」展覧会@アーティゾン美術館。  わたしのなかでブランクーシといえば、アーティゾン美術館に常設されている「接吻」。  年パスがあることもあって、すでに何度か訪れた。 形成期、すべらかな彫刻  展覧会は7つのキーワードで展開していく。まず、若き時代の作品。 「接吻」のあたたかさ  若い頃の作品から、鑑賞していて癒されるような、やさしい雰囲気を感じていた。それは、直彫りに制作手法が変わ

難波田史男 特別展示 没後50年-「生と死の相克に魅入られた精神」

 某日、東京オペラシティアートギャラリー。  収蔵品展079 特別展示 没後50年 難波田史男(- 06/16)へ。  寺田コレクションに感謝を。 日を改め、訪れた  宇野亞喜良展と同時開催の本展。  少しだけ鑑賞し、日を改めようと決めて、後日再訪した。  それだけ、「迫ってくる絵」だった。  作品を観ると浮かび上がってくるであろう数々の言葉、それがそのまま、図録の解説文にも記されていた。  展示作品の大部分は、20代のときに描かれている。 「生と死の相克に

5/12まで【写真】Playground Becomes Dark Slowly@日比谷公園

 「日比谷公園で、粋なアートイベントが開催中」アート好きの友人からメッセージが入り、某日の夕刻、訪れてみた。  ほんとうに粋な、心が動くイベントだった。その記録を手短に写真で。 某日、夕刻、日比谷公園  銀座方面から、日比谷公園へ。  公園入口すぐに、地図による作品案内がある。 「はなの灯籠」永山祐子(土曜日開催)  まず、地図「C」の作品へ。土曜日のみ開催のため、ただ池を観るだけになったけれど、  水面に花々が浮かぶようすを思い浮かべる。 「余白史」細井美裕

ループの結び目,代入-グエン・チン・ティ《47日間、音のない》@森美術館

 森美術館で開催中の「MAMコレクション018:グエン・チン・ティ」(-9/1)。  4月27日にアーティストトークに参加して、しかしそのままになっていた。  トークはとても興味深く、コンセプトのようなものは、なんとなくつかめた気はする。しかし作品空間に入り込むと、その中に深く沈んでしまって、なかなか言葉にならないし、すっきりしない。  それほどに、魅力的で、ふしぎな作品だ。最近になって再訪し、4回ほど連続で作品を鑑賞した。 30分、2スクリーンの映像作品  まず作

ラ・フォル・ジュルネ最終日 -歌姫たちの歌声

 「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」5/3-5/5、最終日。 「キオスクステージ」4公演を愉しむ  この日も、前売りを買っていた公演は夜。それまでの時間、気になっていたホールEの無料公演、「キオスクステージ」をちゃんと聴いてみようと思った。  有料公演チケットか、半券があれば入れるエリアに下って、  このように満席なので、とりあえずは立ちながら聴いて、  公演どうしの間は1時間以上あったので、空いた最前列の席で、読書をして過ごした。方々のブースから美しい楽器演奏が

ラ・フォル・ジュルネ初日 -熱狂の祭典,音の表情

「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」5/3-5/5、その初日。 ピアノバーの衝撃 生音が聴きたくて  このイベントのことは、友人から聞いて知った。きっかけは、赤坂のピアノバーだ。  あるきっかけで、グランドピアノが置いてあり、客が自由に弾くことのでできるピアノバーで仲間たちと夜を過ごした。わたしは楽器は全くできないのだけど、耳コピで何でも弾ける才を持つ人と、クラシックピアノに優れた2人のピアニストが交互に演奏し…ピアノの目の前のカウンターで聴いていたわたしは、生音の魅力

【写真】BIG CAT BANG@GINZA SIX

 大型連休某日、銀座。  GINZA SIX。  その中央吹き抜けに…  彼らはいる。 「岡本太郎の創作遺伝子」  説明にもある、大阪万博→岡本太郎「太陽の塔」、の連想は、初見であってもわかりやすい。  「創作遺伝子」、については、写真を撮っていて、納得できることがいくつか見えてきた。  この猫さんたち、  「かわいい」と一言ではいえない、ちょっと禍々しい?(否、神々しい?)パワーもある。  ここに来る前に見かけた、岡本太郎の立体作品を思い起こす。 さまざ