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転職がいけないんじゃなくて。

「天職」って何だろうと、ふと考える。

いわゆる「自分にしかできない仕事」のことなんだろうと思うけれど、仕事って適性だけが全てじゃない。
人間関係や雇用条件、身体負荷など転職につながる因子は様々だ。
となると、そもそも「自分に合った仕事が見つかればそれでOK」という前提はあるようでなく、
「これさえ押さえてれば上手くマッチして長続きできる」なんてものも初めからない。
つまり転職ありきで人生を考えておかなければ、自分が苦しくなってしまうのだ。

最初から最適解へ早々に辿り着く人もいれば、途中で最適解へ辿り着く人もいるし、75歳になっても最適解なんてものはありませんでした、なんて人もいる。
それが現実だ。

今は、転職を煽る広告があちらこちらに流れている。
でもあれは、ビジネスだからだ。何もあなたの人生を本気で心配してのことじゃない。
では何を信じればいいのか。
私の場合は、「人」で選んできた。入るかどうかも、辞めるかどうかも。
「金」で選ぶ人もいる。「休み」で選ぶ人もいる。
「多少のストレスがあってもこれがしっかりしていれば私はやっていける」
それが、あなたの信じるものであり、仕事を選ぶ際の軸だ。

人は初めて人生において「就職」を考える時、誰しもが緊張し、少なからず恐怖や不安を抱える。
それは、「すぐに辞めたらキャリアに傷がつく」という強迫観念があるからだ。実際、転職市場においても、「転職はギャンブルであり、繰り返すほど自分の価値は下がる」というデータはあるらしいが。

急に私事になるが、私の人生は諦めから始まった。手帳持ちになり「障害者として働く」ようになると、自動的にキャリアとは無縁の人生にシフトする。

障害者雇用は、基本どんな仕事でも最低賃金(換算を含む)での雇用で、ボーナス、昇給、昇進はなし。おまけに求人数は健常者の10分の1以下。

あえて、障害者とお金についてちょっとだけ。/あらいあい


新卒で障害者認定が下り、最初の勤めは1年半強A型事業所だった。
次は役所の非正規で2年。
次は民間の事務で1年。
今は民間の清掃で半年。

障害者のキャリアというものがあるとすれば、それは転職ありきのものである。
特に、精神障害者の定着率は、知的障害や発達障害に比べて低水準だ(厚生労働省 障害者雇用の促進について 関係資料【2020】) 。

一般企業へ障害者が就職した場合、単純計算で、「精神障害者は10人雇えば1年後には5人は辞めている」というデータもある(JEED 障害者の就業状況等に関する調査研究 (調査研究報告書No.137)サマリー 【2017】)。

燃え尽きによる退職もある。
私の場合、役所時代にはスキルアップに燃え、正社員を目指して民間に移行して奮闘したが、上手くいかなかった。
障害者雇用を始めたばかりのその会社にとって、障害者は「いてくれさえいればいい存在」であり、「評価の対象」ではなかったからだ。

とまあそんなこともあったが、社会の下層で転職を繰り返して働いていると、あるところで頭打ちにもなるが、尻打ちにもなるのだ。
いくら転職を繰り返し価値が下がっても、素行さえしっかりしていればある程度のところで止まるのである。

だから、先のことは考えなくてもいい。
考えてもいいが、描いた図通りにはまず行かない。

災害、事故、病気、詐欺。
人生なんて簡単にひっくり返る。

だから、真面目に、置かれた場所で、言われたことを、言われた通りに一生懸命やること。
それが、私があなたに伝えられる唯一のエッセンスである。


どんな時でも、あなたをちゃんと見てくれてる人はいる。



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