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練り上げ

ちょうど今エロビデオを見ていたら、バカっぽい若者2人が出演
そして昼間、ファミリー向けラーメン屋の前でピカピカのバイクにニケツしようと乗り込む青年たちと、その仲間たち
性的にかわいいというのももちろんあるが、見ていて分かりやすいし微笑ましい 応援したくなるし、
「今一番楽しい時期だからな 目一杯やんちゃしなさい でも体は大切にしろよ」と笑いながらジーパンのケツをぶっ叩いてやりたくなる

でも、「そうじゃない人」は?

現実は決して彼らみたいな明るく分かりやすい若者ばかりではない それにそのタイプしかいなかったら、それはまたそれで不自然だし気持ち悪い

「分かりやすい」というのは上の立場の人間が下の立場の人間を評価する上でかなりの指標となる
分かりやすい絵、分かりやすい話、分かりやすい人
そういった若者に大人はマルをつけやすい


でも、僕はそういったものに興味がない
なぜなら僕が「そうじゃない人」だったからだ


みんなと一緒にいても楽しくない
でも一人でいる勇気もない
考えはあるけど複雑すぎてうまく表せられない
同世代の同性が好きなものが好きじゃない
学校でやらされることは軒並みうまくできない
スタイルだって顔だって良くない
明るく振る舞えず、集団の中では浮いてしまう


そんな若者に、大人は目を向けない
分かりにくいしつまらないし、暗いからだ
悲しいかな、僕もその型のプロトタイプだった

そういった子たちに伝えたいのは、
「怒りのエネルギーをいい方向に持っていってほしい」ということ
腹が立つこと、惨めなこと、悔しいこと
その気持ちを一粒も取り残すことなくかき集めて、原型がなくなるぐらいにぐらぐらに煮詰めてぶつけてほしい
ぶつけるのは、バスケットボールでもいい キャンバスでもいい 原稿用紙でもクラリネットでもいい セックスでも武術でもいいし、ジオラマでも昆虫採集でもいい
でも、人にはぶつけないでほしい 人にぶつけた瞬間、大抵はつまんなくなっちゃうからだ せっかくのエネルギーを人間関係の衝突に使うだなんてもったいない それは「マルの人」にフィットしたやり方であり、君にはフィットしないはずだ なぜなら、どうせ現実ではぶつけずにスマホ経由でぶつけるのがオチだから

「活動」に怒りのエネルギーを還元できる人はかっこいいし、現に世で名をあげている人はそんな感じの人が多い
芸能人みたいに人にぶつけるタイプの大人もいるが、あれはプロにしかできないので若者にはおすすめしない
別に成功なんてしなくてもいいのだ 怒りや悲しみ、憎しみは、それ自体は効果を持たない
だが練り上げて形にすると、周りの人の心を強く締め付ける
その現象が何より尊く感動的なことなのだ
なにで怒ったか、悲しんだか、憎んだかは関係ない 「活動」が全てだ

「マルの人」からしたら、彼らのやり方はひっくり返っても真似できないだろう 明るく分かりやすい感情ベースの人だから

20代までは「マルの人」の時代だ これは間違いない だが、人は皆その2倍も3倍も生きる 40になった時に、今までバカやってきた人間と情念で生きてきた人間、どちらに世間は「マル」をやるだろうか
少なくとも、20代の頃とは指標が違っているはずである
だって、「分かりやすい40代」なんてつまんないじゃん

見たまんまの40歳
話が長いだけでつまらない40歳
金魚のフンしかついてこない40歳

そんな中年なんてダサいじゃないの

若者よ、先を見なさい 今じゃなくて、先を見なさい 歳を取れば、今まで積み上げていったものを見て評価されるようになります
そのために今、ぶつけるものを、何でもいいから必死に探しなさい 大化けするかもしれません あなたが世間をひっくり返してやるのです…!


なんて言いながら、現実問題大抵の人はひっくり返せないわけだけど、
その「ひっくり返せない悔しさ」をすら、歯あ食いしばりながらまた練り上げるのが本物の所業でもあるのだ




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